松林伯円を偲ぶ講談の会@お江戸日本橋亭(2023/02/07)【講談編#43】

こんばんは。飯山大五郎です。

先日、お江戸日本橋亭に行ってきました。『東京人』出版記念講談会以来、1か月振りです。この日、松林伯円を偲ぶ講談の会が開催されました。

この会、私にとっては念願の会でした。一年ほど前、『東京かわら版』の演芸会情報を見ていたら、「伯円を偲ぶ会」というものが開催され、出演も神田伯山先生や宝井琴調先生、宝井琴星先生、神田松鯉先生といった豪華メンバーであると知り、お問い合わせ先として書かれていた番号に電話をするも、チケットは既に売れてしまっていて買えなかったのです。今回は、数か月前にらくごカフェに行った際にチラシを発見し、そこから予約をすることができました。

ここでいう伯円とは、二代目松林伯円のこと。貞心先生や伯山先生がおやりになる「東玉と伯円」に登場するのは初代の伯円。二代目伯円は、『鼠小僧』『天保六花撰』など白浪物(どろぼうの読み物)を創作していたのでどろぼう伯円との異名をとっていたそうです。

新作をたくさんおつくりになった伯円を偲ぶ会ですから、読み物も伯円作のものが並ぶかといわれると、そうではなかったですが、伯円がたくさんの読み物を残したからこそ、今、こうして素敵な講談師が活躍しているのだということを再認識できる大切な会だと思います。

というわけで、この日の演目はこんな感じでした。

○「猿飛佐助 戸沢白雲斎との出会い」宝井小琴

この日の開口一番は、お後に登場する琴星先生門下の小琴さん。読み物は「猿飛佐助 戸沢白雲斎との出会い」。講談協会の先生の会でよくお見掛けします。その甲斐あってでしょうか、やわらかめな雰囲気とはまた違う、はっきりと堂々とした読みをされていました。

○「慶安太平記 正雪の生い立ち~紀州公出会い」神田松麻呂

続けて松麻呂さんが高座に上がります。この会では、ずっと前座として上がっていたそうで、今回が初めて二つ目としての高座とのこと。読み物は『慶安太平記』より序開きの「正雪の生い立ち~紀州公出会い」。特に、紀州公出会いの場面のあたりを、緊張感をもって読まれていた印象。

○「赤穂義士外伝 荒川十太夫」神田伯山

続けて兄弟子、伯山先生が高座に上がります。読み物は『赤穂義士外伝』より「荒川十太夫」。主任でないこの場で読まれるのは新鮮。その場しのぎの嘘ではなく、ついたからにはそれを貫き通した十太夫がかっこいい。人がなぜそのような行動をしたのかまで、きちんと注目したいと思わされました。

○「幡随院長兵衛 芝居の喧嘩」宝井琴調

この日の仲入りは、月刊誌『東京人』の表紙のセンターを務めた琴調先生。読み物は『幡随院長兵衛』より「芝居の喧嘩」。喧嘩をするのは嫌だけど、見ている分には面白いですね(笑)。読み物の中に出てくるチャーミングな町人たちと同じ感覚。旗本衆とやり合う子分衆の威勢のよさが心地いい。

〈お仲入り〉

休憩です(15分程度)

○「安政三組盃 根府川騒動」宝井琴星

仲入り後は、琴星先生が高座に上がります。「誰かひとりは伯円物を…」ということで『安政三組盃』を連続でお読みになっており、この日は「根府川騒動」。いつの間にか読み物の世界にぐーっと引き込まれていた感覚。お染を追っかけていた藤吉郎の登場の仕方、なんだかかっこよかったなあ。

○「男の花道」神田松鯉

この日の主任は松鯉先生。読み物は「男の花道」。眼科の名医・半井と名優・歌右衛門との男の友情が描かれます。松鯉先生のは、半井と歌右衛門の男らしさも好きなのですが、途中に出てくるお女中さんが実に可愛らしくて好きです。歌右衛門と客席のやり取り、何度聞いても泣ける。


いやあ楽しかった。それではまた。

(追伸)ヘッダー画像をアップしようとフォルダを漁るも見当たらない…はい、写真撮り忘れました。

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