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夏と向日葵と

或りし日(Vincent van Goghに捧ぐ)に載せたヒマワリ畑は、群馬県富岡市の「丹生湖」という人造湖の側に在る。
湖を見下ろす高台で、こういうロケーションは案外珍しい。

ファン・ゴッホとは、あの「ひまわり」を描いたゴッホのこと。
彼の最後は自死(諸説ある)だったが、麦畑の枯れた茶色や、向日葵の黄色…彼の絵画には必須とも言えた色を、枯れたヒマワリ畑で想起した。

本来なら黄金色に輝く畑が見たかった。
しかしながら、その時期はとっくに過ぎ去っていたようで、向日葵は枯れ果て、夏の青空には小鳥の群れが舞っていた。

私にとっての夏は「死」の季節だ。
記憶を辿っても、思い起こされるのは死の風景ばかり。
新潟にある実家の墓参りや、終局に近づいていた頃の海での「二人」の事。
JAL123便の墜落事故も夏の出来事だった。

親父が亡くなったのも、夏の日だった。
納骨が終わってすぐ行きたくなった場所は、山梨県の明野のヒマワリ畑だった。

向日葵は、喪ったものを埋めてくれる如くに、ただただ明るくて大きい。
そのどこか嘘臭いような立ち姿を見たくなるのは、何かを喪失した時だけのように思う。


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