山の中を20km走るレースに出て感じた事(週末日記#19)

6月23日(日)、秩父の小鹿野町で行われた「両神山麓トレイルラン20.7kmの部」に参加した。初めてのトレイルランで反省点が多くできたのでこの記事に記しておこうと思う。

加えて、トレランの技術的なこととは別に、人間性の部分でも学べたこと、精進すべきことが見えてきたので同様に記していく。

長くて辛いスポーツの先に人はどんなことを思うのか、ということが気になる方の参考になれば幸いだ。

結果とコース:

コースと結果
700mの山を4周するコース

公式タイム:3:33:11
20.7km 男子18〜39歳:27/68位
男子総合:81/550位
総合:85/750位

技術的な部分での改善点

登り力の無さ

まず第一に挙げたいのが登り力、すなわち山を登る筋力と体力が不足しているということだ。

今回のレースは700mの山を20kmの間で4回越えるというなかなか厳しいコースであった。三周目以降は足の筋肉(主にふくらはぎと太ももの前面下部)の疲労が限界まで達し、うまく登ることができなかった。

原因としては、登山ほどの急勾配を登る練習をしていなかったためであると感じている。草津の山で、車道を辿り18kmほど走る練習を一度していたためそれで大丈夫だと思っていたが車道とは全く別物であった(写真参照)。

これでも楽な方である

8月ごろに30〜40kmほどのレースに参加したいと思っている。そのためには、高尾山などの走れる山で走力を鍛えたり、本格的な登山なども練習に取り入れて、山力を鍛えていく必要がある。

補給の仕方

トレイルランニングは補給が非常に大事なレースだ。20kmくらいであれば補給が下手でも致命傷にはならないが、僕が完走を目指している100kmくらいになると、補給をうまくできないだけでリタイアになってしまうことがある。

今回のレースで僕は2400キロカロリーほどのエネルギーを消化した。これはビックマックセット二つ以上だ。つまり、走る前にビックマックを二つ食べないと補給なしでは途中でガス欠になってしまう。

もちろん出走前にそんなに食べることはできないため、走りながら何か口にしなければならないということになる。

トレランではコースの途中でエイドステーションと言って、食べ物(フルーツや菓子パンなど)と飲み物(お茶、スポーツドリンク、コーラなど)を提供してくれる所がいくつかある。今回のレースでは一周につき2回ずつエイドによることができた。

しかし、過去にスポーツの経験がある人ならわかると思うが、有酸素運動をしている最中及び直後は食欲が全くわかない。フルーツや梅干しなどの酸っぱいものは口にできたが、カロリーがあるものはあまり口にできなかった。そのため、途中で体力が切れて山を一定の速度で登れなくなってしまった。持参していたゼリーを飲んだらだいぶマシになったが、いやでも1時間に一度ほどは何かを口にするべきだった。

これから100km完走にあたって、走りながら定期的にエネルギーを補給していく練習をしようと思う。食べやすいものを探すのも必要だ。

人間性での改善点

辛い時の心の余裕のなさ

このレースはとにかく精神的に辛かった。幾度も続く登り坂とその後に襲ってくる急激な下り坂、それを4回も回る。正常な精神状態を保っているのは至難の業だった。

そんな中でも最も助けとなったのは沿道やエイドで応援してくださる方々の声援だ。僕は感謝を忘れないために「一人も欠かさず挨拶を返す」ということを意識していたがそれでは返せないほどの元気をもらえた。一人では絶対にこのような結果を出せなかったと思う。

そんな声援を受けても、最後の周回に差し掛かった頃には精神的に余裕がなくなっていて(それでも挨拶だけは続けた)、それはゴール直後まで続いた。母と兄が応援に来てくれていて写真や動画をとってくれていたが、僕はとにかく立っていられないほどに足が痛かった。そのため一刻も早く車に戻って休息を取りたかったために、二人を駐車場に早く案内するように急かしてしまった。

この瞬間に自分の感情に違和感を感じ、観察してみると、「辛いことを成し遂げたのだから早く労ってくれ」というような感情が芽生えていることを悟った。口調も少し強かったと思う。

辛いがために心の余裕がなくなってしまい、周りの人への感謝や配慮の感情がなくなっていた。これを改善するには認識と訓練が必要であると思う。一朝一夕では改善できないことであるため、この記事を書いただけで何かが変わるわけではないが、弱みの認識のためにはなる感じている。

こんなことは日常の些細な言動の一つで、全てに気を使っていたらストレスが溜まるのでは、と思われるが、ストレスは微塵も感じていない。こうやって日常的には滅多に味わうことができない辛い経験をした後の自分を観察し弱みを改善していくことは非常に重要だと感じている。そこにストレスは一つもない。

周りを意識してしまう

次に、日頃からも自分の課題だと認識している「周りと比べて自分の軸を失ってしまうこと」だ。

トレイルランはあくまでもレースなので一緒に走っている人と順位を競い合うことになる。完走後には順位も出る。そのため周りの速度や自分の今の順位を意識してしまいがちだ。

もちろん、それは何も悪いことではない。むしろ本気で順位を狙っている人たちには重要なことだろう。

だが僕は自分の成長のためにトレイルランニングをしているため、周りとの比較はまるで必要ない。が、今日は周りの速度に影響されてペースを乱したりする場面が多々あった。自分に勝つことにだけ意識すると脳内で唱えても、横に人が来ると意識してしまう。まだまだ未熟だ。

これを改善するためには二つ重要なことがあると感じている。

  1. 志を持ち、常に忘れない事

  2. 日頃から比較を自制するトレーニングをすること

一つ目の「志を持つこと」は個人的に自分の人生において非常に重要だと感じていることの一つだ。志とは、人によって異なるが、その人の生きる哲学も然り、夢やなりたい姿など、自身の理想の姿のことをいうのだろう。それを常に心に留めておくことで、人との比較ではなく、目標とする未来の自分との比較、すなわち自分にのみフォーカスし周囲の人を気にすることがなくなる。

二つ目は、それを日頃からトレーニングする、ということだ。人は少なからず一日に一回以上は他人との比較をしてしまう。それに気づいたら「なぜ比較してしまったのか」、「どういう感情が生まれているのか」の二つを意識することが大事だと思う。その過程を通して、完全とは言えないが少なからず自制の練習にはなると感じている(個人的な見解なので参考程度にしてほしい)。これは一朝一夕で習得できるような容易なことではないため、日頃から意識して自分の感情との対話をしていく必要があるだろう。

締め〜辛いことをする理由〜

以前、記事で書いたことがあるかもしれないが、僕は自ら辛い体験を生み出すことは自分自身の成長に大きく影響を与えると思う。

「かわいい子には旅をさせよ」という言葉の意の中には、僕が言わんとしていることが含まれている。一人で乗り越えなければならない辛い経験は必ず(程度は違えど)意味のある学びを生み出す。したがってこの諺は「本当にかわいいと思っていて、その子の成長を願うならば辛い経験をさせるべきだ」という意味がこもっているのだと思う。

僕はこの体験を親からではなく、自らが生み出し成長に繋げたいと感じている。もちろん、こんなにも熱心になっているのは、自分の成長だけに限らず走ることや長い時間同じことを繰り返すことに楽しみを感じていることが要因であると思う。

何かを粛々とこなしていくには「楽しむこと」が最適解であるのは間違いないだろう。これをみてくれている方もそれを意識して何かに打ち込んでくれれば幸いだ。

では、次の記事で。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?