つながる英単語ノート 1 urban, suburb, suburban

やるとかやらないとか言いつつ、ためしに書いちゃいます。

わりとまじめな、英単語の語源の話です。

ラテン語の名詞 urbs(都市)から派生した単語たちについて書いてみます。

ラテン語の urbs は、古くは十二表法(前5世紀)の中でも使われている単語で、都市、特に当時の都であるローマを指しました。

単数主格の形が urbs ですが、最後の -s は単数主格を指す語尾であり、語幹は urb- です。

この urb- に、形容詞を作る接尾辞 -ānus(語幹は -āno-)がついて、urbānus(「都会の」、語幹は urbāno-)というラテン語の形容詞ができました。これが英語に入って urban [2365](カッコ内はJACET8000の単語ランクです)という形容詞になりました。

-ānus は、ラテン語の Italiānus, Āfricānus からきた英語の Italian, African などでもなじみのある接尾辞です。

urbānus(「都会の」)に、さらに「下」「副〜」を意味する接頭辞 sub- がついて、suburbānus(「郊外の」、語幹は suburbāno-)というラテン語の形容詞ができました。これが英語に入って suburban [4680] という形容詞になりました。

接頭辞 sub- は、ラテン語で新しい単語を作るのに盛んに利用され、例えば subject, submit のもとになった subiectus, submittere などがあるほか、英語の接頭辞として、新たな英単語を作るのにも使われています。例えばゲルマン系の単語 way に sub- をつけて subway(地下鉄)になったり、同じくゲルマン系の単語 leader に sub- をつけて sub-leader(サブリーダー)になったりします。

「郊外の」という形容詞が suburbānus でしたが、「郊外」という名詞は、ラテン語では suburbium(語幹は suburbio-)といいます。接頭辞 sub- に、urbs(「都市」)の語幹 urb-に、接尾辞 -ium(語幹は io-)がついてできました。

-ium は中性の形容詞もしくは名詞を作る接尾辞で、mīlle(「千」、語幹 mīlli-)+annus(「年」、語幹 anno-)+-ium がくっついた mīllennium などでは英語でもそのままの形で残っていますが、suburbium は英語では suburb [3183] になってしまいました。

ちなみにもともとの urbs という単語自体は、そのままでは英語には入ってきていません。(『オックスフォード英語辞典』には urbs と urb なる英単語が載っていますが、普通の辞書には載っていませんし、ぼくらが覚える必要もないでしょう。)それは、「都市」と言うには city という別の単語があったからでしょう。これもラテン語から、フランス語経由で入ってきた単語ですが、その話は別の機会にすることにしましょう。

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urbs から派生した英単語は、英語の中でできた exurb(準郊外)など、ほかにもありますが、そんな難しい単語を紹介するよりは、まずは基本の8000語くらいをこういう形ですべてカバーすべきだと思っています。もしこういう記事に需要があれば、ですが。

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