創作小説 影女刀(1)

これはある刀を巡る世にも奇妙なる話である

寛政9年 四月二十日 子の刻 芝の刀剣商 岡田久次郎宅に賊が入り一家と下男下女が惨殺され 刀が奪われるという残忍な事件が発生した だがこの事件には生存者がおり 久次郎の末の娘であるたねと長女であるおかねであるその事件が起こった日は寺子屋に行き 帰りに祖父母の家に泊まった為 難を逃れていた それ故に目撃証言がなく この一件は難航を極めた だが盗まれたであろう刀に関した売買の書き付けが残っており影女刀(ようじょとう)と言う刀であった この一件を任されたのは盗賊改メ方の近田要蔵と言う者が任命された

この近田要蔵という男 元々は父母共に武家の者でゆくゆくは御家相続と言う身分であったが
 父母が流行り病により急逝し 叔父の
近田源之丞により養育され叔父の後を引き継ぐ
形で火付盗賊改方に勤めることとなったのだ

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