櫂 を読んで

 なぜレディファーストなのか?男性がドアを開けて女性を先に歩かせる。実は敵がいた時に盾にするためだという説もあるらしい。女性を優先するためではないらしい。

 この小説の主人公喜和もとても虐げられている。夫の浮気相手の子どもを引き取って育て、夫の収入が少なくなると封筒張りの内職をして生計を支える。

 しかしこのお話の喜和の見る景色は高知の美しい自然や周りの人の人情やいいこともたくさん細やかに表現してあり、決してお涙頂戴の恨みがましい表現にはなっていない。

 喜和はひどい仕打ちをする夫に嫉妬し、ひたすら愛して待っている。それは女性が1人では生きていけない時代であったからかもしれないし、子はかすがいというが育児への情熱のおかげだったのかもしれない。どんなにお金持ちで綺麗に着飾った人よりも育児をしているお母さんは美しいのだ。

 そして、なんと、自分のお腹を痛めた子どもよりも皮肉にも夫の愛人の子どもが喜和に1番なつくのだ。人生とはわからないものである。

 高知の女性は、はちきんと呼ばれ、働き者で強いと言われている。高知に1年住んだことがあるが、明らかに関西とは違う。テレビ局も民放は3局しかない。独自の文化を持っている県だと思う。

 それを支えているのが喜和のような我慢強い女性たちだと思う。実の子は男の子でもらい子が女の子だというのも皮肉なことだと思う。

 娘は喜和のマネをし同じ人生を歩むか、悪いところは反面教師にし、正して人生を歩んでいくだろう。血は繋がっていないが、女から女へ脈々と伝わっていく生き方や文化。なんらかの影響を世論に与えているであろう。

 日本は女性の議員や管理職が世界の中では少ないらしい。しかし、経済は発展し先進国の1つである。女性の力がなければこんなに発展したとは思えない。

 私の父親の働いていた会社は退職する時ペアウォッチを贈ってくれたらしい。妻の内助の功も認めているいい会社だと思う。父が母の影響を受けながら働いていたことは否めないと思う。男と女は互いに影響を受けて成長していくものだ。

 女は昔からいるし現在も存在する。いやむしろ女しか子どもを産めないし存在価値が大きいのは女なのかもしれない。

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