見出し画像

トークイベント「Museum for Contemporary Nature」 by Emanuele Coccia(エマニュエーレ・コッチャ)


2月13日、金沢21世紀美術館レクチャーホールでのトークイベント
ゲスト・レクチャー:エマヌエーレ・コッチャ(哲学者)
モデレーター:長谷川祐子(金沢21世紀美術館館長)

自然生態学と哲学をアートと新しいエコロジーの関わり、「現代の自然」を見せる場所としての新しい美術館像を語る・・・というキャッチコピーが添えられています。
哲学者・・・ん〜、生命哲学という感じかなぁ。
都市と自然という視点から始まった講演会。都市というのはヒトという種の奇妙な劇場として、その中で囲まれた自然・・・という錯覚でしかないと。公園なり庭園なりは、人が都市生活を送る上で作られて、本当の自然から切り離された人工のもので、そこで見ている他の生物は、ヒトというアーティストが長い時間をかけて作り出したバイオアートと呼べる作品だと・・・

割とカタイ話から入っていったのですが、割とわかりやすい発音の英語だったので、すごく聞き取りやすかったです。プロフィールからフランスの方だと思うんだけど、風貌とか着てらっしゃるものから受ける雰囲気が、もっと民俗学の人?っぽい印象です。
そこから、なぜか突然、ポケモンの話になり・・・は?って感じでしたが、言いたい内容は結構納得いくもので、育てて次の段階へという成長の物語であり、異種の生物間の関係性をずっと追いかけていくものだと・・・
なかなかに・・・ジャパアニメーションや日本の漫画文化にかなり精通してらっしゃって・・・というか、かなりのオタクさんかもね(笑)

 話を始められてからずっと感じてた「この方はアニミズム思想かも?」という私の直感も、後の方で自らアニミズムについて語られていて、これは西洋だから東洋だからという分け方ではなく、ヒトという種、人間という社会全体で生態学ではなくアートという観点からアニミズムを軸に・・・という話をされてました。

 例えば、人って勝手というか統一感があるようで実は全く理屈で説明できないことを平気でする。例えばイルカや絶滅危惧種の動物に対して、保護とか大切にとか語っておきながら、左の手でゴキブリを見つけたらペチッと叩き潰して平気でいる・・・それはなぜ?と問われたら言葉に困る・・・そんな質問が「哲学カフェ」などをやってる方から質問が飛んでましたけど・・・
コッチャ氏は笑顔たっぷりに、「ディズニーって私は嫌いだが、例えばミッキーマウスというキャラクター、あれはネズミからきたキャラクターだけど、人間そのもの、ドナルドダックも鳥じゃない、あれは人間社会そのもの」と擬人化どころか人そのものだという言い方をしていましたね。
そのうえで、人間だけを語るというのではなく、動物に似せたキャラで人間社会そのものでしかない話というのではなく、すべての種をつなぎ、関係を気づくための「変容(メタモルフォセス)」が必要なのだとも語ってられました。

時間があったら、じゃ、バッタの遺伝子を人間に組み込んで作られたという仮面ライダーをヒーローにしてるってのは?とか聞いてみたかった。

さらに、ジブリ作品とか相当精通してるような感じでしたので、もし「もののけ姫」を見てらっしゃるなら、あの根底にある考え方、人は神を殺して自然を飼い慣らした・・・という結末なのに、巷では「自然再生」みたいな変な考え方が広まってしまってる・・・って疑問をぶつけてみたかったなぁ。
原生の自然というのは、人を拒絶していて、日本では、そこは神が住んでいる場所として結界を張って立ち入らないようにして、その代わり、その周りだけちょこっと使わせてもらいます〜みたいな感じで里山という場所を育ててた・・・そういうのって西洋ではあるんだろうか?

さて・・・私てきにはこの講演会、密かに期待していたのが、長谷川祐子館長。
先の予定について何かニュースがあるのでは??と思ってたんですが・・
はっきりとおっしゃったのは、このエマニュエーレ・コッチャさんは、秋からの展覧会のゲスト・キュレーターであるということでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?