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クジラがくれた水晶の香り / FUEGUIA 1833 "Cuarzo de los Andes"
その日私はクジラがくれた水晶を連れて帰りました。
久しぶりに立ち去れない香りに出会いました。フエギアの「Cuarzo de los Andes(クアルソ デ ロス アンデス)」。
これはFUEGUIA 1833 にとって初めての動物性原料を含む作品。ローズ x アンバーグリスのコンビネーションの香りです。
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アンバー(琥珀)とあるのですが、樹脂が化石化した琥珀とは全く別物。
アンバーグリスは、マッコウジラが食したイカやタコなどの嘴が結石化され、体外に排出されたもの。水より比重の軽いアンバーグリスは、太陽を浴びミネラルを吸収しながら海を漂い海岸に漂着します。
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樹木の石化で「化石の森」を思い出した。(記事「化石の森国立公園(Petrified Forest National Park) / アリゾナ vol.4」)
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クジラの腸結石…偶然によってしか手に入れられない、もの凄く希少価値の高いもの。とても高価なので、アンバーグリスの主な香気成分が解明されているため合成香料で再現されているケースが多いそうです。
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創設者ジュリアン・ベデルは、偶然発見されたアンバーグリスの乳白色の美しさに接し、この個体の魅力を引き出し作品にしたいと考えたそうです。この美しい「Cuarzo de los Andes」には、クジラが自然と吐き出し、海を彷徨ったアンバーグリスが使われています。
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突き抜ける透明感がとにかく美しいんです。
香りではなく匂い。香りって何か自分に足していく感覚なのですが、これは自分の肌の匂いになる。ちょうど「Muskara Phero J.」がなくなるタイミングでしたので、これからは「Cuarzo de los Andes」が私の肌の匂い。
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ここに辿り着いたのは、取材のため久しぶりにフエギアのサイトを開いたから。飛び込んできたのが Fitz Roy!
アルゼンチン・パタゴニア地方アンデス山脈にあるフィッツ・ロイ。ここは最大の水晶龍だと勝手に思ってて。とにかく行きたくてずっと眺めている山なんです。
(記事「龍の眠る “Tsé Bit’ a’í”(翼のある岩:Ship Rock )/ ニューメキシコ vol.1」)
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龍よね、水晶の龍が埋まってる。
アンバーグリスは中国名で「龍涎香(りゅうぜんこう)」、龍の涎(よだれ)。Cuarzo は石英、石英の透明度の高いものが水晶。「Cuarzo de los Andes」は「アンデスの水晶」。
龍と水晶とアンデス山脈フィッツ・ロイ。私の全部が入ってる香り。
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肌にのせると最初は潮風をほんのり纏ったローズが感じられます。ひっそりと物陰に隠れている気高いローズ。そんなイメージ。
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潮風が遠のき、だんだんと陸にあがってきます。ローズは柔らかさだけを残し姿を消します。
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そして透明感が増していきます。青味のある冷たさ、アイスランドの氷の洞窟が現れ、
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アンデスのフィッツ・ロイに到着。クジラの優しさがうっすらと底に感じられ、凄みのある青さを縁に残しながらも限りなく透明な水晶が肌にいます。
「Cuarzo de los Andes」は広がりません。肌の上で留まってくれるので、自分と近しい人だけが嬉しくなる香り。
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旅先に持って行くので小さい30mlを購入することが多いのですが、これは30mlでも高価でした。この透明感は多めにつけるから30mlはすぐなくなるよーという「Cuarzo de los Andes」に熱狂したスタッフのひと言。悩んだ末100mlに。
フエギアの香水は植物の収穫によって香りに変化があることから、各エディションの香りはたった一つのものなんです。だから今回私の気に入った水晶、このエディションは逃せない。
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結果100mlにしてよかった。ふだん家にいる時は香りをつけないのですが、今書きながら左手首にいる水晶に嬉しさをもらっています。
「この香りは満足感ではなくて充実感をもたらしてくれる」というスタッフの言葉が蘇りました。
果てしなく透明で冷たく暖かい。
クジラの優しい海、ローズの柔らかさ、水晶の輝き。地球の香り。
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A translucent quartz, a rose from Patagonia. After days of purification, a crystalline ambar is created by fermentation of a local resin. The water of Andes purifies the elixir.
透き通る石英とパタゴニアンローズ
パタゴニアの樹脂を何日もかけて精製した後、発酵させることで水晶のようなアンバーがうまれる
アンデスの水が万能の霊薬を精製する
elixirs(霊薬)ですなー
メソアメリカの先住民がカカオ豆を粉砕し、ハーブやスパイス、チリ、水を加え「飲み物=elixirs」として摂取していたという話を思い出した。
(記事「サンタフェの「嬉しい」 レストラン / Santa Fe・ニューメキシコ vol.3」)
「Cuarzo de los Andes(クアルソ デ ロス アンデス)」アンデスの水晶。悩んで盛り上がってまた長居してしまった…いつも新しい世界をありがとう。
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その日私はクジラがくれた水晶を連れて帰りました。
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