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【CP+2023 Archive】プロが教える知っておきたいライブ配信テクニック

4年ぶりのリアル開催を実現し、大盛況のなか閉場した「CP+2023」。

LUMIXブースでは連日豪華な登壇者をお迎えし、LUMIXで写真や動画を撮影する楽しみや強み、クリエイターが作品制作する際の視点や思考についてお話しいただきました

「CP+2023 Archive」では、そんなトークショーの中からいくつかの回を記事にしてご紹介していきます。

今回は、普段からLUMIXを愛用しているという株式会社エンタミナ代表・田口真行さんと株式会社ヒマナイヌ代表・川井拓也さんにLUMIXで撮影するライブ配信についてお話しいただきました。

テーマは「プロが教える知っておきたいライブ配信テクニック」。初心者が迷うライブ配信のシステムの組み方から、プロの現場で起こるトラブルの解決法など、勉強になる内容が満載でした。こちらの記事では、そんなセミナーの様子をお伝えします。

ハードウェアとソフトウェア、どちらでライブ配信のシステムを組めばいいのか

川井さん:
私はヒマナイヌスタジオというライブ配信スタジオを、大手町・高円寺・六本木の3拠点で運営しています。

年間200本以上のライブ配信を手掛けており、今日はそのノウハウを皆さんにお伝えしたいと思います。

最初のパートは、ライブ配信をするときに最初に迷う、「ソフトウェアで組むか、ハードウェアで組むか」という問題。今日はソフトウェアの話を田口さん。そしてハードウェアの話は私がお伝えしたいと思います。

ハードウェアで組む場合の特徴

株式会社ヒマナイヌ代表・川井拓也さん

川井さん:
それでは、まずハードウェアから。ハードウェアで組む方法は、パソコンに大切な作業を委ねたくない人、パソコンのメンテナンスがめんどくさいという人に向いています。

そしてハードウェアの特徴は、機材によってできることが大幅に制約されるということです。ソフトウェアはとても自由度が高い一方で、ハードウェアでソフトウェアと同じことをしようとすると、機材によってできること・できないことが分かれます。しかも、機材の価格もピンキリ。

例えば、車でも買い物をするなら軽自動車が良いですが、デートをするならスポーツカーが良いですよね。ライブ配信の機材も同じように、何に使うか、誰が使うかによって選ぶ機材が変わるわけです。

では、どうやってハードウェアを組んでいくのか。まず最初に決めるのは、映像のソースです。カメラを何台にするのか、マイクは何本必要なのか、演者さんは何人来るのかを把握し、映像のソースを確定します。

パワーポイントやスライド、タイトルも重要な要素ですよね。音声やBGMなども映像のソースになるわけです。

このソースをどのくらい使うかによって、ハードウェアの仕様が変わります。中核機器やスイッチャー、ミキサー、モニター、返しモニターなど、様々なところで映像を見られるように配信しておく必要があります。

それを最終的にレコーディングするわけですから、配信用にエンコードをするという必要性も出てきます。そして、配信されたものが最終的には皆さんのスマートフォンやタブレットなどを通じて画面で見られるようになるわけです。

ライブ配信でLUMIXを使うワケ

川井さん:
私が運営しているヒマナイヌスタジオ大手町の場合は、5台のカメラ、4つのマイク、そしてレコーダーが3系統にエンコーダーが3系統になっています。

このスタジオの特徴は、ラジオスタジオ型のレイアウトであること。対面して、相手と喋るというスタイルです。このスタイルの難しさは、様々な方向から撮らなければいけないので、作り込む面が増えてしまうことなんです。ただ人間と人間が目を合わせて喋れるので、演者さんにとってはとてもリラックスできるスタジオになります。

このヒマナイヌスタジオ大手町は対談専門なのが特殊なところ。人と人が話すコンテンツしか撮れないスタジオとして、おそらく日本では唯一かもしれません。機材が全て常設してあるので、電源さえ入れればいつも同じアングル、同じクオリティの絵になるように設定してあります。

こういったところで、LUMIXのようなデジタルカメラを使う意味はなんでしょう?それは、単焦点レンズを使えるということ。

皆さんは、シンポジウム会場や学校の教室でどんなカメラを使いますか?登壇者を撮るのに何ミリのレンズが必要ですか?400mm、500mm、600mmが必要なんですね。

つまりビデオカメラの方がいいじゃんということになってしまう。そして望遠レンズを使った場合、絵の違いはそれほど大きくない。

ところが、近距離から人間が撮れるということは、素晴らしい単焦点レンズが使えます。皆さんが見たいのは被写体の表情や変化であって、余計な背景ではないわけです。被写体をより美しく撮るために、一眼カメラが必要というわけです。

LUMIXならフォトスタイルで番組ごとの個性を出せる

川井さん:
ヒマナイヌスタジオ高円寺についてもご紹介します。こちらはカフェバーの居抜きを使ったスタジオで、スナックのママとお客さんという設定でリラックスした対談ができるスタジオになっています。

こちらの配信システムは2つのスイッチャーが入っており、1つ目のスイッチャーでカメラとマイクを入力して、1つの絵の完パケを作ります。

そして、もう1つのスイッチャーでパワーポイントを差し込むことで、作られた絵とパワーポイントを別のスイッチャーで処理できるわけです。

マルチカメラは、複数のカメラをスイッチャーで直接繋ぎますから、絵がくっつくようになっています。ライブ配信のマルチカメラのセッティングは、直接カメラと繋がってしまうので、カメラのメーカーが違うと色が違ってしまったりします。

色の編集もできますが、なるべく同じメーカーのボディとレンズで揃えると準備が楽、というわけです。

LUMIXには元々たくさんの種類のフォトスタイルが入っているため、1台のカメラで番組ごとの個性が出せます。特に、僕はモノクロのダイナミックが好きで、男性が喫煙しながら撮影するような番組をモノクロにして配信していたりするんです。

操作も簡単なので、「今日はモノクロでいこう」「今日はヴィヴィッドでいこう」といったふうにすぐに変えられるのが嬉しいところですよね。

ソフトウェアで組む場合の特徴

株式会社エンタミナ代表・田口真行さん

川井さん:
次にソフトウェアでシステムを組む場合についてお話しします。ソフトウェアで組む場合は、機材を操作する人がパソコンが苦手な場合、またはそのシステムを操作する人が映像のプロではない場合、家電的に使えるので便利です。それでは、ソフトウェアで組むシステムについて田口さんにお話を伺いましょう。

田口さん:
そもそもソフトウェアで組むシステムとは、パソコンにビデオミキシングなどの配信に関するソフトウェアをインストールして、パソコンの中で絵作りを行うことを意味しています。

私はこのソフトウェアで組むシステムを使って、テレワークの会議やウェビナーなどで、人物の上にテロップなどの様々な画像をオーバーレイさせるといった演出をかけて、ライブ配信を行っています。

カメラはLUMIXのGH5Ⅱを使い、パソコンでキャプチャーして、vMixと呼ばれるツールでミキシングを行なっています。

vMixを使えば、ビデオミキサーと同じようなことができるだけでなく、画像を読み込むなどファイルベースの素材をミキシングして映像の絵作りができるのが特徴です。

さらに、ネットワーク転送で映像を送り、それをビデオミキサーでインプットし、ミキシングして使うことも可能なんです。

また、仮想空間に用意した「バーチャルホール」に人物を立たせて、その後ろにパワーポイントのスライドを出して、あたかも仮想的な空間でプレゼンテーションを行っているような映像をライブ配信することも可能です。

グリーンバックを背景に、GH5Sで縦構図で人物を捉えて、4Kでキャプチャーし、さらにそれをビデオミキシングツール上で小さくリサイズして配置することで高画質を保ちつつ、特殊なライブ配信をできるというわけです。こういったことができるのもソフトウェアの組み方ならではの魅力だと思います。

プロが教える!ピンチを乗り切るトラブルシューティング

川井さん:
さて、ここからはプロの我々ならではの「現場でのトラブル」について解決法をご紹介したいと思います。

トラブル①:搬入に手間取って準備の時間が足りません

田口さん:
これは、そもそも搬入に手間取る時点で解決する必要がありそうですが…。でも、機材を搬入する場所まで思ったより距離があったりすることもありますよね。

川井さん:
そうそう。運搬用のエレベーターが遅かったりもしますから。そういうときは、まず準備の順番をちゃんとつけておく、そして本番が始まったときに、重要な機材だけを先に繋いで、後はちょっとずつ足していくというふうにやったこともあります。

田口さん:
なるほど。リハーサルなどの段取りの間に徐々に足してもいいわけですからね。

トラブル②:パワーポイントが上手く表示されない

川井さん:
現場のトラブルの8割はPCの信号系です。実は回線が落ちるとか、カメラが落ちることは滅多になくて、ほとんどがパソコンのトラブルなんですよね。ゲストの方のパソコンでパワーポイントを繋がなければならなくなった、とか。

田口さん:
これは起こりえますね。

川井さん:
ゲストの方とエンジニア側でパソコンをダブルスタンバイして、元々もらっていたパワーポイントと、ゲストのやりたいパワーポイントを両方用意しておくという準備が必要ですね。もし1台がフリーズしても、もう1台で表示できるという安心材料にもなります。

トラブル③:機材の調子が悪いけど、何が原因かわかりません

田口さん:
本番までの時間にもよりますが、例えば本番まで2時間くらいあるなら、機材1つ1つを追っていけます。ただ、仮に本番10分前とかになったときは、もうその機材はなしで動かしていくしかないですね。

川井さん:
捨てる勇気が大切ですね。どこで諦めるかという判断をするのも重要です。


以上でお二人による「プロが教える知っておきたいライブ配信テクニック」は終了しました。

趣味や仕事で配信をされている方は、こちらのイベントで発信されたノウハウをぜひ活動に取り入れてみてください。

▼LUMIXのタッチアンドトライは最寄りの販売店、またはLUMIX BASE TOKYOまで!



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