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特別養子とは何か知っておいたほうがいいと思います

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このブログでは、2019年7月にうつ病を発症し、それをきっかけに同年12月からブログを始めて、それ以降、900日以上(ほぼ)毎日ブログ更新してきた、しがないサラリーマン弁護士である僕が、日々考えていることを綴っています。

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【 今日のトピック:特別養子 】

児童相談所で働いていると、「子どもを特別養子にしたい」と言ってくる親(特に母親)が、それなりにいらっしゃいます。

僕は別に、「特別養子にしたい」という考えが悪いとは全く思っていません。

「特別養子」は、法律に定められた制度ですから、それを利用したいと思っていいに決まっています。

しかし、「特別養子」という制度がどんなものか理解しないまま「特別養子にしたい」と思っている人が多いような気がします。

まあ、内容をきちんと理解しているかどうかは、関係ないのかもしれません。

例えば、「遺産分割協議書」を考えてみましょう。

遺産分割協議書とは、相続人が2人以上存在する場合に、死んだ人の財産=遺産を、誰にどのように配分するか決める書面です。

この書面に署名押印すると、後から、その内容を覆すことはできません。

このことを知らなくても、署名押印したのなら、後から覆すことはできなくなります。

遺産分割協議書について法的に理解しているかどうかは関係なく、署名押印したかどうかが大切なのです。。

遺産分割協議書が、法的にどのような意味を持つのか知っているかどうかは関係なく、遺産分割協議書に署名押印したら、後からそれを覆すことはできないのです。

ただ、認知症などの病気で、理解する能力に欠けていれば、それを理由に後から覆すこともできなくはありません。

そういった極端な場面じゃない限り、法的な意味を知っているかどうかは無関係です。

だから、「特別養子」がどんなものか知らないまま、「特別養子を希望する」と言っていいとは思います。

それはそうなんですが、よく知りもしないままOKを出してしまうと何が起きるのかというと、「そんなの知らなかった!」です。

よく知りもしないままだと、必ず、「そんなの知らなかった!」が起きます。

もちろん、「そんなの知らなかった」と言っても、それは、よく知りもしないままOKを出した人が責任を負わなきゃいけません。

よく知りもしないなら、OKを出さなくてもよかったのです。にもかかわらず、よく知りもしないままOKを出してしまって、その責任を自分で背負わないなんてのは、身勝手です。

よく知るためには、かなりの時間が必要ですが、その時間を節約して、「知りもしないままOKを出すリスク」をとるのも、その人の自由です。

だから、「よく知りもしない」リスクを背負うのもアリで、あとから「よく知らなかった!」なんて言い出すのはワガママです。

さて、いろいろとゴタクを並べましたが(この世界を支配する「ゴタク」すら知らない人も多いので、ちょっと書いてみました)、じゃあ、特別養子についておさえておきたいポイントは何かというと、1つめは、裁判することです。

特別養子は、必ず、家庭裁判所で裁判します。家庭裁判所が出してくれる「審判書」がないと、役場の戸籍課が、特別養子の戸籍を作ってくれません。

しかも、この裁判には、実親が呼び出されます。実親が裁判に関わらなないと、特別養子の「審判書」は書いてくれません。

本当に、実親がどこの誰かわからず行方不明なら、「審判書」を書いてくれることもありますが、子どもをそんな状態にしてしまうと、保護責任者遺棄罪になりかねません。

特別養子は悪いことではないのに、子どもを放置してしまうと悪いことになってしまいます。

それと、「特別養子」は、子どもを養親の実子にする制度ではありません。養親はあくまで養親です。実親ではありません。

特別養子の何が特別なのかというと、実親との親子関係を法的に終了させることです。

つまり、子どもは、法的には、実親を失ってしまい、法的には、親が養親だけになってしまいます。

戸籍上は、続柄に「長男」とか「長女」と書かれて、実子のように見せかけていますが、それは別に、養親の実子にしてあげたわけではありません。

そもそも、特別養子でなくても、養子と実子で、親子関係は同じです。

養子だから子どもではないとか、そんなことはありません。

特別養子でない養子なら、子どもは、実親と養親で、親が2組できることになりますが、特別養子では、実親は法的には親でなくなってしまいます。

そんな人生を子どもに押し付けるのが、特別養子です。

で、もう1つポイントがあって、それは、母親の意向だけでは特別養子を成立させられないことです。

母親だけでなく、父親も特別養子に同意しなきゃいけません。母親がどれだけ特別養子を望んでも、父親が望まなければ、原則として、特別養子にはなりません。

同意がなくても特別養子を成立させることも可能なんですが、「実親との親子関係を終了させる」という、ハチャメチャに重大な効果が発生するので、父親の同意がないと、裁判所はかなり特別養子の成立を渋ります。

親子関係が終了するのは、母親だけではないからです。

母親との親子関係だけでなく、父親との親子関係も終了させるのが特別養子です。

まあ、自分の子どもとの親子関係が終了してしまうことを、ふつうは嫌がるでしょうから、母親が特別養子にしたくても、父親が反対するのも、あるあるです。

さてさて、こんなふうに、特別養子には、押さえておくべきポイントが、いろいろとあります。

このポイントを知らないまま特別養子を希望するのも、本人の勝手ですが、僕としては、後から「そんなの知らなかった!」なんてことが起きないように、事前に特別養子について知っておいたほうがいいかなと思っています。

それではまた明日!・・・↓

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