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“フットボールが日常の一部となっている世界”  フランス最高峰の熱量を誇る港町から

私ルシアンは僭越ながら3月の初めから一週間半ほどフランス旅行をしてきました。

同時期に他のヨーロッパの国を選択しようかという迷いもあった中でフランスを旅先として選んだ理由は、航空券が一番安かったからです笑笑。

それも1つの理由ですが、最大の目的は普段画面上でリーグアンの試合をたくさん観戦しているため、ぜひ本場の空気を味わってみたいと思ったために決断しました。

そんな中で今回はパリとマルセイユに赴き、マルセイユにて「マルセイユ×ストラスブール」の試合を生観戦してきました。

ストライキ中だったこともあり、トラブルも少なくなかった今回の旅行ですが、学びもたくさんあったため、かなり良い経験ができました。

今回の旅行は地域性や人間性を主な着眼点として周遊してきた次第ではありますが、中でもフットボールに観点を置いたところから語るとするならば、試合が行われた現地マルセイユではフットボールに対する人々の考え方・行動が日本とは大きく異なっていることを改めて肌で感じることができました。

今回はフランス最高峰の熱量を誇る港町マルセイユ、フットボールが日常の一部になっている世界で見た現実について綴っていきたいと思います。



漁業で栄えた旧港が美しい街

マルセイユの旧港

マルセイユはフランスの南西部に位置する、かつては漁業で栄えた街です。フランス国内ではパリとリヨンに続いて3番目の大都市に位置づけられています。パリを東京とするならば、海にちなんで福岡といったところでしょうか。

マルセイユは治安が悪いというイメージが多いですが、旧港付近は観光客も多く、様々な楽器を持ったパフォーマーたちがいて、雰囲気はかなり良好です。少し離れれば確かにアフリカに来たかのような街並みになっており、坂も多いため歩くととても疲れます。

私も今回は旧港付近のホテルに宿泊しました。サン=シャルル駅からは徒歩20分程度でしたが、やはり坂道が多く、重い荷物を抱えながらかなり辛い思いをしました。そのため、帰りはタクシーを使ってホテルを出ました笑笑

マルセイユの街並みを一望できる大聖堂へ行く[Petit Train]や名物料理のブイヤベースなど、観光名所としての魅力も多い街です。他の方のより詳しい情報を入手して細心の注意を払ってこの街を満喫してみてはいかがでしょうか。

マルセイユの街並み



今でもなお愛される酒井宏樹

マルセイユ時代の酒井宏樹

現在は浦和レッズに在籍している酒井宏樹選手がマルセイユのディフェンスラインを長く支えていたのはかなり知られていることですよね。私の拙いフランス語でマルセイユの人々とうまく会話できないような場面は多くありましたが、 [Hiroki Sakai]と言えば相手もすぐに笑顔になって接してくれました。

ちょうど私がフランスに行っている間、日本ではWBCが盛り上がっていました。ちょうど日本ラウンドが行われている時間帯は現地ではお昼時のため、私も昼食をとりながらちょこちょこ結果を確認していました。

するとウエイターが「何見てるんだい?」と話しかけてきたので、素直に「WBCだよ」と答えたところ、「何の大会?アマチュア?」と、、、。野球の世界大会ということを伝えると少々荒い言葉でWBCを揶揄われてしまいました、、、

現地では[Shohei Ohtani]も通じず、やはり[Hiroki Sakai]というと少し盛り上がる感じでした。それほど彼はマルセイエーに愛されていて、サッカー人気が高いフランスではかなり知名度の高い人物なのです。

ちなみにパリ市内では[Takumi Minamino]や[Junya Ito]といった今季からリーグアンで戦う日本人の名前も通じました。フランス語や英語でのコミュニケーションがうまく通じない時はサッカー選手やサッカー用語を出せば何となく良い雰囲気にはなります。



いざスタジアムへ! 気になる治安面は?

マルセイユの旧港からオランジュ・ヴェロドロームまでは徒歩で約40分。現地ではメトロが発展しているのでそちらを使えば約25分くらい。マルセイユの街並みを楽しみたいのと、メトロには一抹の不安があったので今回は行きも帰りも徒歩で行くことにしました。

旧港からスタジアムへの道なりはほとんどまっすぐなのであまり道に迷うことはないかと思います。直進するにつれ徐々にマルセイユのユニフォームを着た人たちが目に見えてきます。

そしてスタジアム付近に到着すると近くの飲食店ではマルセイエーだらけ。特にヴェロドローム最寄りの店では人が通れないくらいの人だかりでした。写真を撮る余裕は自分にはなかったです、、

ようやくスタジアムに到着したかと思えばいきなり爆発音が。ヴェロドロームの正面は陽気なマルセイエーが揃い、チャントを歌ったり花火を打ち上げてみたり。私も相当の覚悟は持っていましたが、その雰囲気には驚かされました。(日常茶飯事なので現地の人は全く気にする様子なし)

ヴェロドロームは入り口が2つあるのですが、入り方を間違えると15分ほど歩かされることに。私も間違えてしまい、歩かされました。道なり真っ直ぐ歩いてきた方は階段がありますが、もう1つは砂利道を歩いての入場。180度変わる風景はご了承ください笑笑

入り口① 正面玄関
入り口②

気になるスタッフの対応でしたが、日本人の私に対してもかなり優しく対応してくれました。入場口ではボディーチェックと持ち物検査。それほど厳しくないので心配する必要はありません。ポーチもサッと見せて終わりだったので、だからこそあんな簡単に発煙筒が持ち込まれるのだと思います。

ゲートが分からずウロウロしている私にスーツを着たスタッフが近づいてきて英語でゆっくり説明してくれました。スタジアムに入っても座席がわからないと、大柄なスタッフに尋ねるとそっと肩に手を寄せて「ブラザー、あっちだぜ」と親身に対応してくれました。

今回は真っ直ぐ見える席で日本円で7,700円くらい。もう少し遅らせればより安い値段で買うこともできたかと思いますが、それなりに良い席だったと思います。




チケットないのにスタジアムへ!? 観戦はイベントではなく地域の集まり

ヴェロドロームの正面玄関やスタジアム内で数人と会話する機会があったのですが、驚くべき事実がありました。

それは、ヴェロドロームの最寄りの飲食店でたむろしている人々や正面入り口付近で陽気に騒いでいる人たちの中にもこの試合のチケットを持っていない人がいるらしく、それも珍しくない数とのこと。

平日で懸命に働き、週末はフットボールをおかずにして仲間と共にその時間を楽しむ。これが日常となっていることが日本との違いなんだと改めて認識できました。これにより仲間意識や地域性がより強化され、マルセイユにおいてフットボールの熱量が冷めることがない原因なのだと感じました。

日本だとどうしてもスポーツ観戦はイベントのような雰囲気になってしまいがちですが、日本でよりフットボールの人気を高めるには雰囲気や人々の考えも変えていかなければならないでしょう。しかし、先ほどのフランスの野球認知度の話のように、日本は多種多様な文化を受け入れることができる点が素晴らしいと感じています。日本の文化の許容性とフットボールの人気を高めたいというベクトルを混ぜ合わせるのは難しいことではありますが、、



ヴェロドロームの雰囲気と海外ならではのスポーツ観戦

建築様式も面白いヴェロドローム

フランスではリヨンやリールも同じですが、ウルトラスという応援部隊が二分化されています。だいたいは北部と南部に分かれ、試合中はそれぞれ全く異なるチャントを歌います。両者が一体化するフランス特有のチャント[Aux armes]は必見です。

スタジアム内は喫煙OKです。ちょうど私の前に座っていた若い男性もスモークアートで暇を潰していました。非喫煙者でもこれは受け入れてください。

ちなみにチケットはスマホで電子チケットを見せるか、印刷して紙で持ってくるかの二択です。ただ紙で持ってくると少しばかりの荷物になるため、現地の人々は試合中にそれを紙飛行機にして飛ばしてみたり。

ちなみにこのマルセイユ×ストラスブールの試合は、前半にマルセイユが退場者を出しながらも後半に2点を先取。逃げ切りを図りたいところで終盤にストラスブールが立て続けのゴールで追いつくといった展開でした。マルセイユは直近ホームで勝てない試合が続いていたので内容も結果もフラストレーションが溜まる形に。

試合終了後も私はこの雰囲気を楽しみたいと思って少し座っていましたが、スタッフから「この後めんどくさいことになるから早く帰ってくれ」とのこと。詳細は分かりませんが、何となくは理解できました。帰路はゴミだらけでやはり海外だなと感じてしまいました。帰りはマップに頼りながら1時間くらいかけてホテルに戻ることができました。





まとめと今後のフランス旅行に向けての注意

フットボールが日常の一部となっている世界はこんなにも違うということを肌で感じることができ、多くの不安を抱えながらも良い経験ができました。海外旅行はハードルの高いことのように感じられるかもしれませんが、百聞は一見に如かずで行ったからこそわかるものがたくさんあると思います。

現在フランスではメディアに取り上げられているように全国各地でデモが暴動しています。特にパリ市内ではストライキの影響も大きく、私自身も空港から出られないということがありました。特に交通便の減少はかなり大きな負担を及ぼすため、かなりの注意が必要です。

来年はオリンピックがありますが、それまでにマクロン大統領の首はつながっているでしょうか。最大級のデモが行われているフランスにこの時期行くのはおすすめしませんが、ドル安とともに治安の回復を待ちましょう。

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