「オマージュ」連鎖する名作たち。

漫画を読まなくなった。

幼い頃から漫画家を志したわりに、なぜか漫画を読まなくなった。

昔、「ガロ」という漫画誌に、一年半ぐらい漫画の連載もしていたのに。

南伸坊さんが編集長だった。
絵が可愛いので女性名のペンネーム。
伝説のガロに連載など夢みたいで、とても嬉しかった。

下手くそだったが毎月描いて持参した。

でも、だんだんと本業のCMで食べられるようになって、マンガから遠退いて行く。

そしてマンガも読まなくなる。

最後に読んだのは、たぶん大友克洋「アキラ」だった気がする。

「アキラ」が「鉄人28号」のオマージュと直ぐ気付き、ほくそ笑みながら読んでいた。

主人公は不良少年「金田」だし、覚醒する能力者「鉄雄」で、アキラの掌に「28」のタトゥー。

散りばめられる「鉄人28号」の記号。

日本軍に開発された機械兵士「鉄人」。

おかしな形の操縦器が悪の手に渡ると「正義の鉄人」が「殺人兵器」になる設定が凄すぎる。

ロボット物は多いが、この切り口は、おそらく無い。

戦争を体験している作家だからこその発想だと思う。

横山光輝も手塚治虫に匹敵する作家だ。

もう一つのオマージュ。

息子の部屋に並ぶ「鋼の錬金術師」をパラパラ見て気付く。

私は息子に手塚治虫の「どろろ」を見せ、妖怪に奪われた身体を取り戻す百鬼丸の戦いが、機械になった弟の身体を取り戻すストーリーに似ていると指摘すると手塚を知らない息子が驚いていた。

映画にもオマージュした作品は多い。

女性不信のキプロス王ピグマリオンが自分で彫った石像に恋をするルソーの戯曲がオペラになり、更にバーナード・ショーのミュージカルになり、オードリーの映画「マイフェアレディ」になる。

「マイフェアレディ」はジュリア・ロバーツの「プリティウーマン」上白石萌音の「舞妓はレディ」に繋がる。

それと、たぶんもうひとつ。

バイロン卿のディオダティ荘で遊びで書かれた怪奇話。

メアリー・シェリーの小説「フランケンシュタイン、或いは現代のプロメテウス」も同じピグマリオンのオマージュだろうと私は思う。

フランケンシュタイン博士がヒギンズ教授で、怪物が花売り娘イライザ。

博士は作った怪物に命を奪われ、ヒギンズはレディになったイライザに心を奪われる。

恋する事は死ぬことと見つけたり。

「プロメテウス」ついでに言うと、たぶんリドリー・スコットの「エイリアン」もだろう。
プロメテウスは人間を創造した神だし。

ずっと繋がるイメージの踏襲。

「マトリックス」のキアヌ・リーブス扮する能力者ネオも、ミラ・ジョヴォヴィッチの「バイオハザード」も、たぶん「鏡の国のアリス」のオマージュだと思う。

だからミラ扮する最強の女戦士の名もアリスだった。

手塚治虫の「鉄腕アトム」も、キューブリック脚本のスピルバーグ「A.I.」も「ピノキオ」が下敷になっている。

そして拙作「ピノキオは死を夢みる」「ピノキオは鏡の国へ」も、実はそうだし。

オマージュは物語を分かり易くする。

恐らく「無から有は作れない」の証明かもしれない。




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