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寅さん症候群

…秩父に行ったのが、先週の日曜日。
それから風邪を拗らせて、寝込んで復帰したのが、今週の始め。
そして今日「ああ、どこかへ行きたいなぁ」と一人ごちている自分に気付いて呆れた。

どこまで懲りないんだ、反省出来ないんだ、と思うが…これはもう、物心がついて、成人してからもなお治らないのだから、病気だろう。
一般には「放浪癖」と呼ぶが…放浪、というのは「彷徨歩く」ことなので、少し違うか。
自分の場合は、必ず一度は住処に帰ってきて、それからまた出掛けるのだから。

この辺り「フーテンの寅さん」と同じだ。
「寅さん症候群」とか呼ぶのが良いんじゃないか?。

…そう言えば、寅さんは何で一度帰ってくるんだろう?。
売り物を仕入れに来るのだろうけど、どうも小まめに営業活動に勤しんでいるようには見えない。
長く居座ったり、さっさと出ていったりと忙しい。

妹に会いに来る、というのが一番尤もらしい気もする。
甥っ子もいるし、気にいってもいる。
居心地は生い立ちのことがあるから、ゆったりと居るというわけでもないが、なんだかんだで周囲からは愛されているのだが。

そうだ…愛されているから、なのだ。
愛されるが故に、旅立つのだろう。

他者からの愛情を甘受できないのは、多分、自分の存在と、その理由というものを、他者が絶対に理解できないということを知っているが為だ。

愛し、探ろうとすれば、それはむず痒くて痛い、治りきらぬ傷口のような有り様になる。
わかって欲しくて、異性を求めるけれど、深くなるほどに痛みを増す傷口が、それを拒む。
何度も恋をし、何度も破れる。
まるでイカロスの思慕の様だ。

旅の空は自由だ。
自由というものを手放さない限り、この魂は死なない。
誇り高く、しかしなお甘く、悲しみに満ち続ける泉は渇れない。

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