介護実習の思い出雑記


私は中高の教員免許を習得するため、大学で教職課程を履修している。


正直現時点で教員採用試験を受ける予定はないが、音大生なんて立場で昨今の学歴社会の中で戦っていくには、取れる資格は取れる状況にしておくに越したことはない。

さて、そんな現代日本で義務教育課程の教員免許を取るためには、所謂「教育実習」の他に、どの教科でも必ず「介護施設」と「特別支援学校」での体験を行うことになっている。

父や母の時代にはなかったようで、調べてみたところどうやら平成10年から義務化された制度のようだ。

私が生まれる5年前、もう25年以上前のことである。

そんなわけで5日間、自宅から約1時間の場所にあるとあるデイサービスの施設で介護体験なるものを行なってきた。

詳細な内容は守秘義務にも関わってくるので触れられないが、なんと言っても印象的だったのは「職員の方々が良い人たちすぎる」ことだ。

失礼な話だが、介護施設に行った人たちからなんとなく、「学生にやたらと厳しかった」だとか「とても話しかけられる雰囲気じゃなかった」だとか、
そんなような噂をちらほら耳にしていて、実際、実習初日も、学生同士で「不安だよね〜」なんて話していた。

だが、蓋を開けてみたらどうだろう。

やれる仕事が無くなってしまってウロウロしていたら、「もう少しししたら人も増えてくるから待っててね!」と声をかけてくれたり、

利用者さんとの会話に手間取っていたら、冗談っぽく笑いながら間に入って助け舟を出してくれたり、

レクリエーションで私たち学生の仕切りがバタついてしまったときに間を繋いでくれたり、

とにかく、みなさん優しくて、明るくて、そしてみなさん笑顔が絶えない場所だった。

そしてそんな職員さんと触れ合っている利用者さんたちも、みなさん丁寧で、優しくて、やはりみなさん笑顔だった。

最終日の挨拶の際には、一緒に体験した学生のうち1人は涙ぐんでいて、
たった5日間とは思えないほど、充実した時間を過ごし、そして経験を得ることができた。


帰り際にも、施設の車とすれ違った際にわざわざ車を止めて、窓を開けて、「お疲れ様!」と声をかけてくださった。


現在、私も祖父母がデイサービスに通っており、祖母の方は楽しく通っているようだが、頑固者でプライドの高い祖父はあまり気が進まない日も多いようで、
一時期はズル休みをしては母を怒らせていた。


その際私は、正直偏見や噂に流されて、なんとなく行きたくない祖父の気持ちも分かるなぁ、と思ってしまっていた。


だが、今回の体験で、もちろん施設による雰囲気の違いもあるだろうが、「やっぱりちゃんとデイサービスは行った方がいいよ!」と、私からも祖父に言ってあげたいと思うようになった。


まぁ、大したまとめもなければ、一般化した教訓がある訳でもないのだが、


確かにこの介護体験は、私の人生において良い経験だったなあ、と思った次第だ。


おしまい!

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