#151 利益相反取引-⑧

やっと少しづつ会計の勉強のやる気が出てきた古田です(今日の勉強時間は1時間でした。#やる気とは)

さて,昨日のブログ(こちら)の続きです。昨日までで,一応,「何が利益相反取引に当たるのか」ということについて説明を終えたつもりです(#つもりなのでご注意を)。ざっとまとめると,利益相反取引には「直接取引」と「間接取引」の2種類があって,取引相手が取締役本人又は取引相手の窓口が取締役なら,即座に「直接取引」に該当し,そうじゃない場合は,次に,「間接取引」に当たるかどうかが問題になります。そして,間接取引に当たるかどうかは,その取引を「外形的・客観的に見て取締役と会社の利害が相反しているか」という基準,言い換えると,「別の会社や取締役が舞台になったとしても,同じ取引をした場合に,会社の不利益と引き換えに取締役が利益を得ていると言えるかどうか」という基準で,判断するということでした。

このように簡単にまとめられることを,くどくど何日にもわたって説明しているのは,説明する際にいろいろと脱線して書くことが,法律(会社法)の深い部分を学べることになると思うからです。

これって,いろんな場面に当てはまると思うのですが,「何か深いこと・本質を話してください!」と真正面からテーマにされたとしても,なかなか,ストレートに深い部分や本質を語ることは難しいと思います。むしろ,具体的なエピソードを話しているところで,ふと本質に直面するような気がするんです。「神は細部に宿る」とでも言うのでしょうか。めちゃくちゃ細かい分野について話しているときにこそ,他の分野にも相通じるような,本質的な部分が見え隠れすると僕は思っているのです。

特に,僕の場合,いきなり「深い話を!」という語り口が苦手です。もっともっと,目の前の見えてくるような,具体的な話をしたい。僕自身も,抽象的な話を抽象的なままやるのがめちゃくちゃ苦手なので,よくよくイメージできるような話に落とし込むようにしています。

さてさて,今日も前置きが長くなりましたが,今日は,「じゃあ,結局,利益相反取引に当たるとしたらどうなるの?何が違法になるの?」という話をします。

僕自身,ここ数日間ずっと会社法関連の話を書いていますが,こういった会社法を含め,企業法務の分野は,僕よりも遥かに優秀な弁護士の先生方が,本当に高度な専門性を持って,事件に取り組み,研鑽を重ね,研究を進めてらっしゃいます。だから,こういった話は,そういった専門性を持った弁護士に聞けばいいでしょ(情報発信すればいいでしょ)みたいな風に(僕自身としても)思えるのですが,なんというか,僕が,こういった専門性の高い分野の話をする意味がなくはないと思っています。というのも,そういった専門性の高い弁護士の皆さんは,僕のような,どこにでもいるような弁護士が普通に経験する,離婚・相続・交通事故・刑事・少年なんかを,あんまりやったことがないと思うのです。離婚事件で調停をなんとか成立させるときの語り口や,少年事件でどんな風にお父さん・お母さんと話をするのか,刑事事件の示談はまずもってどういう風に被害者と話をするのか,こういった経験は,企業法務を専門的にやっている弁護士の先生方には,なかなか,難しいと思うのです。僕の強みは,会社法にも興味を持ち,勉強・情報発信をしながらも,少年事件や離婚・相続にも,やりがいを持って仕事に取り組んでいることです。

僕が書いたことよりも,もっともっと専門的な話は,やっぱり経験がないので難しいですが,そこまで専門的な知識を有しているなら,なかなか,少年事件や離婚事件の経験はないでしょうね。離婚事件や少年事件って,めちゃくちゃおもしろくてやりがいがある仕事なのに,それをできないのはもったいないなぁと思ってしまいます。もちろん,弁護士の戦略として,専門性を持つのは大事だとは思いますが,その専門性を身につけるのは本当に大変だと思います。その分野で,他の先生と競争になってくるだろうし,新しい知識のインプットを欠くことができませんからね。離婚事件や少年事件に専門性がないとは言いませんが,ある程度事件処理ができるようになるには,僕くらいの年数でも,十分な知識量を身につけられると思います。だから,こういった,それなりに事件数がある分野を,それなりに事件処理できるようになることは,コスパもいいわけです。僕の場合は,コスパが良いだけでなく,好きでもあるんです。このことが,何よりも僕にとって良かった点です。

もう,本当に余計な話が多くなってしまうのですが,閑話休題。先に行きます。

さて,「利益相反取引」,つまり,「直接取引」又は「間接取引」をやろうとする場合,その取引に先立って(つまり,契約の締結=契約書に調印する前に),その取引をやることについて,株主総会で承認されなければなりません。

また日産自動車と古田の例を出しますが,この例では,日産自動車の東川代表取締役が日産自動車の窓口になって(代表して),銀行と保証契約を締結する,ということでした。東川代表取締役が,保証契約の契約書に調印する前に,株主総会で,保証契約を締結することが承認されてなきゃいけないわけです。

「株主総会の承認」

これも,なんとなく,わかったようでわからないワードです。

で,「株主総会の承認」は取締役会が設置されている会社では「取締役会での承認」で足ります。

・・・・とまあ,こういう感じで会社法の教科書は進んでいくわけです。どんどんわからないことが増えていく。ああ,法律って難しい。僕も,いつもそう思います。こう書いてくると,何がなんだかわからないまま,文章が進んでいくので,なんかずっとわからないままになってしまう。ひとつひとつを理解しなきゃいけないのに,どこがどうわからないのかわからない。

僕だって,全く特別な人間ではないので,こういった記載をスラスラ~と理解できたわけじゃありません。何回も何回も繰り返していくことで,なんとなく,少しづつ理解していった(#多分)。

ここで前提となるのは

・「株主総会の承認」って何よ?

・「取締役会の承認」って何よ?

・「取締役会がある会社とない会社があるの?なんで?」

という知識です。

こういった知識の蓄積が必要です(まあ,法律の勉強に限ったことではないですが)。そして,知識というのは,進みながら蓄積していく。教科書は先へ先へと読み進めるのだけれども,わからないところは後ろへ戻って,足りない知識を確認する。わからないことがわからないことも頻発しますが,その場合は,なるべく文章を分解して,わからない部分を特定していく。もう,そうやって,自分なりに積み重ねていくしかないような気がします。

さて,じゃあ,「株主総会の承認」の話からしていきたいと思いますが,今日はちょっと疲れましたので,ここまでにします。無理しても仕方ありませんから。

それではまた明日!


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