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令和の歳時記 ノアサガオ

いまわたしはカマキリを飼っている。ハラビロカマキリとオオカマキリの2種類。飼育する理由は「観察したい」からである。

主にカマキリがエサを食べる場面を見るのが好きだ。すごい迫力がある。「賢明に生きる姿」に魅了されるのだ。

カマキリや食べられる虫には申し訳ないが、わたし自身がモチベーションをあげるために飼育していると言っても良い(彼らからみれば「なんて自分勝手」と思われるだろう)

そのため、カマキリのエサ採りに週二回ほど出かけなくてはいけない。主に野原へ行き、バッタ系の昆虫を採集してくる。

デスク仕事ばかりだったので、足腰の強化にも繋がるし、外の空気を体いっぱいに吸い込むことで、なんとなく若返ったような気がする。

先日、数年ぶりに行った土手の姿に驚いた。斜面一面がノアサガオに埋め尽くされていたからだ。

以前はススキ、オミナエシ、クズ、ハギ、その他の草花で潤っていたが、今はほぼノアサガオ一色だ。繁殖力の強いクズでさえ見受けられない状況だ。

アサガオ自体は日本ではとてもメジャーな花であり、人気がある。小中学校の花壇では定番であり、一軒家を持っているお家の庭先にも植えられている。

でも、本種は南方系のノアサガオである。この花の勢力は今や日本全土に広がりつつあるそうだ。もはや駆逐は不可能だろう。

しかもつる性なので、どんどん上へ上へと伸びていく。あっという間に10メートルに達する。ネットで検索すると“緑のカーテン”という猛暑日本において、非常にありがたい渾名が付いている。

実際、家屋の室温を下げる効果もあるというから重宝されるのだろう。

このノアサガオはタネではなく、「挿し木」「茎伏」「鉢上げ」などで容易に増やすことも人気の理由だろう。

ノアサガオにしてみれば、子孫繁栄の戦略として、人間の快適・便利さを求める特性を利用したのだから大成功と言える。

しかも、お花自体が健気で可愛いので、わたしたちもうっかりと騙されてしまったのだ。

さて、わたしが土手に来た理由はカマキリのエサ探しが目的である。お目当のバッタちゃんはいるのだろうか。

ショウリョウバッタなどはいたが、数が少ないように感じた。以前の多種多様な草花に覆われていた土手とは比肩できない。

印象としてはイラガ、シジミチョウなどの鱗翅目の昆虫が多いように感じた。

この土手を超えた先には畑がある。来年あたりには畑にたどり着きそうだ。

姿形は可憐だが、音も立てず忍び寄ってくるさまに“ホラー映画”のような恐怖を感じた。“緑のカーテン”がやがて“グリーンモンスター”と呼ばれる日は近いだろう。

*カマキリのエサは採れました

分布●沖縄から九州、四国、本州に広く分布
生息地●平地、低山地の林、市街地など
繁殖期●5~10月
大きさ●100mm
学名●Ipomoea indica (Burm.) Merr.
英名● blue dawnflower , blue morning-glory
和名●野朝顔


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