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花を撮ってきて

写真は月日と共に、どんどんと変化をしていきます。
私の場合、一番変わったのは「花」です。

かなりの方が同じ感想を持つと思いますが、最初に写真に取り組もう、趣味にしようと思ったときに当たる最初の壁が
「何を撮っていいかわからない」
…というところだと思います。

私も同じでした。
叔父がカメラを買って、自分もカメラが欲しい!!というところから、MY写真生活は始まっています。
しかし、いざパチパチやってみると
「何撮ったら良いんだろう?」
…と思うのです。
風景、家族写真等々撮ってみるのですが、ピンと来ない。
…それで多くの方が「カメラよサラバ!」になってしまうのです。

それでも、しがみついている人もいて、なんとか良い写真、誉められる写真が撮りたい!となる。
それで
「あ、花なら動かないし、簡単そうだし、キレイだし良いや!!」
…所謂「フォトジェニックなモノ」を見つけるわけです。

そこから試行錯誤、色々と撮影を繰り返して、今に至ります。
当初は「ボケ命」の、フワフワ系の写真が好きでした。
どうしたら背景ボケや前ボケが大きくキレイになるのかを探すことに血道をあげていたものです。
花=ソフト、という固定概念が強かった頃です。

やがて「逆光命」へと変化して行きます。
逆光で透ける花が美しく感じ、花の種類ではなくて、透けやすい状況の花を探して撮りました。
「スケスケ期」ですねww。

今でも基本、花は逆光が美しいと思っています。
順光で撮る事はあまりありません。
ただ発色を考えると、順光こそ大事だと思います。

時代がデジタルへと移り、彩度が高い写真が主流になってきます。
また、個人で自由にレタッチが可能になったおかげで、逆光の写真がグンと活きるようになってきました。
それに後押しされる形で、私はより彩度をあげ、シャドーを持ち上げた(HDRやレイヤーを使ってのコントラストアップ含む)作品を作るようになります。

しかし、やりすぎは何事も良くないようです。
段々と自分の中に「シラケ」が出て、増えていきました。
「…これはただの作品であって、花を写した写真では無いだろう?」
…という思いが、増えて行ったのです。
その疑問が湧いて以来、暫くは花を撮らなくなってしまいました。

また、悪いことに膝の故障と、足の怪我というトラブルに見舞われます。
上手くしゃがむ事が出来なくなったのは、花の写真撮影では致命的でした。
この頃が、写真生活の上でも一番精神的に不安定で、機材をすべて売ってしまおうか?と思ってさえいました。

そんな状態からリカバリーしたのは、実はつい最近の事です。
キッカケは、軽井沢で撮影した野花でした。

軽井沢植物園という、小さな野外植物園があります。
ここは以前よりのお気に入りの場所で、静かで人工的では無い雰囲気が好きです。

去年の秋…軽井沢の「白糸の滝」を撮りに行った帰り。
このまま帰るのも芸がないと寄った植物園で、安い望遠ズームを使っての撮影は、久方ぶりに楽しいものがありました。

元々がついでの立ち寄りなので、三脚も持たずに適当に撮ってみました。
その「適当」が良かったのでしょう。
撮った写真には、その花(実)なりの姿が、当たり前ではありますが、写っていました。

「被写体」とは、写すものじゃなくて「写させて」もらうもの。
撮る事ばかりに集中していたせいで、肝心なことを忘れていたのです。
そうだ…咲く花にも理由はあり、結ぶ実にも理由がある…単純ですが、それに気付くことで、肩の荷がスッと降りた気がしました。

それ以来、花を見るときはまずは肉眼で見て、キレイに誇らしく咲いているように見える花を探して撮っています。
構図も凝る事なく、見た目通りのポジションから撮影するようにしています。

これからはもう、変わり無いと思います。
レンズに凝る事も、あまり無いでしょう。
(でも、ランクアップはしたい!!)
安いレンズと安いカメラで、撮り続けて行きたいと思います。





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