ハルサメとナッツ13 次は御前堕

ハルサメとナッツ13 次は御前堕

毎回とは限りませんが今作はエログロ描写や官能描写を多大に含みますので20才未満の閲覧はご遠慮してくださいね♪
なお現実と烈しく乖離している部分が多いですよ。

登場人物紹介、いっくよ〜!
まずは1番最初に、咲ちゃん、こと岡浜咲ちゃん、彼女のスペックは見た目身長160cmくらい体重不明なものの、やや細めな割に胸の発育は良くGカップ以上ウエストのくびれやマンゴーの完熟度もナッツに引けを取らず男を狂わせるタイプと言えよう。
肩にかかるくらいのきつめにウェイブがかかった茶髪が特徴で大きな目の大部分を占めてる眼球は純白な中に緑色の瞳が美しい。
中学1年生の1学期初め頃で12才だったが既に地球時間で6ヶ月は過ぎていた、つもりだったが実際にはまだ2ヶ月しか過ぎていない620だったので628日誕生日の彼女はもうすぐ13才ということになる。時々瞳の色が赤色や黄色、紫に変わりことがあるが今のとこと特に恐ろしいことは起きていないので良しとしよう。

はい、次は私の悪友、じゃない親友のナッツこと夏野明美、彼女も咲ちゃんと同じく中学1年生だが誕生日が確か3月だった気がするだから今年いっぱいは12才のままだろう。
彼女に関してはスペック詐欺と言っても過言じゃないと思う。
黒髪のロングストレートヘアには違いがないのだがその長さは胸元あたりから腰まで自由自在に変えられる。
顔はどこかおっとりとした母性を感じさせるおっとり美少女だが時折り妖艶な美女に変わり、男を誘惑の眼差しで見つめる。
身長はデフォルトで165cmであるものの実際には145175cmまで自在に変えられるらしい。戸籍上は12才の現時点では中学1年生ということになっているが脱ぐとやばいタイプで私はてっきりDカップ程度と予想していたが実際にはHカップ以上はあるらしくて、くびれたウエスト以上にピンク色に完熟したとても柔らかいマンゴーとさっき言った通り時折見せる妖艶な美貌、それらは12才とは思えない大人の色香を遺憾なく発揮してそれを見た男どもを性欲のアリ地獄に引きずり込むだろう。
彼女のニックネーム、ナッツは彼女の口がナッツ類しか受け付けられないことにある、ピーナッツ、マカデミアナッツ、ジャイアントコーンなど、とにかくその手の食い物しか受け付けない。
彼女は7大欲求に関する悪魔らしいが私なんかよりもはるかに長いキャリアを持つ長寿な高等悪魔であるらしい。少なくとも一つの恒星系文明が生まれてから滅亡するまでを見とってきたらしい。

次は私、私の属性は人類、いわば人間などではなく淫魔と呼ばれる、まあ最下層のエロスに特化した悪魔である。
世の中の人間たち男女のエッチな行為やすけべな夢想などから快楽や愛液、精液などの甘い果実を横取り、いや、少しずつ分けてもらいながら棲息しているというとても強欲な、じゃないつましい悪魔だ。
ちなみに私の人間形態での見た目は一応戸籍上は中学1年生12才でありながら身長140cm未満Bカップというお子ちゃま体質である。ちなみに誕生日はナッツよりも2ヶ月早い1月の29日ということになっている、
私は超大手電気機器関連グループの理事長と火星からやって妖魔に心身を支配されていた女性クローンの間にできた受精卵を詩織に無理矢理強制的に借り腹として利用して産まされた子だった。
しかも詩織自身にも秘密があって本来の詩織さんは中学3年生の時に東北地方を襲った地震で発生した津波に飲み込まれて命を落としかけていた。
そこにたまたま居合わせた火星からやって来た女性クローンも同様に津波に飲み込まれて死にかけていたがその女性クローンに契約していた妖魔がなんの気まぐれかその死にかけていた詩織と契約を交わして生き返ったらしい。
その時、津波に流されて重傷を負い子宮や腎臓を失った同学年の少女と奇妙な約束を交わして親友となった。その彼女こそが今私が養女として養ってもらっている幸恵さんだ。
ちなみに幸恵さんと聡さんの間には1学年年下の義弟である健太くんがいる。
彼は幸恵さんから卵子を提供してもらい、彼女の夫である波瑠聡さんから精子をいただき人工授精をして詩織自身の子宮を借り腹にして産んでいるのである意味本当の姉弟と言えるかも知れない。

名前は波瑠沙芽と書いてはるさとみと読む。
肩にかかる程度の春雨のような透き通った白髪が特徴でこれも私のニックネーム春雨の由来になっている。

さて、追加でもう1人、いや3人ほどいる。
ひとりは咲の父親の浮気相手、いや、正確には一方的に淫媚薬で意識を混濁させて下垂体の性的な判断を狂わせて手篭めにしたのだからまあ被害者でしょう。元々は火星人で連れ合いは事故で亡くしていた。
地球での偽名は風間亜希と言い、一時は咲の父と同じ会社の違う部署に配属されていたのだが理事長の愛人になるように当時咲に取り憑いていた妖魔に操られかけたが彼女自身と契約を交わしていた妖魔がそれを跳ね除けて拒んだため事実上解雇に等しい愛知の子会社に1ヶ月後の転属が決められていた。
しかしその数日後、火星で暴動が起き全ての核融合炉は暴走を始め彼ら、本星にいた火星人は全員死滅して妖魔のみが超弩級妖魔として大勢生き残ってしまうという最悪の事態となった。
そんな時に妻の浮気や自分の者での待遇で自暴自棄になっていた咲の父親は彼もまた火星人であり同郷の彼女に目をつけていたが彼女、風間亜希の妖魔がショックで弱っていた事を感じ取り長期出張を命じられたうっぷんバラシに薬物を使い彼女を陵辱して孕ませてしまう。もちろん出血も多かったが彼は同情するどころかその時撮った動画をネタに関係の続行を迫った。
しかし、そんな関係がしばらく続いたある日、彼女は倒れて救急車でとある病院に運ばれて妊娠が発覚してしまう。

さてここでふたり、紹介する。彼女が運ばれた病院はどう見ても異星人しか患者がいない奇妙な病院だった。
そこで彼女は院長である葉類智恵院長に宣告される、「火星人の退化した子宮では子供が中で圧死するか子宮が破裂するかのどっちかだよ」とそして彼女が決断した時、目の前に自分と同姓同名を持ったポニーテールの少女(淫魔)が現れた。
そして彼女は宣言をする今の妖魔との契約を解除して自分、彼女自身の正体でもある淫魔と契約をするそれがお腹の中の胎芽を預かる条件だった。
そして風間亜希はそれを二つ返事で了承した。

それから9年後、今私の前にはふたりの少女がポニテ女と一緒に立っている。
いやその2人もポニーテールなんだけど違うのは髪の毛の色と背丈はふたりともに140cm前後だったがひとりが金髪で高めの位置で縛ったポニテを解けば腰までありそうなされサラサラのストレートヘア、黒目の美少女、元はあまり美人とはいえない尖り気味のアゴに歯を組み込んだ、咲の家庭教師を1年ほどやっていた咲の父親の性的暴行の被害者でもある火星人の風間亜希、咲の記憶に残っていたその面影は全くない、名前は波瑠真希(はるまき)年齢不詳、20歳未満と言っても通ってしまう。
実は彼女の肉体は彼女と契約していた妖魔の記憶にあった彼女の元となった『美少女コレクション』の中のひとりのDNA情報を元に再構築されている。

そしてもうひとりは真希の娘である波瑠花和、髪型は真希と同様に解けば腰までありそうなストレートヘアだが金髪ではなく銀髪、加えて瞳の色が緑がかっていた。私たちよりも4才近く年下だそうだ。小学4年生だそうだ。
彼女達の始祖は大昔に彼女達の大富豪が誘拐や怪しげな宗教団体の信者が産んだ美少女を養女として引き取ったとのことだが、
もちろん信者に対する洗脳がかけられてのことだからこれもほぼ誘拐に等しい。
そして彼らは拉致した彼女達を『美少女コレクション』と称して富裕層専用の広大な超高度核シェルターの中にコールドスリープマシンに入れられて保存されていた。基本火星人のの女性クローンは解凍した彼女達から抜き取った卵子をもとに増殖させて大量生産させられて冷凍保存されていた富裕層の男の精子によって受精させて培養器の中で育てられたらしいが全てが男になってしまうという絶望が彼らに植え付けられた。しかし不思議な事に彼女達女性クローンはこの地球上では相手が地球人の男であろうが火星人の男であろうが交配すれば男女どちらでも作れた、ただ残念な事に彼女達女性クローンは子宮が退化しているために受精、着床までは出来なくて諦めざるを得なかった。そこで考えられたのが咲の母親がやったように権力者に取り入って貧しい少女を騙して子宮の全摘手術を行い移植してそこで産み育てる方法、もう一つは詩織にやったように洗脳した少女を借り腹として強制的に着床させて生ませるやり方、どちらも人道的とは言い難いが花和の場合は受精卵のDNAを妖魔の記憶を元に再構築されている、故に咲の父親とは似ても似つかない。
ちなみに彼女を胎の中で育てたのは妖魔の風間亜希ではなく本体の葉類亜希である。ちなみに波瑠真希と波瑠花和のふたりが何故私と同じ姓を名乗っているのかというと私の義父である聡さんが彼女達を養女として引き取った殻で特に理由はない。
今は帰国子女としてむさし小学校に通っているとのこと。

ちなみに彼女の事実上の母親である葉類亜希は私より1学年上のここの病院の一人娘であり常に肩まで伸ばした黒髪をボサボサにして顔はもちろん全体の肌がカサカサという美少女からは程遠い存在だ。ただし色々と変装というか変態は得意中の得意らしい。
きっと今までも大勢の男たちを騙して来たのだろう。

おっといけない、またしてもスター、じゃなかった、星紫亜さんの存在を忘れていたよ水星生まれの水星育ち、半導体生物が進化し過ぎちゃった末に中二病をこじらせてA級淫魔処刑執行人になったと言う実体を持たない化け物だ。
見た目は1516才くらいの発育の良い娘、結構な美少女と言いたいが赤い癖毛のたぬき顔、あう!

ここから本編始まるよ〜

「〇〇電気グループの原子力発電推進プロジェクトが核融合炉発電の実用化に成功したってさ」
病室に突然に入って来た私たちの1学年上のボサボサ髪の方の葉類亜希が言った
とっさにあの理事長の顔が脳裏をかすめたのはなぜだろうか?
あまりにも淡々と彼女が言ったのでその先のものすごく重要な話の内容を思わず私たちはスルーしそうになっていた。
「なんで一介(いっかい)の人間にすぎないお前、葉類亜希があたいよりも情報通なんだよ」
ポニテ女の風間亜希がボサボサ髪の秋の襟首(えりくび)を掴んで言った。まあ彼女も一応妖魔だしね。
そして間を置かずにポニテ女は襟首から手を離して土下座をしていた。
「ごめんなせい、チョーシぶっこいてました、その情報はどこから?」
そんなポニテ女を見てボサボサは深くため息をついていた。
「人前では一応、あなたヤンキーということになっているから、尊厳を忘れないで」
そう言いながらボサボサはポニテ女を抱き上げた。ポニテの分を差し引いてもボサボサの方が背が低く見える。
「私は140cm、彼女は165cmあるから当然だよ」
なるほど、確かに、新情報だと思った。私はさっきまで彼女のイメージはあぐらをかいたまままくり上げたスカートの中に見えた立派なツルツル完熟マンゴーとDカップの形の整ったふたやまの乳プリンしか記憶にない、さすが先輩淫魔だと思っていた。
「それってもしかして真田くんに取り憑いていた超妖魔ってやつを手なづけて得た情報じゃ」
私がそういうとボサボサはしばらく考え込んでいた。
「あれ?私あなた達にそんなこと言いましたっけ」
私とナッツは顔を見合わせた。
『ダメだ、この娘、私(あたし)達の記憶を消したつもりで自分の記憶を消してしまっている』
「というかあなたち、どなた達でしたっけ?」
若年性〇〇ツハイマーだろうか?かなり不安になって来た。
「えーと、こっちの茶髪が問題の咲で隣にいる、黒髪ストレートが夏野明美、そしてハルサメ頭の私が波瑠沙芽と言います」
一応軽く自己紹介をしておいた。次にあった時に忘れていやがったらタダじゃ済まさないぞ、という念を込めて言ったつもりだ。
「あ、思い出した、うちの真希ちゃんと花和ちゃんを引き取ってくれた聡さんのご家族の方ですよね?」
ボサボサはそう言うと真希と花和に手招きをして私のすぐ前に立たせた。
身長は私と同じくらいだったが花和ちゃんはまだ小学4年生だと義父の聡さんに聞かされている。
「花和でいいわよ、淫魔如きにちゃんづけされる覚えはないわ」
どストレートに呼び方の訂正を要求されてしまった。
「もうひとりは確か真希さん、花和の母親と聞きましたが、はたち過ぎでよろしいでしょうか?」
私が言うと彼女はすごく申し訳なさそうに言った。
「すみません、この娘、花和と私、真希のDNAゲノムには『美少女コレクション』を作成した宗教団体『総合神社』の信者の1人に取り憑いていた妖魔の呪いがかかっていてこれ以上成長できないんです、だからふたりとも永遠の小学4年生なんです」
真希さんは気まずそうに言うと続けた。
「単細胞女性クローンではその制約は取り除かれるのですが何故かその時代の生活様式が反映されてしまうみたいなんです」
「それが顎が細くて歯もなくて、胃や小腸が小さくなったり子宮が退化することにつながってきたというわけなのかな?」
私が言うと
「私達ふたりは葉類亜希さんが私たちの中に残されていたDNAを全て解析することによって当時の『美少女コレクション』の肉体をほぼ完全に復元してくれました、つまり彼女の胎の中で今までの記憶はそのままに産み直してもらってました、しかしそのDNAの中にあらかじめ組み込まれていたマクロ機能によって成長が止められるようになっていたんです」
真希さんwwが言うとその後をボサボサが続けた。
「真希の中の妖魔やこないだの真田虫くんだっけ?彼に取り憑いて契約していた超妖魔だっけ?それらと時々話し合ってみたんだけどどうやら例の『美少女コレクション』というのは私たちが考えていたそれとは程遠いものだったのよ」
ボサボサは続けた。なんか『話し合って』というワードがとても恐ろしく感じるんですけど、詰問じゃないことを願いたい。
「少女を数万人拉致したり信者を洗脳したりしてなるべく美しい美少女を彼らなりに集めてきたつもりだったらしい、それでも満足とは程遠くて」
「行き着く先はもうゲノム解析しかないよね?」
ナッツが口を挟んだ。
「まあ遺伝子情報、ゲノムの解析ということになるね、つまりどこをどう弄れば顎が丸くまったり、瞳が大きくなったり、どうなるのかDNAを執念深く調べ上げた、そう、つまりあの『美少女コレクション』は最初から実在した人間ではなくってある意味遺伝子操作によって造られた理想の組み合わせのキメラを何百万通り作って、それをまたひと組のDNAに落とし込むという極めて手間のかかる事をやっていたみたい」
ボサボサが続けると今度は真希さんが続きを語り出した。
「もうこうなると技術者というよりは作家集団と言ったほうが近いかもですね、そして10年以上の月日と5000人以上のクリエイターによって様々な主流少女達が造られた」
「そこに作家固有の好みが出てきたと」とナッツ
20過ぎくらいが大丈夫な人とか4才以上は認めないとか様々な嗜好というわけ?それって作家さんのエゴじゃん」(火星年齢 1火星年は地球の約2年に相当)と私。
「まあそれで真希と花和の中のDNAゲノムに含まれていたオリジナルデーターでは4火星年齢、つまり8才で成長に制限がかけられるようになっていたんだけど、これに関しては確定事項とは言えないんで、正直言って真希と花和には悪いことをしたと思ってる」
ボサボサ、いや葉類亜希は神妙な顔をしてふたりに対して深々と頭を下げて詫びを入れた。
「いいえ、私は正直言って今のまま、これ以上成長したくないです、それは多分、花和も同じはずです」
真希も少々言いにくそうに切り出した。
「私はこのままでいいです、学校で習った二次性徴、それが始まって仕舞えば私達火星人は今自分に取り憑いている妖魔と契約を交わさなければならなくなる、ううん、無理矢理契約は成立させられてしまう、そこにいる咲さんならわかるでしょ?あいつはその日が来るのを待っている、もしかしたら咲さんに仕掛けられたトラップにはめられてしまうかも」
花和の言葉を聞いて咲は首をうなだれて答えた。
「私のクソ親達は本当にロクでもなかった、私はほとんど母親に育てられた記憶はない、いつも『おじいちゃん』を自称する年寄りの相手をしていたし『パパ』を自称していたあの男は私を見向きもしなかった、あげくに私はその自称『パパ』に乱暴を受けて殺されかけた、真希さんと花和ちゃんの判断は正しかったと思う、あのクソジジイから離れないと私と同じ運命を背負わされる」
彼女の暗くて重い過去は誰にも消すことは出来ない。

「なんですと?それでいいんですか?」
と私は真希さんに聞いた。確かに見かけは小学4年生かもしれないが積み重ねて来た人生の経験は20年や30年と言う数値では語れないと思う。
「確かに私は火星で7火星年、地球で言う14年は生きて来た記憶があります、そしてさらにここに来てから10年近い日々を過ごして来ました、しかしこの国では大人になって子供を産む、育てることが果たして幸せといえるかどうか?そしてそれが許されうのかどうか自信が無いです」
私は何かを口から言いかけていたが思わずそれを飲み込んでしまっていた。

私の中にも彼女と同じような記憶が刻み込まれていた。
火星にいた彼女達は培養器から出たばかりの頃は皮肉にも咲が父親にレイプされた歳頃とほぼ同じくらいだった。
彼女達は培養器の中を出てから仮想空間上で様々な学習を受けて出荷されていた。
男性も同様だ、さまざまな生き抜くための体術や最低限必要な学問の知識、そして女性クローンに対してやって良いことと悪いことの教育。
しかし後述するがこれが曲者だったりする。
女性クローンに教え込まれるのは基本、最低限の性知識と生産性のある労働などに関する知識、いわゆる某副総理が言っていた「小学校までに習う知識程度で十分」にすぎなかった。
難しいことを学ぶ必要もなかったし彼女も毎日を友達とふざけたりして過ごしていればよかった、はずだった。
そんなある日、真希の友人を悲劇が襲った。
彼女自身もその友人も二次性徴を迎えていた。胸が少しずつ膨らみ、体が丸みを帯び始めていた。
彼女は知らない間に犯されて妊娠していた。もちろん相手は不明というわけではなかった。厳重に管理されていた彼ら彼女達はその一挙一動をもれなく監視されていたはずだった。
彼女達クローンと彼女達の一部から振るい分けが行われ、その階級は三段階に区分されていた、と後になって知る事になる。
同じ人間から採取された単細胞から造られたクローンのはずなのにどうしてそこまで違いが生じるのか?学者達の間でもその理由は解き明かす事は出来なかった。
真希はIQテストによって知能の高い個体はエリートコースに組み込まれてそちらのエリアに移されて専門的な学術や技術を学ばされていた。
その中には核融合炉に関する知識や宇宙船建造や、シェルターの設計、増築に関する知識もあった気がする。

顔の見えない相手が真希を呼んでいた。
そんな頃の真希自身の名前なんて覚えていない、真希の友人の名前だって同じだ。そこだけポッカリと抜け落ちていた。
「ってさぁどんな男の人が好み?」
そんなことを言われていた気がする、しかし真希は異性には興味がなかった、そんなことよりも早く自分の船、宇宙船を造って、自分の操縦でこの狭いシェルターを飛び出して他の星に行ってみたい気がしていた。
その頃はまだ重要機密になってはいたけどすぐ隣の第3惑星、自分たちが住んでいるこの星よりも1周内側にかつてのこの星のようにあふれんばかりの水と緑に覆いつくされた活気あふれた惑星があると聞いていた。
しかし時々その星から無人の探索船が自分達が住む星の地上に降りて来ているとは聞いてはいたが自分達の政府がその船のコンピューターをハッキングして地表風景などの関する偽情報を彼らに伝えていたことは知らなかった。
真希が自分たちの住んでいるシェルターの増築設計に関わっていた時に友人の彼女から電話がかかって来た。
画像に映っていた彼女は病院のような場所のベッドで寝かされている様子が映し出されていた。
「何か大変な病気なの?」
心配になった真希に彼女はうつろな瞳で答えた。
「なんか私選ばれちゃったみたい」
「選ばれたってなんに?」
「作らされちゃったみたいなんだ」
彼女はぼんやりと答えていたそうだ。今の私からすれば考えられないことだったが私の中の火星人も同じような経験があったようだ。
「ちょっと、相手は誰なの?紹介しなさいよ」
おめでたいことように言った真希に対して彼女は悲しげな表情をして首をうなだれ視線を逸らせた。
私、いや、私の中の火星人はかつて培養器の中で教えられていたことを思い出していた。
IQテストに合格すれば私のようにエリートコースを歩むことができる、私たちはすべて同じ個体になるはずだった、しかし微妙どころか遥かに大きな違いが生じたのは事実だった。
ある一定の以上のIQ指数を持つ者以外は生産性を求められて労働階級に回されていた。
真希の友人である彼女も労働階級にまわされて、普通に素敵な恋をして家庭を築いて子を育てて年老いていく、と少なくとも真希は思っていた。
しかしその時に気づくべきだったのだ、『なぜ労働階級には若い男女しかいなかったこと』かに。
友人は恋をして好きな相手と交わって受精したわけではなかった。
仕組まれた縁組の相手に犯されて妊娠させられたにすぎなかった。
「退化した子宮ではその中で子供を育てて産むことは出来ない、だから手頃な大きさの胎芽に育った頃に慎重に摘出されて人口培養器で育てられる、との事だった、と私の中の彼女も言っている」
私は言葉を選びながら言った。
「私の友人はほとんど一部始終を覚えていたんです、貴重な酒に淫媚薬を混入され、気がついたら裸に脱がされた自分の上に覆いかぶさるように乳房を揉みしだきながら腰を激しく振っている同僚の若い男に」
「そうかぁ、でもまだ卵子を作る能力は残っているんでしょ?」
私の問いに真希さんは声も出さずに泣き出し始めていた。
「未熟な医師のせいでふたつの卵巣は卵管と共に損傷を受けて機能しなくなりました、つまり私の愛する友人は生産性無い人間と見做されて食糧用途にまわされました」
「それでも麻酔を打たれて意識がない状態で処置に回されたんでしょ」
私の問いに対する真希さんの答えは衝撃的過ぎた。
「胎芽摘出後、彼女は見た目はグラマーで美人だったので大富豪の男に高値で買い取られました、と言ってもシェルター内の支配者なので誰も逆らえません」
「しばらくして彼女の訃報が届いたんだね」
私、春雨は真希さんの身体を抱き寄せながら言った。もし真希さんが言った通りなら私の中の火星人からの情報でその後の出来事は想像出来ていた。
その大富豪の男とやらは散々真希の友人の肉体を弄んだ挙句、突然、男に訪れた精子生産能力の終了期が訪れていたにも関わらず彼女を犯し続けたのだろう。
「普通ならいきなり濃い溶剤に変わるわけではない、薄くなった精液に混じって薄い溶剤が排出されだすようになるの、彼女の生殖器内面がただれて火傷をしたかのような激しい痛みを感じて暴れるように痛がるはず、なのでまともな神経の持ち主の男なら彼女の表情を見てもう2度と行為を行わなくなるはずでした」
だがそのゲス夫大富豪は構わず性交行為を強要して続けた。
そしてある日、突然に大量に噴出した溶剤に溶かされて彼女は内臓をほとんど溶かされて帰らぬ人となってしまったのだろう。
もちろん溶かされた彼女の内臓類が皮膚と一部の骨など、溶かされなかった部分を残して美味しく大富豪の男に飲み干されたのはいうまでもない。
葉類亜希が真田くんにやられたように然るべき処置、つまり溶剤に溶かされない中身を詰め込まれたり、まるで生きているかのような動きをする機械の組み込みをする部所に回されて愛玩人形として高値で売買される。真希の友人はその愛玩人形としての出来も優れていたのでその大富豪に再び高値で買い取られたようだ。
真希さんは歯を食いしばって声を押し殺し、両目から大量の涙を流し泣いていた。彼女の友人は命を奪われてもなおも犯され続ける運命を押し付けられていた。
ただ私的には真田くんがどうしてそのような利用法を知っていたのか気になっていた。
そしてそれを想定内だったようにあえて彼の策略に乗ったボサボサ亜希の真意を測り兼ねていた。

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私が全身の骨折を完治させるのにさほど日数を必要としなかった筈だ。私自身も咲と同様にいつ暴走を始めてもおかしくはないということだ。
「ねぇ、ナッツ、もしも私が見境なく自分自身の肉体をエサにしてこの星の男どもに私自身を襲わせて彼らを食い物にし出したら当然、私を殺してでも止めてくれるよね」
私はベッドの傍らで果物ナイフを使い大きなプラスチック製皿の上でリンゴの皮をむいているナッツに言った。
返事はなかった。ただそれを8等分にカットして芯をくり抜くと私のお腹の上に皿ごと置いた。
「つまんねぇこと考えていねぇでさっさとそのリンゴを食って元気を出せって意味だよ」
いつのまにか、というよりいつものようにポニテ亜希は私の足元であぐらをかいて座っていた。今日はセーラー服さえ着ていない、正真正銘の素っ裸だ。股間で輝く完熟マンゴーもだったが程よく上向きに膨らんだ乳房も形が整っていて美しかった。
身長さえあれば成人女性と言っても通用してしまうだろう。
まあ口を開いて汚い言葉遣いが連射されたらすべてがぶち壊しなんだけど。
「オメーは自分の月ものがいつ始まったか覚えているか?」
突然に脈絡のないことをきかれて驚く、しかし超妖魔とやらの強制契約の時期を知りたいのかもと納得。
「私は見た目よりも早かったですよ?確か小学5年生に上がる直前の春休みに入った直後に・・・」
私の口と思考が固まっていた。
私はあろうことか聡さんはもちろんのこと健太とさえ関係を持ちかけてしまっていた。
半年近く前のことだ、出来心といってしまえばそれまでだったが私は聡さんが寝室で眠っている最中に裸で潜り込んで彼の手を自分の乳房に当てたり股間の完熟マンゴーの谷間に指を潜らせてひとり興奮していた。
彼は仕事で疲れていたのか私が誘うがままに指を動かしていたが部屋の中では私の喘ぎ声だけが響いていたような気がする。
その後のことはよく覚えていない。
本当に彼と交わってっしまったのか、それとも自慰行為をしただけで部屋を出たのかよく覚えていない。

健太に関しはつい最近の出来事だ、3か月くらい前だろか?その時も私は彼の寝室に忍び込んで裸になって布団の中に潜り込んで彼のズボンとパンツをそっと引き摺り下ろすとさして立派じゃないモノがあらわれると自分はそれをしゃぶり始めていた。
部活で疲れていたのか彼は目を覚さなかったけど自分の完熟マンゴーに差し込もうとした。
しかし彼は私の知らない女の子の名前を口にしていた。もしかして同じクラスの好きな子かもしれない、『失礼なことしているよね』
そう思って彼の服を戻そうとした時、自分にささやく声が聞こえた。『やっちまいなよ健太の初めてをその女から奪っちまいな、それがおまえら淫魔だろ』
私は自分の髪をかき上げると健太のモノを軽くさすりその先をしゃぶりながら大きく逞しくなっていくその皮をむき始めていた。
『遠慮なんてするなよ、お前のその穴に差し込むだけだろ、こいつの熱い液体をめいっぱい吸い込めよ、コイツの好きな女の子を陵辱する夢を見させながらやっちまえよそれがお前ら淫魔だろ?』
私はそのささやきに従うように彼のモノを自分の穴に差し込んでいた。
しかし私の身体はそのささやきに反する行為を始めていた。
一旦途中まで入りかけたそれを抜き取ってから、何故か私は裸のまま健太の身体に抱きついていた。
彼のはち切れんばかりに大きくなったそれは私のさほど豊かとは言えない胸の谷間にはさまって熱い鼓動が伝わっているのはわかった。すると彼のそれも激しい鼓動を私に伝え返してくれて熱くぬるっとした液体をふたりの間に噴き出していた。
私はティッシュでそれを拭き取ると彼のパンツとズボンを戻してそのまま健太の部屋から抜け出していた。

骨折がほぼ完治して退院をして数日経ったある日のことだった。私は小学部の義妹の教室を覗いていた。何か居残りをして作業をしているように見えた。
「真希ちゃん、花和ちゃん、今日は一緒に帰ろうか」
私はいつの間にか真希さんが花和ちゃんの母親だった事を忘れかけていた。本当は真希さんと呼ぶべきだった。
「じゃ帰ろうか」
私はふたりに声をかけた。
しかし、真希さんは私に怯えているようだし、花和ちゃんは逆に私に対する警戒心をむき出しにしていた。
「ナッツと咲にもついて来て欲しいんだけど」
私達は5人ですっかり暗くなった頃、やっと家に着いていた。
「おかえりなさい、ご飯はできていてもうあたしと健太は済ませたけど、真希ちゃんと花和ちゃんもすぐに食べられるわよ、作り過ぎちゃったしもう遅くなってしまっているから、ナッツちゃんももう1人のお友達も一緒に食べて泊まって行きなさい」
母の幸恵さんがエプロン姿で出迎えてくれた。
「幸恵さん、智さんは今日も残業?」
私の問いに幸恵さんは少し嬉しそうに答えた。
「なんか大きなプロジェクトに参加していて今日は帰れないってさっき電話かかってきたから」
咲の警戒心もなかなか解けないように感じたが幸恵さんの笑顔に安心感を見出していたようだ。彼女の笑顔には不思議な魅力がある。
しかし私はいまだにふたりを対してお母さんお父さん、とかママパパと呼ぶことに抵抗を感じている。
私のひとつ年下の健太くんがダイニングキッチンから出てくるなりナッツと視線が合ってしまったらしくて顔を真っ赤にして「こんばんわ」と言うなり2階の自分の部屋に行ってしまった。
実はナッツみたいな娘が健太の好みのタイプだと私は知っていた。
我が家の家族構成は実に複雑で私、波瑠沙芽、と書いてはるさとみと読むのだけど私ひとりは彼らとは血のつながりがない、実は私は私が4才になったばかりのある日、幸恵さんの親友である私の実の母、詩織は某国の役場に保育園の手続きを取りに行った時にテロ事件に巻き込まれて命を落としている。
当時その某国には母は身寄りはなく、シングルマザーだった母、詩織は実の両親や親類とは遠縁になっていたので私の引き取り手がいなかった、母の親友だった幸恵さんと聡さんが養子として引き取ってくれたと言う事だ。
しかし本当は私を引き取った別の理由があったことを最近になって知ったがそれはまた再び後述することにする。
ちなみに健太はれっきとした幸恵さんと聡さんの間に出来た息子だが実際に出産したのは私の母の詩織だったと後で聞いた。
幸恵さんは中学生だった頃、地震による津波に流されて瓦礫となって一緒に流された木材の破片が下腹部に突き刺さって腐敗をしていたので子宮など身体の一部が細菌で腐敗してそれが全身に広がる恐れがあったために外科手術でそれらを摘出して子供を産めない身体になっていたと聞く。
その時に私の母である詩織は幸恵さんに親友になる証として母、詩織は『もしも幸恵に好きな人ができて子供が欲しくなったらあなたの卵子と彼氏の精子を提供しなさい、私が必ず人工授精して私のお腹の中で育てて産んでみせるから』と約束をしたらしい。
つまり円満な貸し胎である。

そして私自身であるが詩織はどうやらその半年近く前に他人の暴力によって強制的に仮胎として利用されていたらしい。
母、詩織はたまたま知人に紹介されたバイトで某〇〇電気グループの理事長だった男のマネジメントと身の回りの世話を彼の養子だった火星人の女性クローンが妊娠末期だったため出産してしばらくの間まで世話する契約だったはずだ。それがどう言うわけか薬物投与と非常に強力な暗示によって性的な関係、要するに愛人契約を結ばれさせられていたらしい。
幸い母は元々無排卵症を都産婦人科医に診断されていたので妊娠の心配はなかったが理事長が女性関係と衛生面に非常にルーズだったために毎日が性病に感染する可能性の恐怖との戦いだったと母の日記には記入されていた。
実はその火星人クローンも理事長の養子どころか愛人関係だった。
それを誤魔化すために彼女は別の男(火星人)を淫媚薬と強力な暗示で自分をその男に自分を犯させて彼の子として理事長の間にできた子を彼に認知させていた。
しかし、彼女は女児を出産直後、すぐに理事長と性行為を再開してすぐに受精して着床させてしまうと言う無計画っぷりだった。
しかも最初の娘の時でさえ何も知らない若い子を暗示と薬で洗脳して『子宮ガン』だと思わせて摘出手術を行い自分の火星人特有の退化した子宮と交換してまで産んだという傲慢さだった。
母、詩織も当然、その女性が責任を持って自分の(他人から奪ったモノだが)胎で育てる覚悟があると思い思っていたらしい。
しかしその女クローンはとんでもない事を思いついた。
『もうあんなしんどくて痛い目を見るのはごめんだね』と
もちろん彼女は人工中絶を望んだ。
しかし実質、愛人である理事長は、先ほど生まれた女に女の子ではなくて世継ぎとなる男の子の出産を希望していた。
その受精卵が男の子になる可能性に希望を賭けていた。
かくして私の母である詩織は再び薬物投与と強力な暗示にかけられて眠らされてベッドの上で目が覚めた時はすでにその受精卵は子宮内に着床させられていて私は詩織のお腹の中でスクスクと育っていた。
ただ彼女は毎日一日中泣いていた。私は彼女にとって望まざる子供なのはわかっていた。
私はまだ胎芽から毛が生えた程度の胎児とさえ呼べない小さな存在だったけど彼女が抱えた心の痛み、悲しさは痛いほど伝わって来ていた。
でも無力な私は彼女に何もしてやれなかった。
ある日彼女はハサミを手にしてそれで自分のお腹を滅多刺しにして自害を試みようとした。
それは私が望んだ選択肢じゃなかった。
しかし彼女はそれさえ出来なかった。奴らが仕掛けた強力な暗示と薬物の投与によって彼女は指先ひとつ動かせない状態だった。
起き上がれない体のまま9月に入った頃、彼女は大粒の涙をとりとめもなく流し続けて自問した。

『君の希望はなんだい』

それはおそらく彼女自身に対する問いかけだったのだろう、しかし私は自分に対するメッセージだと受け止めていた。
もう既に私はある程度の能力を身につけていた。
私は自分自身を彼女の肉体と精神と共に時間を5か月ほど過去に戻した。

そこで私は幸恵という不思議な少女に出会った。
今思い起こせば、まださほど目立ってはいなかったはずの詩織のお腹の中にいた私の存在に気がついていた。
そして必ずまず詩織に手を振って挨拶するとお腹の私に対しても手を振って挨拶してきた。
「まさかあの時の約束本当に実行する気じゃないでしょうね」
彼女にそう言われた途端に洗面所の鏡に映っていた詩織の暗く沈んでいた表情が急に『パッ』と明るくなったのを感じていた。
『そうか、これは来たるべき時の予行演習だと思えばいいんだ』
親友の一言が母の気持ちを少しだけ変えた。
もちろんそれでも母である詩織にとっては辛くて苦しい毎日が続いていた。
私は再び訪れた9月を迎えてさらに2週間過ぎた頃、医師達のエコー検査によって私が女の子であることが判明した。
本来なら父である筈の理事長の決断は迅速かつ非情で冷酷なものだった。
詩織を胎の中の私ごと海に沈めて処分しようと決めていた。
母であるはずの火星人もそれに同意をして男達を操り、私ごと母を亡き者にしようとしていた。
ーお願い、彼女を助けて、そしてあなた自身も自分の能力で守ってー
どこからか私に救いを求める誰かの声が聞こえて来た。
私なもうすでに無力ではなくなっていた。
私は生きたまま両足に重しをつけられて、さらに手足に傷をつけられて出血していた。
その匂いにおびき寄せられたサメに襲われた彼女を胎の中から操りなんとか生き延びらせることができた。
しかし手足を片方ずつ食いちぎられた母は出血性ショックで命を落としかけていた。しかも浜辺で動けなくなっていた母の頭を非情なスナイパーのライフルが狙っていた。
私は躊躇(ためら)うことなくシールドを張り母の身体を強力に容赦なく降りかかる宇宙線や真空状態から保護して酸素と栄養を臍の緒を通じて逆に送り、治癒しながら宇宙を飛び木星の衛星の一つに着地していた。
彼女の体を修復を完了させた頃には母、詩織は私をシールド内で自然分娩していた。
私と詩織はふた月巨大な惑星、木星を眺めながら生活して地球に帰った頃、街にはクリスマスのメロディが流れていた中、母は同級生の波瑠聡さんと偶然に再会した。
そして変装した姿で聡さんとラブホテルの一室で密会をして今までの全てを打ち明けていた。
そして誰が見ても3才児以上にしか見えない姿の私も彼に紹介をした。当時の私はそれが普通の成長速度だと自分では思っていた。

もちろん母は親友の幸恵さんも聡さんに強い恋心を寄せていることは知っていた。
そしてそれが親友に対する不貞行為であることも。
聡さんとの関係は実質ひと月も続いてはいなかったはずだ。
ただもしものためにふたりは12月に入る前から付き合いだしたことにして口合わせをしていたようだった。
しかし母にとっては永遠に等しい幸せな毎日だった。
だから母はこの事を幸恵さんには言わないように口止めをした。
しかしそれは〇〇電気グループ理事長の魔の手から彼女を守るための手段であり母に何かがあった時のために私の父親になってもらうための既成事実づくりも目的でもあった。
しかし私の母、詩織はDNA検査をすればすぐにバレてしまうことに気づかないほどお間抜けさんだった。
私はそんな彼女が世界で1番愛おしく思い、大好きだった。

「また考え事をしているよ」
突然にナッツの声が耳に入ってきた。
私はひとりで考え事にふけっていたようだった。
「たぶんここにいる人たちは様々な共通点を持っていると思います」
ダイニングキッチンで食事を済ませた私達5人は私の部屋に集まって私が用意したクッションの上に座っていた。四畳半しかない狭い板の間の部屋だったが私は何も持たない主義だったので半間の押し入れで充分だった。私の持ち物は全てその中に収まっている。
すぐ隣の部屋は真希さんと花和ちゃんの部屋になっていて六畳ある、その狭い方の面に押し入れが一間あってそれが私の部屋の押し入れと隣に向きを変えて並んでいるというわけだ。
私は彼女達の部屋には入ったことはないが中で長い方向を半分に分けてカーテンで仕切っているらしい。彼女達も敷布団と薄い掛け布団の人組ずつしか持っていない。服もせいぜい押入れの上半分につっかい棒をを張ってそこに78着実にと3段のモスボックに入る程度の下着とバスタオル、タオル類くらいだ。

私なんてセーラー服が夏冬が一着ずつ、あとはTシャツ3着とホットパンツ3着しか持っていない、お義理程度にパンツは3枚持っているがほとんどはいたためしがない。上に着る下着に関しても同様で靴下さえ履いたことがない。ナッツから『まるでゾンビだね』とからかわれるがマジで汗もほとんどかいた試しがない。逆に冬にも寒さを感じたことがない。
唐突に花和ちゃんが口火を切った。
「ここにいる人間のほとんどは純粋な地球人はひとりもいないってことね」
そう、実は純粋に地球人と呼べるのはこの今、この家にいる中でもこの部屋の5人と私の弟である健太は全て異星人との混血、もしくは純粋な異星人だった。
つまり純粋な地球人は幸恵さんただひとりで聡さんもどこかの星からやってきた異星人か、またはその混血児だった。
母、詩織の住んでいた某国の住居の冷凍庫に聡さんの冷凍精液が保存されていたのは聡さんのDNAゲノムを解析するためだったと今では思っている。
「おい、花和ちゃんよ、オメーが当たり前のこと言い出したから春雨のやつがまた固まっちまったじゃないか」
ナッツがワンテンポ遅れてツッコミを入れてくれていた。
「この国の人たちってかなりの人間が純血の日本人だと信じている頭の悪い人が多すぎてうんざりします、それどころか実はこの地球上の1/3以上が異星人だというのに」
咲がいうと真希もそれに続けて言った。
「その中でも地球人に帰化してほとんどの人たちが能力を失っているみたいですけどね」
「それってやっぱり太陽系外からいらした方もいるというこ意味ですか?」
突然に幸恵さんの声がした。部屋のドアを開けて大きなお盆の上に6人分のコップに入った麦茶と駄菓子をいっぱい盛ったボールを両手で持っている。ふすまは閉めてあったはずなのにどうやって開けたんだろうか?
しかしその疑問はすぐに解けた。
幸恵さんがお盆を両手で持ったまま部屋の中に入ると後ろのふすまがゆっくりと閉じた。
「げっ、念動力者」
ナッツが小さく叫んだ。
「地球人にもまれにあたしのような変わり者も産まれるんですよ」
そう言ってお盆から両手を離すとそれはゆっくりと降りてゆきコップの中の無茶をこぼす事なく着地させた。
「多分花和ちゃんが言いたいのはそういうことじゃなくてこう言いたいのでしょ?ここにいるほぼ全員が借胎、貸し胎もしくは子宮移植による出産に関わっていると言いたいのでは?」
義母である幸恵さんがいうと『なるほど』と私は思っていた。
彼女自身私の母である詩織の胎を借りて健太を産んでもらっているし、私自身も本来は火星人と〇〇電気グループの理事長の間にできた娘だったがその火星人によって詩織の子宮を借り腹に産まされようとしていたが胎の中の私がメスだとわかった途端母体もろともサメの餌にしようとしたゲス野郎だ。
そして最近私の家族、妹となったふたり、まず花和ちゃんは真希さんが〇〇電気グループの子会社に転属して間もない頃に戸籍上の咲の父親であった男にドラッグレイプの被害に遭い孕まされた子だったがポニテ女亜希の策略によって人工堕胎したことにして一時預かりとした。もちろん実際に胎の中、子宮に収めて育ててて出産したのはボサボサ亜希の方だった。真希は本来なら花和の母親だったが彼女に関しては一旦身体を分解して受精卵に落とし込んでボサボサ亜希の胎の中で産み直すというめんどくさいことをしたらしい。
理由は単純で真希の退化した消化器器官では固形物の接種が難しく火星人だと疑われる可能性があるということだ。さて最後のひとりだが岡浜咲のことだ。
彼女の母親も火星人で理事長との間にできた子だったが産婦人科医を利用して、たまたま通院していた少女を『悪性子宮癌』と嘘をついて騙し子宮の全摘出手術を行い、実際にはその火星人への移植手術に利用していた。
「なんか私ひとりだけ悪者だね、後になって知ったことだけどその子宮を奪われた娘、真相を知って自殺したって聞いたし」
肩を震わせている。
「いままでたくさんのおとこのひとたちをくるわせてきちゃったし、そのくるわせたおとこたちのせいでたくさんのおんなのこをなかせてしまっていたし、そのなかにはせいてきぎゃくたいにたえきれなくなってじさつしたこもいたし」
「まずいことになったかも」とナッツが私の耳元で囁いた。
確かに咲を支配していた超妖魔は消し去った、そしてそれでもなおトランス状態が続いていた彼女の意識も木星の衛星レダの地上でなんとか覚醒できたとは思っていた。
しかし彼女自身が行ってきたことの記憶までは消すことは出来なかった。
私が彼女と最初に向き合ったあの日、職員室にいた数人の女性教師たちの怯えようは尋常ではなかった。
彼女たちもまた咲の身体で尋常じゃない快楽を覚えてしまっていた男性教師らによって暴行を加えられてきた。
咲がその静岡のとある原子力発電所のある町の私立中学に私、波瑠沙芽と夏野明美が他校から転校して来てからわずか3日しか経っていなかった。咲は私達より2日ほど先に転校して来たらしい
だが咲の中に取り憑いて彼女と契約をして彼女の身体を操っていた超妖魔はたちどころに男性教師たちを彼女の肉体の虜にしていた。
一度怯える咲を襲い、引き攣るような表情で狂ったように喘ぐ彼女をさらに陵辱する快感を覚えた彼らの中には職員室に居合わせていた数人の女性教師にも手を出していた教師もいたらしい。
もちろんその職員室は咲に取り憑いていた超妖魔の妖力によって閉じた空間になっていて彼女たちもまた咲にしたように陵辱されていた。ただ、咲がその部屋からいなくなるとその記憶を操作されてすっかり忘れてしまっていただけのことだ。
彼女達の胎内に残された男性教師が解き放った精液は超妖魔が回収済みだった。彼女達の記憶には大勢の男子教師に襲われた記憶は消されて激しい性器の痛み、そして感染症と恐怖心だけが残されていた。
もしかしたらたまたま居合わせた女子生徒も数人は被害に遭っているかもしれない。
ではその御前崎浜丘中学校に転校して来る前の中学や小学校ではどうだったのだろうか?
『私はそれまで転校を繰り返して来た中で56人の小学生教師と13人の中学生男性教師を狂わせて来ました、中には女子小学生や女子中学生に手を出した先生もいたようです』
今、咲の中に棲んでいる詩織が彼女の中の記憶を読み取って代弁した。実際にしゃべっているのは咲自身だ。
突然に幸恵さんは咲の元に駆け寄ってすぐ前向かい合わせに座ると彼女の両脇の下に両腕を差し込んで楽々と抱き上げると自分の膝の上で抱き寄せた。
「詩織、そこまで暴露させちゃうのは彼女に酷だよ」
まるで咲の中に詩織がいることを確信しているかのように幸恵さんは言った。
「いいんだ、私の罪をここで洗いざらい出し切らないとこの娘は次の一歩を踏み出せない」
「相変わらずだなぁ、詩織ちゃんは、今は沙芽よりもこの娘の方が心配なんだね」
幸恵さんは全てを見透かしたかのように言った。あの時母を失った私を養子に引き取ったのも単なる忘れ形見としてではなくて私の中に詩織がいることを知っていたからだろうか?
「エスカレーター式に転校して来た前の中学校では45人の男子上級生を誘惑しました、若くて自制心というモノを知らない彼らは私の肉体の虜になって私を毎日のように犯し続けました」
咲の中の冷静な詩織の台詞とは裏腹に咲自身は取り乱し、目から大粒の涙を流し続けていた。
「そんなある日祖父、理事長の命令で浜丘中学校にに転校することになりました、それは祖父、理事長のベッドの上で彼に貫かれながら聞かされました」
5歳の時の義父相手と違い本当の親娘関係での性行為だ。とても一流企業グループの理事長がやるような行為じゃない、しかしそれから咲の口を通して語られた最初に咲が通っていた中学校のとある女子中学生を襲った悲劇だった。
咲の身体で性行為の快楽を覚えてしまっていた男子生徒は嫌がり苦痛に歪む女子生徒を陵辱する快感を忘れられなくなっていた。そんな彼らは突然に咲という絶好の性欲を満たす対象を失っていた。
そこであろうことか下級生である女子生徒のひとりに目をつけてしまっていた。
「地球に帰って来てから知ったことですがその子は何度も性的ないじめを同級生男子を巻き込んで行われて身体中を触りまくられたり人に見せられない恥ずかしい写真を撮られて、いいえ自分で自慰行為をしていう現場を自撮りしろと脅されていたようです」
「もちろんそのことは後々記事にもなったがその当時、両親が何度か学校に相談しても『子供同士の無邪気なじゃれあいにすぎない』と言って取り合ってくれなかったらしい」
背後から聴き慣れた声が聞こえたと思ったらボサボサ亜希とポニテ亜希が並んで立っていた。
玄関から声をかけたんですが返事がなかったんで勝手にすみません、ここから声が聞こえたんで」
ボサボサは言ったが勝手に他人の家の中には言って委員会!と思った。
「あら、ごめんなさい、今お茶を出しますね」
幸恵さんがそう言ったのをボサボサは両手で制して言った。
「今はまだ巡回の勤務中なんで、それより咲ちゃんを抱き続けてやってください」
そう言えばこのボサボサは刑事だという設定をすっかり忘れていた、しかしフケまみれのボサボサ頭をした女子中学2年生が現役刑事ってどんなザル設定だよってツッコミたくなった。武蔵野のコロンボとでも名乗りたいのか?
『それもいいかもな』とボサボサ亜希の心の声、他人の心を勝手に読むな!
「いじめ、いいえ、今思えば犯罪ですがそれはさらにエスカレートしてゆきその自画撮り画像をネタにAV出演の契約書を書かされて多人数による輪姦本場生出し生録画作品を撮影されて裏AV配信業界に高値で売られ配信されたそうです、もちろん報酬は彼らの間で山分けでした」
「確かあの事件は同級生の男女合わせて45人による輪姦事件だと聞いていたけれど、まさかAVの不当契約出演がらみだったとはね」
ボサボサ頭は自分の髪の毛を爪を立てた指でかきむしった。やめろ!フケが飛び散る!
「その後彼女は人気のない川で睡眠導入剤を大量に飲み入水して翌日遺体で発見されたのは報道で皆さんがご存知の通りです」
幸恵さんが咲の背中を左手でポンポン叩きながら右手で強く抱きしめたが彼女の涙は止まらなかった。
「私の管轄外だから詳しい情報は知らないんだけどなぜ事件で暴かれた同級生達は指示した上級生の存在を明かさなかったんだろうか?」
それは私も不自然に思っていた、学校もなぜ隠すような真似をしたのか?不思議でならなかった。
「それはおそらく私が絡んでいるからだと思います、そしてあの子たちも上級生に脅されていたはずです、上級生たちは演技指導の名のもとに加害者女子と被害者をレイプしています、がもちろんそれもビデオに収録して後で脅すためと同級生の女子を巻き込むことによって学校や世間にいじめの発展だと思わせる為でしょう、でも理事長が最も遅れたのは事件の根本に私、咲が関わっていたことが発覚するのを恐れて様々な方向に圧力をかけたんだと思います」
「男性教師と男子生徒が挙動不審になったのは咲ちゃんの転入、及び入学がきっかけというわけか、しかも咲ちゃんが〇〇電気グループの理事長の養子の1人娘となるとまあスキャンダルものだよね」
さらにボサボサは頭髪をかきむしって言った。だからフケが飛び散るかやめろと何度も言っているでしょうが、心の中でだけど・・・
「でもどうしてでしょうね、彼らには良心の呵責はないのでしょうか?」
不思議そうに幸恵さんやボサボサとポニテは首を傾げている。
「恐らくは強力な洗脳、マインドコントロールがかけられているんだと思います」
咲の中の詩織が言うとナッツが反論をした。
「でもおかしくないかな?その頃は咲はその学校にはいなかったはず、まさか真田忠広か?でもその頃はもうボサボサに処分されていたはず」
「ボサボサ?もしかして私のことですか?私はそんなことしていないけど」
やっぱり自分の記憶の方を消去してしまっていたようだ。こんなのが殺人科の刑事?お子様向け変身ヒーローモノでもあり得ない設定だと思った。
「隠さなければいけない理由はいくつかあるけどまず上級生男子に残されたDNA遺伝子情報かと?」
「ちょっと詩織ママ、それはいくらなんでもトンデモ級のトッピングだよ。なんで出す方の上級生男子に咲の遺伝子情報が残されるわけ?」
私はさすがに焦って訂正を求めた。
「さっきの話忘れたんですか?実はこの星の1/3は異星人だと言うことを、そのさらに1/3は太陽系外の来訪者だと言うこと、この地球ではあまり知られていませんが男性が女性と激しいセックス、ようするにレイプを行う時に大量の精液を女性の胎内に解き放つ前に『この女は俺のものだ』と言う意味合いを込めて愛液や穴の中の粘液をわずかな量ではあるんですが陰茎の先から吸収するんです、それは前立腺の一部にごく少量ずつではあるんですが蓄えられるんですがその太陽系外の来訪者の技術力を持ってすれば前立腺の隅に溜まったその粘液を注射器やテレポーテーションなどで抜き取って調べればその男の女性遍歴なんてすぐにバレちゃいます」
いやいやそれは流石にハッタリでしょ?と思っていたらボサボサ亜希が「なるほど」とばかりに手を打っていた。
「それじゃ、あの警察トップに逮捕状を差し止められてなおも『ハニートラップだ』と騒がれているあの男も?」
私が恐る恐る尋ねるとボサボサ亜希は当たり前のように言った。
「うん、彼の前立腺からその溜め込まれた粘液を抜き取れば1発でそれまでの女性遍歴がバレちゃうね、でもそれやると『私は太陽系外から来た宇宙人です』なんてカミングアウトするようなものだけど、彼が度を越した開き直りをしたら匿名掲示板で女性経歴をイニシャルで全公開されちゃうかもね」
なんかボサボサ亜希さん嬉しそうなんですが?それより本筋と離れていませんか?
「それで可能性は地球人の特権階級の間で噂されてたんだけどそれを理事長の前でうっかり口にしてしてしまったのがこのポンコツ刑事のボサボサなんだよな」
ポニテ亜希がボサボサ亜希の後頭部を思いっきりどついた。
「だから今は真希だっけ?オメーが理事長や他の火星人クローンに目をつけられたのはこいつの二つ名である風間亜希、変装も余裕で出来るこいつはあいつらにとっては脅威だったんだよ、今更だけどごめんな、オメーが理事長に愛人契約を結ばれさせられかけたり愛知に飛ばされたり、同郷のあの男にドラッグレイプされたのもあいつ、理事長と養子のあいつの陰謀で亡き者にしようという思惑があったからなんだよ」
それを聞いて真希は妙に納得した顔になった。
「それであの理事長の前立腺からその中の粘液をこっそり抜き取って女性遍歴を調べてみたんだけど彼が最初にかかわった女性クローンは咲、あなたの母親ではなかった、しかも彼は咲の時と同様にその女性クローに対して子宮移植による出産をさせている、地球人少女の命と引き換えに超妖魔付きの女の子をね」
ボサボサ亜希は大きく深呼吸をして幸恵さんを見た。
「その女の子があなた、幸恵さんですよね?」
ボサボサ亜希は幸恵さんの顔をまっすぐに見ていった。
「そしてその時に犠牲になったのがナッツの母親、そして詩織さんを罠に嵌めたのも幸恵さん、間違い無いですよね?」
幸恵さんの顔が段々青ざめてゆくのが手に取るようにわかっていた。
「やあねえ私は一介の地球人よ、そんな大それた事が出来るわけないじゃない」
いやよく考えたら一介の地球人が透視とか念動力とかあり得るはずがなかった。
ボサボサ亜希は幸恵さんを見ないで続けた。
「理事長は別の女性クローンにも同じ頃に支給移植手術を施して子供をはらませて男の子を産ませて戸籍を与えた、それが波瑠聡さんだった」
ここいるほぼ全員が戦慄した。
理事長と火星人クローンの間に出来た超妖魔付きであり契約済みの幸恵さん、そして同年代の別の女性クローンと理事長の間に出来た男の子、波瑠聡さん、彼も超妖魔憑きであり契約済み、ふたりはもともと惹かれ合うように操作されていた?
すると二人の間に生まれた健太は一体?
「そうだよやっと気がついたようだね、おバカなナッツとさとみねえは気がついていなかったかもしれないけど僕はあの南九州での原発事故現場にいたんだよ、新鮮な放射線をたっぷりと味わためにね」
健太くんが言うとここにいる全員が身動き出来なくなっていた。
「いやぁ愚民どもの肌どころか中身まで焼きただれて死んでいくのを見るのは実に楽しかったよ、まさかあそこにさとみねえがいたのは驚きだったけどね」
「どうしてあたしまで・・・」
歯ぎしりをしながら幸恵さんは言った。
「おやおや、まだ気が付かないの?おじいさんの命令で君は用済みなんだよ、所詮は僕と言う超人と超弩級妖魔を産んでもらうための道具だったんだ、まさかあんたがあんなことになって子宮を失ってしまったのは大誤算だったけどね、詩織なんてバカが子宮を貸してくれるなんて思いもしなかったよ、おかげで君、一応幸恵かあさんと呼ばせてもらおうか?どのみち僕に中身を全部溶かされて美味しく頂かせてもらうんだけどね」
「邪魔だ」と言って健太は動けなくなった幸恵さんから咲の身体を引き剥がしてスカートを捲り上げるとあむけに押し倒して自分のジーンズ脱ぎおろすとパンツの中から小学生とは思えない立派なものを取り出していた。
そしていきなり白い幸恵さんのパンツをずらして差し込もうとしている。
私はもちろん誰ひとりとして身動きが取れなかった。
「みんな1ヶ所に集まってくれて嬉しいよ、ひとり残らず美味しく頂くからね」
そう言って幸恵さんの腰をわしづかみにすると健太くんの後頭部を金属バットが直撃した。犯人は咲の中の詩織だった。
「あのさぁ、私、健太くんの教育はちゃんとしてって言ったよね?」
確認するように言った声は詩織そのものだったが金属バットを右手に持っているのは咲以外の誰でもなかった。
驚いた表情をして咲を見上げている幸恵さんは両目から大量の涙を流して嗚咽していた。
「あたしの正体を知っていたの?」
「あたりまえじゃない」
「あたしがあなたに理事長のセフレバイトを知っていて紹介したのも?」
「うーんっさすがにあそこまでとは思わなかったけどさ」
幸恵さんの問いに咲の中の詩織は不機嫌そうに返した。
「そんなのあの事故の時からバレバレよ、太陽系外の生き物なめんなよ?」
「許してくれるの?」
「あのねぇ、許すとかそんなんじゃなくて私、今まであなたがどんなに辛い思いをして生きて来たか知っているから、それよりこの子はもう産み直すわけにはいかないしなあ」
(詩織)は自分の人差し指をくわえながら考えていた。
「それなら私に任せてくれませんか?」
ボサボサ亜希がゆっくりと立ち上がって言った。
「そういえばあなたも太陽系外の人だったね」
「まあひとりじゃ荷が重いから私も参加するよ」
そう言った途端に咲の中から詩織の気配は消えていた。
「いや、私一人で十分だし」
「そんなこと言わずに、ふたりのほうが楽しいよ」
「いや、どう考えてもあなた人に声かけまくるタイプでしょ、私そういうのうざいんで」
「そう?人を騙すのって楽しいよ?君も明日からやってみようよ」
それを見ていて咲は唖然としていた。
「ねえ、ボサボサ亜希さんの頭が変になっちゃったよ?」
そんなこと私のセーラー服の裾をつまんで聞かれても返事のしようがないよ。
「ねえ、幸恵、そんなことよりあの理事長のことを少しでいいから知っているだけでも教えてくれないかな」
ボサボサ亜希が詩織の声で言うと幸恵さんはやっと笑顔になって「うん!」と答えた。

ハルサメとナッツ 13 次は御前堕

終わり

14に続く

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