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2章 「勉強しなきゃ」は何のため? ※出版記念 無料チラ見せ公開※

準備編:疑う・忘れる・逆らう・掘り下げる

今の時代に「勉強する意味」はなんだろう?
お店の商品が「25%引!」なら、スマホで計算すればいい話。
ネットに英語で書いてあっても、ワンクリックで翻訳できる。
感想文や日記だって、ちょっとAIにお願いすれば助けてくれる。

そんな便利な世界がまだまだ進化していくのは、みんな知ってる。
そろばんはPCに変わって、教科書はタブレットに変わりつつある。
じゃあ、「お勉強」はこれからどう変わっていきそう?
そんな勉強の価値、常識を疑ってみよう。
視点を変えてみるだけで、世界の見え方は変わるはず。
今から、その準備を始めよう。

(▼最初から読みたい人はこちらから)


▶️「ガチャ時代」のはじめの一歩

何が起きるかわからない「ガチャ時代」。
いったいどこから考え始めれば、アタリを引けるのか。

「このガチャのアタリ確率はどれくらい?」
「せっかくのお小遣い、ムダになったらイヤだな」
「いらないやつが出てきたらどうしよう……」
「どれくらい引いたらアタリが出るんだろう?」

期待や不安の運試し。願いを込めたり、友だちから聞いたアタリを引く方法を試すかどうか悩んだりもしちゃう。

でも、それよりもっと前に、考えてることがあるよね。

「このガチャでいいのかな?」

ガチャを引く前に、まず考えているはずの最初の一歩。
今の目の前にあるガチャで本当にいいのかどうか。みんなが引いてるガチャには、自分の求めるものが入っているのか。これで本当にいいのかな。

大学選びも同じこと。
どんな大学が「良い大学」なんだろう?
世間的に評価の高い大学、就職先が良い大学、卒業生の年収が高い大学、学生満足度の高い大学……、ネットや雑誌で調べたら、そんな情報はいくらでも出てくる。

でも、アタリを引くための判断は、もっと手前のところにある。
目の前のガチャに気をとられているけれど、そもそも「これでいいのかな?」と疑えるくらい、広い視野をもっておくと、人生の選択肢が増えていく。社会には、君が想像している数千倍のガチャがある。

顔を知らない誰かにとっての「良い大学」と、自分にとっての「良い大学」は違うはず。そういう疑問をもってみる。

たとえば「そもそも“勉強” って何だろう?」って、君も一度は考えたことはない?

「今、勉強しているのは何のため?」
「この受験勉強は、将来どんな役に立つんだろう」
「そもそも元素記号って、いつ使うのよ?」

毎日学校に行って、勉強をする。先生や親からは「ちゃんと勉強しなさい」と言われるし、たしかに勉強をしておかないと不安もある。
できないよりも、できるほうがそりゃ良さそう。

って、本当にそうなのかな?

あまりにも親や先生、まわりの友だちがそう言っているから、当たり前の常識だと思ってない?
「みんなが言ってる」は、必ずしも正しいとは限らない。

だから、「大前提を疑ってみる」こと。
「疑う」ことが、ガチャ時代の必修科目で、はじめの一歩。
まずはそこから始めよう。

▶️ 最先端のAIにも「できない」こと

AIが進化や発達していても、世の中にはまだまだコンピュータに「できないこと」が、いくらでも存在している。
その中でも根本的に理論的に、絶対にできないこと。

それが、「疑う」こと。
コンピュータは、命令やルールを疑えない。

「なんかちょっとおかしくない?」
「そもそもそれって必要ですか?」
「なんでそれをしなくちゃいけないの?」
AIは、言われたことに疑問をもたない。

君がスマホで検索をしているときも、パソコンで作業をしているときも、コンピュータはいつでも命令に忠実に動いてくれる。(※01)

AIを搭載した冷蔵庫や洗濯機も登場しているけれど、「まだ冷やさなくても良くない?」とか「これ、洗う必要あります?」、「今すぐやらなきゃいけないの?」なんて言ってこない(ぼくは、生徒たちからも会社の仲間からも、いつも言われてる)。

コンピュータの本質は、あくまでも計算機。
「プログラミング(命令)されて動く」が大前提だから、人間なら子どもから大人まで誰でもできる「疑うこと」は、AIやコンピュータにはできない。そして君はコンピュータじゃない。

だから君が、受験勉強に疑問を抱いているとしたら、それはAIにはできない人間だけの特徴。当たり前を「疑える」から、自分の答えを探していける。

たとえば、うちの教室の生徒たちは、こんなことに興味をもつ。
「宇宙に行けるのは、何歳からなんだろう?」
「ペットのお葬式って、いくらかかるんだろう?」
「琵琶湖を横断する方法って、何があるのかな?」
どれもネットで調べれば、すぐに情報は見つかる。

けれど、彼らはそこから「本当にそうなの?」と疑い始める。
「宇宙飛行士の試験はまだ受けられないけれど、ロケットの打ち上げなら今から試せるかもしれない」
「ペット葬儀の会社に頼んだらお金がかかるけど、もっと想い出を大事にしながら、自分たちで手頃にできる方法もありそう」
「琵琶湖を横断できる方法がないなら、自分たちで船をつくって渡れないかな? その方がロマンがあるじゃん!」

いきなり「答え」を求めないし、疑いながら、わからないことや正解がないことを楽しんでいる。

ぼくの言葉に対しても「本当にそうかなぁ?」とか「こうだったりしないの?」って、ちょっとバカにしたような笑顔を浮かべて疑問を投げかけてくる。一応ぼくは教室長で社長なのに、彼らにとっては関係ない。
ただ、いつも何かに疑問をもって、自分で問題をつくる。

それでいいし、それがいい。

疑うといっても、文句を言おうとか否定しようという話じゃない。
思い込みや常識に疑問をもって、「もっと良い方法がありそうじゃない?」と考えるクセをつけること。
その方が、確実に面白いことが増えるはず。

※01《ひとりごと》
生徒にロボットやコンピュータについて教えるとき、「あいつらはマジでいいやつ。びっくりするくらい素直で、真面目なやつ」と教えてる。
「まっすぐ進め!」だけをプログラムした車型ロボットは、壁にぶつかっても、ずーっと前に進もうとする。電池が切れるまでずっと言われたことを忠実にやるのは得意。彼らは「あれ? これおかしくね?」って考えることはできない。可愛いよね。人間がいろんな気を遣って、丁寧に命令を繰り返してあげるからこそ、役に立つ動きをしてくれている。

※本書ではたびたび作者の「ひとりごと」が掲載されています。

▼続きの目次

▶️「疑う練習」を始めよう
▶️「大人は武士だ」と思えばいい
▶️  大学が「偏差値以外」を探してる
▶️「常識がわからない」大人たち
▶️「知らない」方が楽しめる
▶️  作業と冒険、どっちを選ぶ?
▶️  歴史の偉人は「逆らう人」だらけ
▶️  日常の「逆らう」で得られる効用
▶️「スイッチ」を入れるのは自分かAIか
▶️「ググる」からの卒業
◇ 3分コラム 10代の横顔 file.01「猫、軍鶏、ゴキブリたちが、かわいそう…..!」
◇ 5分ワーク 「疑うガチャ」のチュートリアル

(▼第3章につづく)


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▼各章目次



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