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大人二人のミュージアム・クルーズ in TOKYO 1「ホンマタカシ 即興」@東京都写真美術館


元日の能登半島地震、金沢21世紀美術館の被害・完全休館によりお仕事お休み・・・で過ごしている1月。
コロナ禍の時もそうでしたが、「動いていないと死んじまう」性質(たち)の私にやってきました「展覧会禁断症状」
ま・・・ね、プロ野球オフシーズン中ってのもイタかったな〜、これ、5月やったらこれ幸いと甲子園へ〜!だったかもしれない(苦笑)

「東京の展覧会見に行くねん」とLINEでつぶやいたら、「今、ちょうど東京にいるよ!」と手を挙げてくれた「まるびぃ仲間」とで大人二人のミュージアム・クルーズ

久しぶりに来ました、東京都写真美術館。相変わらず恵比寿駅から結構歩きます。朝食に入った恵比寿駅構内の喫茶店(夜はEBISU BEERが飲めます)がすごく素敵だった!!
本格的な、スパイスが効いたソーセージのホットドックと、スライス・キャロットのサラダ・・・ですが、これ、クミンが入っててすごくビールに合いそう。
この日、帰りを高速バスにしてたら、間違いなくここへ戻ってビールいただいてましたよ・・・1月だからね〜、夜行バスはちょっとお天気が心配なんで止めました。

ホンマタカシ「即興」・・・お正月の日曜美術館特番で紹介されていたものです。
カメラ・オブスクラという写真の原点となる手法で撮られた作品・・・今まで何度か「まるびぃ」で鑑賞したホンマタカシさんの作品は、「TOKYO AND MY DAUTHER」とか「東京郊外」とか、対象に距離感が独特で感情を感じないというか、フラットな感覚を受ける写真作品で、そういうイメージでこの展覧会に来てみたら、全然違ってて、最初はすごくめんくらった・・・
でも、私てきには「即興」というタイトルがつけられた、この「もはやカメラを使っていない」と作家が語ってられた通り、すごく素朴なんだけど、でも、自然の摂理っていうんかなぁ、人ってつくづくと「脳で見てる」んだなぁと思い知らされた展覧会でした。
人は、まず眼の網膜に映る「像」そのものは、まず逆さま・・・倒立画像で、それを脳内で位置を置き換えて認識している・・・
展示室に数多くある、私たちが「逆さまだ」と認識してる建物、富士山、街並み、それは、私の脳で「こっちだよ」って上下を置き換えて認識しているからだ。
本来、この倒立画像が「自然」なんだよね。自然の摂理、小さな穴を通して入ってくる光が、暗い中で倒立画像として映る・・・
展示室に入ってすぐに、壁に空いている穴と、そこを覗くと暗い部屋が広がって、遠くに1枚写真があるのは、その「カメラ・オブスクラ」再現している・・・後の方で、もう一度別角度でのぞくと、部屋の中に、何か・・・楽器らしきものが見えていて・・・ピアノと、う〜ん、丸いものが見えてたんだけど、ティンパニー?
後から、パンフとか、テレビの番組とか見直して知りましたが、時々、即興的に音がしたり・・・があるそうです。

 カメラ・オブスクラでは、露出時間(穴を開けていて、いわゆるシャッターの代わりをする黒幕で穴を塞ぐまでの時間)がとても長時間。1時間以上かかるとのこと。
つまり、その間、被写体の建物とかは動かないだろうけど、鳥が飛んだり、人が行きすぎたり、車が走ったりした「動くもの」があったら、それは写っていないか、なんかぼや〜っとした影として痕跡として残ってる。
   作品の中に写っている、そういうぼんやりした影を、一緒に鑑賞した「まるびぃ仲間」と「何か通った痕跡じゃない?」とか言い合ったりしながらも楽しかった。
   
 以前、杉本博司さんのアーティストトークで「劇場シリーズ」について語っておられたとき、どこかアメリカの田舎の映画館で「ここに人が座っていて・・・2時間シャッター開けたままだったから、ぼんやりとした痕跡として写ってるんだけど、わかりますか?」と言われてたことを思い出した。
  誰もがスマホで映え写真を追い求める「現在」、改めて、それがスマホであれ、一眼レフであれ、トイカメラであれ、何十万円もするカメラであれ、ピンホールカメラという紙と印画紙だけで作れるカメラであれ、「写真」・・・写すことの原点は変わっていない。人が手に「器具」を持って対象に迫る暴力的なものもなく、何かすごいものを狙うでもなく、あるがままの姿が写り、それをずっと焼き付けることができるもの・・・そこに人為的なものを極力なくして・・・というのが、今回の展覧会の根底に流れてるんだなぁと。

と、思いながら、その作品をスマホで撮ってる私って??とも思ったりして。

映像作品もありました。
「After Ten Years」(10年後)・・・100分ぐらいの長編映画でしたが、予備知識なしに見始めたんですが・・・あ! ちょっと待て・・・あまりにもタイムリーすぎたかも・・・とドキッとなったが、映像自体がとても「冷静」だったのでちゃんと鑑賞できたと思った。
ドキュメンタリー作品で、2004年12月クリスマスの頃に襲ったスマトラ島沖地震の津波のために甚大な被害を受けた、スリランカの海辺のリゾートホテル・ヘリタンス・アフンガッラ・ホテルの10周年式典の前後の数日を追いかけた映像。朝イチに掃除を始める従業員、客室係、クリーニング室、厨房、ホテルの客などなどをずっと撮っている・・・時折、地震の日に居合わせた客や従業員のインタビューが入り、ああ、こういうことがあったのか・・・ということがわかってくる・・・淡々と撮りながらも、すごい被害があって、恐怖や悲しみがあって・・・ということがインタビューから伝わってくる作品・・・まるびぃ仲間の二人が、こうやって東京で、大津波の被害が出たホテルのドキュメンタリー映画を見ているってのも、なにか不思議で稀有な体験でした。

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