創作小説 影女刀(9)終

この一件の一部始終を聞いた火付盗賊改の長官 長谷川平蔵はポツリと 「女の執念は恐ろしいものよ 執念が刀に乗り移り 手にした者を不幸に 周りさえも巻き込んだ 米原殿の采配がなければ お前も只ではすまなかったろうよ…」と神妙な面立ちであった 

事件から2日後 惣太郎は牢内で衰弱死していた

そして 惣太郎の妹にあたる二人は山端の養子として迎え入れられたのだ そして近田は役宅内で祝言を挙げた 近田は兄の様に慕っていた成田の墓前に手を合わし 帰ろうとした折りに一陣の暖かい風が吹いた 近田は後ろを振り向くとただ 塔婆が立っているだけで 近田はそのまま踵を返し帰っていった 


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