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ゲイアプリという病

ゲイならほぼやっている(?)だろうゲイ専用出会い系アプリがある。

もしかすると主要都市圏の方はやっているが、地方だとそれほど活用されていないのかもしれないが、ゲイにとっては必須のアイテムといっていい。これがなければ、オープンゲイならともかくゲイ同士が出会えることはまずない。8%はセクマイとかいうけど、その実、ほとんどの人がクローズなのだから無理もない。

アプリ内は色んなゲイがいる


アプリにはとても色んなゲイがいて、
筋肉自慢のゲイは脱いで肉体美をみせているし、趣味をアピールする者、中にはホストっぽく上目遣いで相手に媚びたような目線を送る者、外国人のゲイ、コスプレする際どい格好な者、露出度がやけに高い写真を貼ってる者など、実に様々な方がいて見ているだけで楽しい。とりわけ、私のように何の変哲もない写真を載せている人が最も多い。まれに顔を載せていない風景のみのアカウントもあるが、そういう者はまったく相手にされない。

機能は単純、気になった人にメッセージを送ってやり取りできるというシンプルなものである。ほかにいいねを送り、相手もいいねをもらえるとマッチと表示されるとか、現在地から近距離順に表示できる機能とか、諸々あるがあまりギミックはそれほど重要ではないと思う。

ちょっとした偶然

以前、こんなことがあった。とある近場のカフェでアプリを開いて、たまたま近距離表示をしたら、500m以内にイケメンが表示された。自分の生活圏にわりとタイプのゲイがいるとそれだけで少し嬉しいものである。
僕は読書をやめ、アプリ内の彼のプロフィールをみながら、この距離500mはどれだけ精度があるのか怪しいものだな等と思いつつ、ふと店内に目をやった。ご想像のとおり、なんとそのイケメンが目の前に座っていたのだ。
僕は見間違いと思い何度も確認した。しかし、明らかにアプリ内で微笑んでいる彼と、カフェの同じ空間の目の前で読書している彼は同一人物だった。

その時の衝撃はいまでも覚えている。いや、近距離表示なのだからなにもおかしなことではないのだが、500mどころか、3m程度あまりに精度が良すぎる。完全に僕はゲイアプリを侮っていた。

このイケメンからすれば、赤の他人にしかも目の前にいる男にゲイであることがバレているなどとは思いもしてないわけで、僕はなんだか申し訳ない気持ちになった。アウティングではないものの、意図せず他人にゲイとバレるという意味では同じなのではないかとか、色々考えてしまった。

そしてアプリにはやっかいなことに、足跡なる機能で誰が訪れたかが分かる仕様になっており、ログイン中や何分前までログインしたという記録までもが表示される。

僕は焦った。もし彼がアプリを開いて、ふと店内を見られると非常に困る。きっと彼も平和な休みをカフェで読書している最中だったに違いない、きっと気まずい気持ちになるだろう。休日にたまたま職場の同僚とばったり会ってしまったときのような気まずさにはなりたくない。

人によっては、偶然を装い、アプローチする強者もいるかもしれないが、僕にそんな勇気はなかった。彼からバレないように、コソコソ反対側の席に移ったのはいうまでもない。

ゲイアプリは病

ゲイアプリの世界は、見た目かつ若年市場主義といってよく、ブサイクだったり、オーバー30はほぼ相手にされない。
僕も例によらずオーバー30なので、まず対象から外れ、たいして進展はない(もちろん実際に会ったり、いろんな経験もしてきたが、それはまた別の機会に譲ることにする)。
もっと若いときにアプリがあったならなと思う、オーバー30ゲイも多いんじゃなかろうか。いまの若い子はそういう意味で恵まれているのかもしれない。

それでもなお、なぜ僕がアプリをやっているかといえば、ゲイ友が欲しいから(彼氏はいまは募集していない)。また、アプリ内でわりと文通のようにやりとりする友達がいることもある。
でも、きっと本質的には大勢のゲイが並ぶ様を見ていると、これだけ多くのゲイがいるんだと思えるから、無意識にそれだけで心の安定になっているんだろうなと感じたりもする。

そんなわけで、アプリは病なのだ。僕は今日もログインする。

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