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【企画】夜行バスに乗って

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2024.3月に行われた企画の収納マガジンです。 夜行バスに乗って新宿に向かう人々、見送る人々、あるいは……!! 珠玉の note クリエイターが描く、春の群像劇をどうぞみなさま…
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#卒業の

【シロクマ文芸部×夜行バスに乗って】卒業前夜

 卒業の日を迎える娘の晴れ姿を見るために、新宿へと向かう夜行バス乗り場に歩みを進める。距離があるので新幹線に乗ろうかとも思っていたけど、いい機会なので一度乗ってみたかった夜行バスに乗る事にしたのだ。  夫は仕事が休めないとかで私一人で卒業式には出席する。私もこの時期に有給をもらうのは気が引けたけど、仕事は十分に調整して休みをもらった。こういう時でないと一人で旅行する事も無いので一日余分に滞在して、行ってみたい所に行こうと計画している。娘の卒業式も楽しみだけど、実はこちらの方

【創作】スタートライン

今回の創作は青豆ノノさんのこちらの作品のスピンオフになります。 ※ノノさん勝手に申し訳ありません! 🚌🚌🚌🚌🚌 卒業のタイミングで私たちは遠距離になる、そんなことは付き合う前から分かっていた。 「俺、卒業したら東京に行くつもりだけどそれでもいいの?」 良いか悪いかで言えばやっぱり良くないけど、そうじゃないと湊と付き合えないなら私に選択肢なんてなかった。 「加奈子、湊くんと付き合ってるの?湊くん卒業したら東京でしょ。知らないの?」 私を心配してるのか、それともざま

小説/おめでとう。卒業と、

卒業の季節、イコール絶望。 卒業式って何だろう。結局一度も参加してないから分かんない。ただ通う場所が変わるだけで、毎日やることは変わらないじゃん。 一体なにから卒業すんの。一体なにが おめでとう なの。 新宿に向かう夜行バスの、カーテンをそっと開けて外を覗く。 景色は真っ暗で何も見えない。こんなド田舎だからダメなんだ。腐った人間ばっかりだ。 すれ違うヘッドライトの数も多くはない。こんな時間だもんね。 もうすぐ日が変わる。 私の誕生日がやってくる。 そう思うと、吐き気がする