映画「怪物の木こり」

※昨年末鑑賞した映画のレビューです。

directed by 三池崇史
starring :亀梨和也、染谷翔太、中村獅童、菜々緒、吉岡里帆、渋川清彦

絵本「怪物の木こり」の怪物の仮面を被り、殺してその脳を奪い去るという連続猟奇殺人事件が起きる。その捜査線上に、この仮面を被った犯人に襲われながらも唯一殺し損ねた男、弁護士の二宮彰(亀梨和也)が浮かび上がる。実は有名弁護士で婚約者もいる、誰もが羨むと思われていた二宮は実はかなりのサイコパスで脳外科医の杉谷(染谷翔太)と組んで、邪魔になる者は情け容赦なく殺してしまう裏の顔を持っていた。猟奇殺人の捜査にあたる乾(渋川清彦)はかつて暴力行為で更迭され所轄書に落とされた刑事、そして捜査本部にあって孤立しながらもプロファイラーの戸城(菜々緒)も次第にこの猟奇殺人の裏にあった、過去の連続児童誘拐事件に行き当たる。児童養護施設の子供達を次々と誘拐し、自宅の館で恐ろしい脳手術を施して、人工的に「サイコパス」を作り上げていた事件・・・その生き残りだった二宮と、そしてもう一人、過去の殺人事件の容疑者・剣持(中村獅童)が、今回の「怪物の木こり」事件に関係が深いということが次第に分かってくる。しかし、二宮は最初に襲われた時に頭を打った時から、何か自分の中で変化が起きてきたことに気づく

サイコパス・・・罪悪感とか抑制とか一切感じないで殺人も犯せる・・・それは人の脳にある人為的に何かを抑制するものを埋め込めば作り出せる・・・そんな実験を子供にしていた・・・という過去の忌まわしい事件から端を発している・・・という展開だが、亀梨和也さんの淡麗な横顔は確かに「表情一つ変えずに残酷な殺人を犯せる」という役柄に合っている・・・ように思えて、実は、もっとそういうのを演じるのに長けている染谷翔太さんが相手役だと、最初はそうでなくても、次第に次第に染谷翔太さんの表情の方が印象に残ってしまう・・・なぁ、正直なところ・・・
   絵本「怪物の木こり」の造形・絵柄が非常によくできていて、この辺、ギレルモ監督作品を思い出したほど、非常にインパクトがあった。それを読んでいる子供の声がこれまたすごく「イノセンス」的な声なので、その不気味さもいっそう増した。
  その被り物がすごくインパクトあって、それに見合った激しいアクション、この辺、体格もアクションもさすが歌舞伎役者、中村獅童さんのキレがあって迫力がある重量感もある圧倒的な存在感で魅了されてしまう。
   
  ストーリーは、結局、サイコパスを作り出すために脳内に埋め込まれた「異物」が機能しているか、機能しなくなったかで、サイコパスの有無が決まるみたいだけど、でも、それがきっかけだったとして、でも、それが何十年と埋め込まれていた時間に蓄積された「学習」で、その「異物」が機能しなくなったとしても、そう簡単に「失せる」ものではないだろう・・・って思うのね。

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