いかのおすし⑭ 【6時間目】
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《美桜ママ》見知らぬ携帯番号がアンのお母さんの携帯番号ではないかと一縷の望みを賭けていたけれど。私がコールし続けるのを諦め、溜息をついた瞬間、画面に表示された名前に慌てた。呼吸を整える間もなく私は「中島篤弘」との通話ボタンを押していた。
ゆっくり、耳にあてる。
「もしもし?」
「あ、美紀。さっき電話くれた?」
中島の、久しぶりの低い声が耳の奥に響く。
この私の心臓の音が、あの時のような嫌悪感から来るものなのかどうか分からない。
とにかく