生田絵梨花 卒業コンサート

 私が通っていた高校は雪国にあった。通学路になっていた片面が桜並木の道を歩いていると、道がまっすぐであることと、潔く視界が開けているため、空から降りてくる雪が街から漏れてくる光に照らされるのがはっきりと見えた。その美しさに何度も立ち止まっていた。音がかき消され、静まった空気にピアノの鍵盤をゆっくりと叩いたような余韻が聞こえてきそうだった。2017年の冬であった。 
 
 乃木坂46の『インフルエンサー』という曲がレコード大賞を受賞し遍く知れ渡った。無論私も衝撃を受けた一人であった。それから本格的に乃木坂を追うようになり、ほぼ陶酔していた。グッズを購入する術やお金を持ち合わせていなかったので、とにかく拾えるだけのコンテンツを食い入るように拾い、彼女たちの魅力に何度もみせられた。それをきっかけに仲が良くなった友達もできた。旅行好きになったのも乃木坂のイベントに赴くようになり、各地を気軽に回ることができるようになったからだ。

 乃木坂の中でも特に惹かれたのは「生田絵梨花」というメンバーだった。応援するならこの人だと素直に思った。推しははじめ何人か候補ができ、少しの時間を経、ある時ふいに起こる決定的な衝撃に因って決まることが多いように思える。しかしながら、彼女の場合は違った。今思えばなぜいくちゃんを推しにしようと思ったのかはわからない。本当によかったと思っている。
 いつからか私はピアノの奏でる音が好きだった。そしていくちゃんの歌声も好きだった。

 卒業コンサートを以て『歳月の轍』という曲をはじめて聴いた。私がずっと好きだったその歌声とピアノの織りなす旋律は、雪の降りしきる冬の空に悲しいほどに美しく響いた。彼女は真っ白なピアノ、真っ白なドレス、真っ白な肌から、まるで光を放って輝いているように見えた。

 四年という歳月の轍を振り返ると、真っ白に輝く雪でいっぱいだった。
 いくちゃん本当にありがとう。おつかれさまでした。

#生田絵梨花卒業コンサートDay2
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