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特別養子と普通養子(親子関係が終了するかどうか)

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このブログでは、2019年7月にうつ病を発症し、それをきっかけに同年12月からブログを始めて、それ以降、900日以上毎日ブログ更新してきた、しがないサラリーマン弁護士である僕が、日々考えていることを綴っています。

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【 今日のトピック:特別養子・普通養子 】

日本には、「普通養子」と「特別養子」という2つの養子縁組があります。

どちらも養子縁組なので、その点は一緒ですが、名前が違うわけですから、いろいろと違う点はあります。

ただ、養子縁組が成立した際の法的な効果の違いは1つです。

つまり、普通養子だと実親との法的な親子関係は残りますが、特別養子だと実親との法的な親子関係が終了します。

この違い1つです。

この1点が違うことが原因で、他にも様々な違い(年齢制限や成立プロセスなどの違い)が出てきます。

例えば、普通養子は、養子が成人(18歳以上)であれば、養子と養親が養子縁組届を提出するだけで成立しますが、特別養子は、家庭裁判所の審判によってのみ成立します。

普通養子も、子どもが未成年だと、家庭裁判所の許可が必要ですが、「許可」のみです。

また、祖父母が孫を養子にしたり、妻の連れ子を養子にしたりする場合は、家庭裁判所の許可すら必要ありません。

しかし、特別養子だと、こうはいきません。

民法に、特別養子の成立要件がいろいろと書かれていて、家庭裁判所の裁判官が、その要件をすべて満たすと認めて初めて、特別養子が成立します。

特別養子は、届出を役所に出して、それで養子!というわけにはいきません。

それはひとえに、実親との親子関係が法的に終了してしまうからです。実親との親子関係が法的に終了するので、もちろん、実の祖父母との法的な親族関係も終了します。

世の中では、離婚する際に、夫と妻のどちらを親権者にするかどうか非常によくモメます。本当に頻繁にモメるので、単独親権という制度自体に対する批判が高まっていますが、特別養子は、親権どころの騒ぎではありません。

当たり前ですが、離婚によって親権者じゃなくなったとしても、法的に親子であることに変わりはありません。

親権なんて、18歳になれば自動的に消滅する程度の儚い権利ですから、そんなこだわるようなもんじゃありません。法的な親子関係は残るわけですから、離婚した後も、親として接すればいいです。

しかし、特別養子が成立したら、法的には、親ではなくなります。

もちろん、「誰のお腹から生まれたのか」「受精した精子は誰の精子か」という、過去の出来事は変えようがないので、生物学的な親子関係に変わりはありません。

生物学的な親子関係は変えようがないのに、法的には、親子関係を終了させてしまうという仕組みを作り上げて、それを、日本では「特別養子」と呼んでいるのです。

だから、特別養子となった子どもには、法的には、実親が存在しなくなります。実親がおらず、養親しかいなくなるのです。

普通養子だと、養子には、実親も養親もいます。だから、実親が死んだら実親の財産を相続できますし、養親が死んだら養親の遺産を相続できます。

養子から見れば、実親も養親も、どちらも親です。養親だから相続できないとか、実親を相続したんだから養親は相続できないとか、そんなことありません。

普通養子だと、実親と養親という、2組の親がいることになりますが、特別養子だと、養親だけになってしまいます。

ただ、戸籍上は、特別養子が成立すると、「養子」という表記ではなく、「長男」や「長女」と記載されます。

「長男」や「長女」と記載されても、養子は養子です。

なんか、言う必要のないこと繰り返しているだけにも見えますが、養子である事実は、子どもに隠してはいけません。

そもそも、特別養子は法的に認められた制度なので、それを利用することは、全く悪いことではありません。

そりゃあ、誰しも利用する制度ではないでしょうが、誰かが利用することを想定して作られているのは間違いありません。

それを利用しているだけなのに、「普通じゃない」とかなんとか言っていろいろ言ってくるやつは、心底うんこだと思います。

「普通かどうか」という、クソみたいな価値基準に縛られた上、法律で認められている制度なのに、それを自分が知らないこと(=自分の知識不足)を棚に上げて、「もらい子」なんて揶揄するやつは、シンプルに消えればいいと思います。

自分の知識不足を顧みないまま、知識不足のせいで人を傷つけるやつは、消えるしかありません。

養子であることは、わざわざ公表するものでもないでしょうが、それを、他でもない養子本人に隠し通すことはできません。

だから、僕は、「特別養子は、あくまで養子」ということを強調しておきたいのです。

特別養子は、実子に変わる制度ではなく、実親との法的な親子関係を終了させる「養子」なのです。

本当に、わざわざこんなことを言う必要はないのかもしれませんが、たまに、特別養子を養子ではなくて実子と同じように考えてしまう方がいるので、書いてしまいました。

すみません。

それではまた明日!・・・↓

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