ゾンビランドのお姫様

#OMEDETOLLIEの時に書いた短編になります絵本のお話のような優しい展開を目指しましたがなかなか難しいものでした。

麗らかな陽気のある日一人の少女が森を歩いておりました
彼女の名前はクレイジー・オリー
かわいいかわいいゾンビランドのお姫様です

森を歩いているとラーメンの屋台を見つけました
彼女はラーメンが大好きです
入ってみることにしました

のれんをくぐると店主の威勢のいい声が飛んできます
「へい、いらっしゃい!」

「SELAMAT PAGI」
彼女も元気よく挨拶をします
そうすると店主は何かに気づいたようです
「あんた、もしかしてお姫様かい?」

「うん!そうだけど!」
オリーは隠さず宣言しました
すると店主は笑って
「まさか、お姫様に来ていただけるとはな!なんでも好きなのを食べていきな!」
といいました
オリーは喜んで
「え!それじゃあ、ゾンビ味噌ラーメンをちょうだい!」
ゾンビ味噌ラーメンとはゾンビランド特産の野菜がいっぱい入っている味噌ラーメンです
「キャベジは入れないでね!」
オリーはキャベジが大嫌いでした
「嫌いなものもしっかり食べないとだめだぞ!」
店主は言いましたが
「嫌なものは嫌なの!」
オリーは聞きませんでした
「はいよ、ゾンビ味噌ラーメンキャベジ抜きお待ち!」

もぐもぐ、もぐもぐ

「ごちそうさまでした!」
オリーは食べ終え明るくそう告げると店を出ていきました

「またきてくんな!お姫様!」
店主も笑顔で見送ってくれました

ずんずんずんずん森を進んでいくお姫様
すると小道からけがを負ったシカが現れました

「あら、どうしたの?けがをしているじゃないこのままじゃゾンビになっちゃうわ!」
オリーはシカに問いかけます、生きている存在はゾンビランドではとても大切に扱われるのです
「おおこれはお姫様、実はここの近くにバラがたくさん咲いている場所があるのですが、そこで茨に絡みつかれてしまったのです」

「なんて悪いバラなのかしら!ついてきて手当してあげる」
お姫様はそういうとシカの体を支えながら、さっきのラーメン屋まで連れていきました

「へい、いらっしゃい!ってさっきのお姫様じゃないですか!いかがなさったんで?」

「じつはここを出てからすぐに傷ついたシカに出会ったの、何とか手当てしてあげたいのだけど、何かない?」
店主は少し考えるとオリーに向かって言いました
「確かこの森を抜けた先に病院があったはずです、そこまで行ってみてはどうですか」

「わかったわ!教えてくれてありがとう」

お礼を伝えてお辞儀をするとオリーは出ていこうとしましたが
「ちょっと待ってくだせぇ、お姫様」
店主が呼び止めました
「そのシカも弱ってるみたいで腹が減ってるでしょうから、これをもっていってくだせぇ」
店主はそういうとキャベジを差し出しました、オリーは少し戸惑いましたがこれもシカのためだと思い快く受けとりました
「ありがとう!」
オリーは再びお礼を言うと今度こそ店を出ていきました。
「お待たせ、シカさんまだ歩けそう?」
「ええ」
「それならよかった!この森を抜けた先に病院があるそうなの、いってみよう!」
二人は病院へ向かって歩き始めました少し歩いてからシカはオリーに問いかけました
「なぜただのシカの私をこんなにも気遣ってくださるのですか?」
オリーは得意気に答えます
「当たり前じゃない、だって私はこの国の姫なのよ!」
しかしシカはまだ問いかけます
「ですが、あなたはゾンビのお姫様なのでしょう、ならば私を殺してゾンビにしてしまった方がよいのでは?」
オリーは少し悩みましたが、すぐに理由を語り始めました
「それはそうかもしれないけれど、生きているものを殺したりはしないわよ、だって命はそこにあるだけで美しいのですもの、ゾンビも良いけれどそれとはまた違うの」
シカはそれを聞きオリーの優しさに気付きました、
「あっ、そういえばさっきお店の人からキャベジを貰ったのだけど食べる?」
「よろしいのですか、でしたらいただきます、姫は食べないので?」
「私はいいわ、そのキャベジは苦手なの苦いし芯の部分とかジャリジャリしてて固いし」
「そうですか…」
そうこうしているうちに、二人は病院の前までたどり着きました

コンコン

「だれかいませんかー」
オリーはドアの向こうに向かって尋ねます、するとドアの向こうから声が帰ってきました
「はーい、今開けまーす」
ドアから出てきたのはきれいな白い髪をしたわかい女性でした
「本日はどんなご用ですか?」
その女性はやさしい声で尋ねます
「怪我をしたシカを助けてほしいの」
オリーがそう言ってシカの傷を見せると、彼女は微笑みながら部屋に入れてくれました
「そんなに重い傷ではないから大丈夫ですよ、そこら辺の椅子に掛けていてちょうだい」
彼女はそういうと奥の部屋に入っていきました
オリーは今一度部屋をみまわして思いました
「汚い…」

「そうですね」
シカも同じことを思っていたようです
オリーは片付けようかとも思いましたが、森を歩いてきて疲れたのでやめました
椅子に座ってぼーっとしていると
奥に行った女性が帰ってきました、なにやらすごい模様が描かれた布を手にしています
「その布はなに?」

「ただの布切れですよ」
彼女はそう言うと布をシカの傷口に押し当てました
そうすると押し当てたところから光があふれたのです
オリーはたいそうおどろいています
その女性はオリーの方を向きいたずらに微笑み、
布を取りました
するとシカの傷は治っていました
「どうやったの?」
オリー尋ねました
「私は何も?」
オリーは納得できませんでしたが、すぐに追い出されてしまいそれ以上のことは聞けませんでした
「今のは何だったんだろ?」

「さぁわかりません」
当のシカ本人もよくわかりません
「治っているからきっといいのよね!」

「ええ、きっと今なら何千里でも駆け回ることができそうです!」

「良かったわ!ではここでお別れね…」
オリーは寂しそうにそういいました
「はい、ではまた!」
そういうと、シカは軽やかにしかし力強く大地を踏みしめながら去っていきました
その姿を見送るとオリーは思い出しました
「あっ、今日配信の予定があったんだったわ!早くお城に戻らないと!」
オリーは城にかけていきました

はてさて今日はいったいどんなことをしてみんなを楽しませてくれるのでしょうか

ゾンビランドからおやすみなさい

END

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