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日本のBLドラマについて語ろう2024

BL、ボーイズラブ。
最近日本のテレビドラマでじわじわとその存在感が増してきている。
BL、いわゆる男性同士の恋愛を描くという文化(ジャンル)は日本においては歴史が長い。その詳しいところは過去、書いたことがあるので割愛。

それがコロナ禍でおこもり期間に、手軽にYouTubeで無料配信しているタイのBLドラマがどっと日本に流入し、一部の人だけの楽しみではなくなってきた。おそらくここに反応したのが日本のテレビドラマ界ではないだろうか。
もちろんその前にもBLドラマは作られていて一定の評価は得ていた。代表的なのが「おっさんずラブ」。単発ドラマでスタートした本作は、主演の田中圭を続投させ、相手役に林遣都を迎えて連ドラとして再び登場。

主演の田中圭の魅力もさることながら、コメディタッチのストーリー展開と役者が揃っていたこともあり、人気爆発。一気に裾野が広がった。
BL作品については漫画が最も盛んで作品数も多くあると思うのだけれど、実はその界隈には詳しくなくて作品数もさほど履修していない。なのであくまでもここではドラマを見た印象で話をし、原作の再現度や魅力については知識がないためご容赦を。


BLドラマレーベル「トゥンク」

大きな転機ともなったのがBLドラマレーベル「トゥンク」の開始。

https://nicochannel.jp/tunku-bl/

ここから定期的にBLドラマが発信されることとなり、深夜枠や発信するテレビ局が限定されていたりしたものの、今はTVerなど配信スタンドで見られるため視聴することは可能。全てのテレビ番組に言えることだけれど、配信期間が限定的であったりするものの本来ならば放送されない地方や忘れていても後から追いかけられるのはありがたい。ここでも裾野が広がる要因がある。しかもSNSでは盛んにハッシュタグで作品の素晴らしさなどが発信されているし、公式もそれらを歓迎している。追っかけ再生できる強みはここでも生かされている。

トゥンクでは、「不幸くんはキスするしかない!」

とか好きだったなー。

「先輩、断じて恋では!」も大好きだったなー。これ、エンディングが
凝ってて毎回楽しみだった。

見てもわかるように、若い男性が主役になることが多く、これで演技がうまくて表現力豊かな若い俳優を知ることも多い。ゴールデンのドラマや映画だと似たような人たちが並んでいることが多いけれど他にもたくさん素敵な役者さんたちがいるんだなぁと再認識することが多い。
この辺りから、若手俳優がステップアップするきっかけにBLドラマ出演がなっているという側面も出てきたように思う。

トゥンクは「飴色パラドックス」、「ジャックフロスト」、「4月の東京は・・・」、「体感予感」、「佐原先生と土岐くん」など定期的に作品を生み出した(現在トゥンクはクローズ)。
「体感予感」などは海外でファンミなどを行うなどその人気は国外にまで飛び火。こうなるとイベントなど、放送終了後にも盛り上がるきっかけが色々あって人気は放送期間に止まらず広がりを見せていくことがある。

トゥンク以外でも良作揃いのBLドラマ



BLドラマとしての新しい局面を迎えたように個人的に感じたのが、「美しい彼」。これは同名小説が原作で、濃厚なラブストーリーであるために映像化どうやるの?と思ったけれど、シーズン1は限定的な予算(だろう)の中で最大限原作に寄り添う形で映像化されたように思う。

放映直後は原作との違いも気になったりしたけれど、シーズン2、映画と繋がっていくにつれて、予算がついてきたのか主役2人の魅力も相まって満足度は爆あがり。素晴らしい作品で今でも大好き。

そしてこれは原作履修済み、漫画の世界観が大好きな「オールドファッションカップケーキ」

特に木村達成さんがモテるし仕事もできる外川にすごくハマっている。BL作品はタイでもあるあるなのだけど、学生ものが多い中で社会人モノは見応えあって個人的には好き。スーツ好きっていうのもあるかも。

最近BSでも再放送されていたけれど、「僕らの食卓」もほんわかしていてすごくいい。幼い弟君も交えて、家族で囲む食卓の温かさを改めて得ていく主人公が素敵。

2024年のBLドラマ

そして2024年。
さらにBLドラマの作品数が増えたように思う。

1月スタートの「おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!」

昭和の価値観で生きていきた沖田誠を原田泰造が演じてハマり役。自身の息子が引きこもりになり、友達として部屋を訪ねてきた青年がゲイだと知った父親が、推し活に忙しい妻、そしてBL漫画を描くことに情熱を傾けている娘とともに自身のアップデートを重ねていくという話。
BLと言うと、主人公が出会って恋して、というものがほとんどだけれど、こちらはちょっと変化球。息子がゲイになったらどうしよう!と焦る父親が、息子を理解したいという強い思いを糧に偏見を正していこうとする姿を通して、世間に蔓延る偏見、大勢の意見や常識などについて考えさせられる。
これって古い感覚の上司に悩む部下たちの話でもあって、共感性の高いストーリーだと思う。

同じく一月期のドラマ

こちらも社会人BLではあるけれど、舞台は大阪。転勤でやってきた曽我に一目惚れした料理人の栄枝がノンケで生真面目な曽我との付き合いに悩み、元カレ登場で更なる苦悩に陥る話。料理が相手の心を掴む、グルメ系BLって結構あるんですよねぇ。

3月スタートのこちら「恋をするなら二度目が上等」。
これ今年一番ハマりました!TVerの配信は大体、1〜3話までは無料配信が固定で残っていて、あとは最新話のみという形になることが多いけれど(そして最終話配信後一週間くらいで全部消える)、このドラマについては毎日というほど最新話を履修しましたねぇ。
主役二人が素敵で魅力的だったのと、色気がダダ洩れていて大人の恋愛っていうのが良かった。学生時代の恋を引きずっている二人の話で、昔の恋愛は幼かったこともあって成就せず傷ついて終わるのだけれど、学生時代を演じたお二人も初々しさと切なさが体現されていて感情移入がすんなりできた。タイトルバックの学生時代の二人、今の二人の移り変わりが良かったんだよなー。ドラマのタイトルバックが個人的にすごく好きなので注目ポイントにしてしまう。最終回に変化球があって歓喜したのも思い出すなー。

そして4月・・・こちらは韓国でのファンミが控えているドラマ「25時、赤坂で」

新原くんは「先輩、断じて恋では!」で金田の同期社員を演じていた時から綺麗な顔の子だなぁと思っていたのでいよいよきた!という感じ。
そして対するのは駒木根葵汰さん。存じ上げなかったのだけれど、「天狗の台所」で天狗の末裔を演じている方で(このあと慌てて履修中。しかもシーズン2があるらしい)この美しいお顔と感情を抑えた演技が際立っていた。ストーリーは、モデルとして成功し今や売れっ子の俳優となった羽山がなかなか芽が出ない新人俳優の白崎とBLドラマで共演することになるが、白崎はボーイズラブを理解したくて羽山に擬似恋愛の相手になってもらうという展開。共演俳優が本当の恋愛に発展していくというストーリーはなかなか胸熱。
個人的には羽山のキャラがすごい好きだったなー。白崎のことが気になるのだけれど表には出さない、出さないけど嫉妬が抑えられない。このバランスが最高だった。部屋もおしゃれだったし、料理が得意っていうので、最高にエロく二人でニョッキを作るシーンがすごかった!

そしてさらに乱立の様相を呈してきている夏。

界隈では、あの山崎まさよしが?!と騒然としたグルメ系BLドラマ「三ツ矢先生の計画的な餌付け」。それにしてもタイトルすごい。

考えてみたら山崎まさよしって確か映画なんかも出ていて演技経験はあるんでした、流石に芸能生活の長さも相まって思ったよりもはまっている。
こちらは人気料理研究家三ツ矢と過去に挫折を経験したいまひとつノっていない編集者石田が料理を通して急接近していく・・・というストーリー。
まだ始まったばかりなので今後の展開はわからないけれど、三ツ矢はゲイであるという自認があり、元カレなんかも登場してくるらしい。
三ツ矢の家にいる愛犬フリト(これは主題歌にも登場)が可愛いし、料理研究家という設定だけあって、作りたい!と思えるような料理が登場する。そういう意味でも楽しみ。

こちらもグルメ系と言っていいと思うけれど、大学生と警察官という異色の組み合わせ。「シュガードッグライフ」

大学生の唯純は童顔で背が低いのが悩みということで、田中洸希さんがぴったりな感じ。EP1ではまだ今後の展開が読めないかな・・・

そしてTVerでは一気に1〜2話が公開された「コスメティック・プレイラバー」

美容部員として働き、会社からはセット売りのような形で組まされている間宮と佐橋。佐橋は見た目もいいし器用が故に売り上げナンバーワンなのだけれど間宮にも堂々と意見してくる生意気な後輩。コツコツと真面目に努力する間宮のことをいつも揶揄ってくるのだけれど、間宮は佐橋のことを買っていてもっと頑張ってほしいと思っている。そんな佐橋はあることがきっかけでぐいぐい間宮に迫ってきてついにはキス・・・混乱する間宮に佐橋は一歩も引かず気にかけてくる。

これ、正直あまり期待していなかったのだけれど、すごく良かった。特に佐橋役の豊田くんの色気がやばい。奥野くんは「好きやねんけど、どうやろか」で栄枝くんの元カレ役を演じていてすごく良かったので、主演での登場は嬉しい。佐橋のぐいぐいはすごくいい!今後も間宮の心を掻き回してほしいなー。

そして界隈ではダントツに人気なのではないだろうか。ドラマ「下克上球児」で高校野球のメンバーとして共演していた二人が主演のBLドラマ。

「ひだまりが聴こえる」

航平は中三にかかった風邪の後遺症で難聴になった大学生。高校生活ですっかり周囲とのコミュニケーションが取れなくなってしまった航平は次第に孤独感を強め、距離を置くようになっていた。ある偶然から天真爛漫な性格の太一と出会い、ノートテイカーとして交流するうちに太一のことが好きになっていく航平。他の人の声は聴こえなくても太一の声ははっきり聴こえる。
好きな人の声は特別だということを、難聴という個性を持つ航平を通してその尊さが伝わってくる良作。
BLドラマと言えば、初回で二人の視線がバチッと合ってスローモーション、恋に落ちました・・・というような展開が多い中で、静かにゆっくりと交流を深めていき、主人公二人の魅力がじっくりと伝わってくることや、演技力の高さによる微妙な表情や言葉の発し方で心情が伝わってきたり、深く読み込むことができるなど、いろんな角度から楽しめるドラマ。
多くを語らず、語らせず、情景や表情、行動から心情を伝えようとするドラマ、昨今ではなかなかないだけにドラマ好きを唸らせている。
航平が太一に自分の気持ちを伝えてから、二人がどうなっていくのか楽しみ。

豊作!!!とにかく多い!今後放送される予定のものもあるし、今年はとにかく作品数が多くなることは間違いないと思う。


追伸

ああ、そういえばグルメ系BLとして外せない過去作が、「きのう何食べた?」。もう説明する必要ないですね、これは。

こちらも「おっさんずラブ」同様、すでに実力派として名が知られている俳優さんたちが多数出演しているので作品への期待度はいやでも上がってしまうドラマ。その期待に応えて、登場する料理はもちろんのこと、長らく一緒に住んでいる同性のカップルにどんな問題や葛藤があるのかよくわかる構成になっている。こちらは漫画も長らく連載していて、登場人物がそれなりに年齢を重ねているところも見所の一つ。年齢を重ねた時の悩みは多くの人にも共感があることと思う。
それにしても、いまだに同性婚にGoサインが出ないのは、量産されるBLドラマに反してままならない現実はまだまだある。フィクションと現実は違うものだけれど、恋愛や家族への想いなど、それがどういう形であれ尊いのだということへの理解が深まるといいなと思う。

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