涙鉛筆 #毎週ショートショートnote 【409字】
晴れた日の公園で「の」と「ね」はよく滑り台をして遊んでいる。
「僕みたいに丸っこいと、滑って転がったまま雪だるまになっちゃうかもしれないなあ」
「雪もないのに雪だるまになんてなるわけないじゃない。うふふ。」
遊んでいる「の」を愛おしいような目で「ね」は眺めている。
何のことはない、いつもの光景である。
2人が遊んでいると、ふと公園の隅に「う」が佇んでいるのを見つけた。
「ね」と「の」が近寄ると「う」は堰を切ったように話し始めた。
「俺は気づいたら涙ばっかり溢れてくるんだ。だからいつも一人ぼっち。うつむいたり、うれいたりそんな役回りばかりだ。」
「僕はのんびりの役が一番好きだなあ」
「私は、語尾につくときが居心地がいいー」
「ねえ、うくんそんなこといいからお友達になろ」
楽鉛筆や愛鉛筆で書かれた文字達には分からない苦悩を「う」は抱えている。
しかしそんな彼らの優しさに触れることで、「う」の目から流れた涙は、嬉しさによるものであった。
今週も参加させていただきました!
自分が書けてから他の人の作品を読ませてもらうのが、毎週の楽しみになってます!!
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