アダルト版カレンダーガール11 クソガキの反抗期3

アダルト版カレンダーガール11 クソガキの反抗期3
2024/04/23校正訂正
2025/04/23/pm18:00校正追記

#20才未満閲覧注意
#SFっぽく
#ハタチ未満はご遠慮ください
#ハルサメとナッツシリーズ
#過激な描写あります
#エログロ注意
#波瑠沙芽とナッツ
#小説

この話はストーリーの都合上過激な性描写や暴力描写、及びグロテスク、パクリな表現を多く含みます。
20才未満の方の閲覧はご遠慮ください。

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@大勢の拾い物の秘密

「なるほど、ボク達が見て感じていた世界は仮想空間の中での出来事だったんだな?」
ゆきりんは広々とした海の中を泳ぎながら同様に泳いでいるあたし、有希に言った。
上の方から暖かな日差しが差し込んでくる。
「あんまり動き回らないで」
口を尖らせて言う見た覚えのある幼女は年相応の大きさに見えた。
「みいんな揃って(そろって)スモールサイズでも結構な容積なんだから亜希に迷惑かけちゃダメよ」
偉そうにリナ、まあロリババアだから仕方がないと言えば仕方がない。
「それでボク達は今どこにいるんだい?」
ゆきりんがそう言った途端に海水に差し込んでくる光の向きが変わった。
「亜希が起き上がって外の風景を眺めているみたいだから彼女がみている車窓からの風景を投影するね」
リナがそう言うとこの海水を包んだ袋が消えて乗用車の後部席から窓の外を眺めている風景を映し出していた。
「綺麗な景色だねえ、あたしロケとかでいろんな場所に連れていってもらえたけれどこんな場所は初めてだよ」
背伸びをしてあたしは感動したように言った。
緑あふれる山の中を走り右手方向には清水をなみなみとと流している大きな河川、おや?水がほとんど流れていない?
「この川って干あがっちゃっているんじゃ」
ゆきりんはすぐ隣のリナにきいた。
まあ新聞とかテレビのニュースなんてほとんど観ないゆきりんよりはよく知っていそうだし。
「あっきれた、ニュースなんかでこの問題を取り上げるわけがないじゃない」
キッパリと言う彼女はやはり上から目線だった。
「でもこんなに水が少なかったら大問題なんじゃ?」
そう言ったゆきりんに対してリナはあくまでも冷静だった。
「この国のマスコミが政権とかに都合の悪いニュース報道しなくてもここの国民はだれも怒らないから!」
右手の中指を立てて言うリナにゆきりんは思わず吹き出し笑いをしてしまっていた。
「今の若い子達はネットでもあまり興味を持たないんだろうね?」
前の席、楓凛は忙しそうにシフト操作とペダル操作を繰り返しながらスムーズにステアリングも操作していた。
「あ、そうそう、実際に声に出して喋っているのは亜希だけど誰のセリフかなんてすぐにわかっちゃうから口調とか気にしないほうがいいよ」
さりげなく楓凛がフォローしてくれた。
「プロジェクトの娘達の間でも人気な理由わかるわぁ」
嬉しそうな有希の感嘆。
やはりプロジェクトメンバーでも楓凛に惚れちゃった娘達は多かった様だ。
「もうそろそろおおい川の待合場所だからね」
「うん、わかっている」
亜希がボク達と同じお腹の中にいるリナに話しかけてた。
「巨大な人工地震が近くありそうってことでしょ」
「正確な時間は特定出来ないけど今から数時間もないと思う」
これ全て他の人から見たらすべて亜希が喋って(しゃべって)いるセリフ、だからもしも聞いている人がいたら亜希は頭のヤバい人だと思ってしまうだろう。
「私たちはここに残って釣りをするけど、楓凛はどうする?」
亜希が楓凛に訊いているみたいだ。
「うーん、あたし的にはオッサンと釣りはきついかな?」
あたしはそう言うと見えない扉を開けて異世界にあるボク達の部屋につながるドアを開いた。
「あ、ずるい、1人だけ逃げる気か?」
「わーたよ、でも今日は散歩したい気分なの」
あたしはそう言うと亜希の胎の中で背伸びをした。
どうやらゆきりんは風間先輩の付き合いをする気になったようだ。
「ぜえったい釣れないよな」
あたしがカレンダーガールとして写真の中に写っている時と同じ白いワンピースで川辺近くの歩道のない細い車道を歩いていたら変な高齢者が声をかけてきた。

最初はごく普通の通行人か現地の人かって思っていたんだけれど。
「なあ、そのじいさん、いろいろやばくねえか?」
すぐにゆきりんは異常に気が付いたのかあたしに対して警告をして来た。
「確かに、あたしたちと同じ何かの人造生命体かも?」
何故かあたしはこれと似たような体験をしたような気がしていた。
しかしうまく思い出せなかった。
「確かに生きている人間のそれじゃないね、しかも後ろから亜希のスカートを捲り上げているし、怪しいわ」
亜希の中のリナはそう言うと眉をひそめてその高齢者を睨みつけていた。
「おやおやあ、まさか先住民がいたとは思いませんでしたよ」
急にその高齢者が僕達の目の目に出現して言った。
おいおい、ここは亜希の胎の中だぞ、なんでただの高齢者が入って来れるんだよ。

そう思った瞬間大地が激しく揺れ出した。

川辺の砂利が突然開いた裂け目に吸い込まれるようにして落ちてゆきゆきりんが住んでいる胎の主、亜希は風間とかいう刑事の首根っこを右手で掴んだまま周りの山々を見下ろせるほどの高さまでに飛び上がっていた。
「楓凛、起きて!状況やばい」
亜希が叫んだ瞬間には既にサニークーペの運転席シートを後ろに倒して寝転がっていたはずの楓凛は飛び起きてエンジンをスタートさせると同時にギヤをバックに入れると勢いよく後退させて左に舵を切るとファーストギヤに叩き込んでケツを大きくスピンさせながら全速で道に飛び出していた。
さっきまでいた場所の地面が突然開いた裂け目から吸い込まれるようにして土が引き込まれて行き周りの樹木を飲み込むように落とし込んでいる。
楓凛はギヤをセカンドに入れさらにアクセルを深く踏み込むと目の前に出来た幅メートル程の割れ目を前輪を高々と持ち上げながらジャンプして飛び越えた。
しかしその目前には山手からなだれ込んで来ている高さが3メートル以上はありそうな土石流が、流石にこれは飛び越せそうもない、土砂と一緒にサニークーペもろとも川辺に流される!
おそらくは車中の楓凛もそう覚悟していただろう、目を閉じて天を仰いでいた。
「諦める(あきらめる)の早過ぎ君」
亜希はそう言うとサニークーペのすぐ右に飛び降りその重たい車体を左肩と腕で持ち上げようとしていた。
「待って今度はあたしがやるグランマは達也さんに集中して」
あたしは言うとサニークーペのシャーシー下の空気をわずかばかりエネルギーに還すとサニークーペは跳ね上がるようにして山を飛び越えていた。
「お前ら考えられないくらいハイスペックだな」
車中で呆れている楓凛に亜希グランマは呟いた(つぶやいた)。
「誰かさんみたいにみかけだけの筋肉バカじゃないのでね」
『ですねえ、でも羊水の中にいるボクとリナの事も少しは考えてくださいよ』
亜希の腹の中からゆきりんの心の声が伝わって来た。彼女もあたしと同類のフルサイボーグ秋草加世の人造生命体だった。
あたしたちはこれと同じような体験を少なくとも一度はしていた。
前回との違いはあたしたちふたりの中に樋口由紀恵と樋口裕貴が存在しないことになっているはずだ。
したがってあの世界に存在していた『砂の惑星』をパクったようなミミズメカは存在しないはずだし南海トラフ地震も富士山と箱根山のカルデラ噴火も浜岡原子力発電所の原子炉が次々と臨界爆発をして静岡んを中心に半径300キロメートル以上の放射線物質が大量に飛び散ることなど起きないと思っていた。

さっきからシェイクされっぱなしで激しく船酔いして気分悪くて吐きそうなんですが。
亜希の中ではゆきりんが猛烈に抗議をしていた。
「瑣末(さまつ)なことね、それよりも近くで死にそうな奴らがいるんだけど」
亜希が指差した先を見ると大きく土砂崩れをした跡を見つけた。
その地割れなどで寸断された県道に降り立つとあたしたちの目の前には大きな落石を含んだ土石流にぺっしゃんこにされたフォードマスタングが目の前にあった。
【確か前のループじゃシボレーカマロだったよな】
ゆきりんから最重要機密の鍵がついたメッセージが届いて来た。通常のテレパシーとは違い特定した相手にしか伝わらない思念派だった。
もしかしたら次はグッとランク落ちしてサターンかもしれない。
「中の人、助かっていると思う?」
リナがゆきりんの隣でつぶやいた。
「絶対死んでいるだろ、熊の餌だよ」
とは、楓凛の言葉。
いやいや、あなただって亜希ねえがいなかったら同様に熊の餌だし。
そう言ったあたしは何故かその名前のあとに『ねえ』をつける呼び方を懐かしく感じていた。
「いやぁ、驚いたね、後部席の足元に落ち込んでいる女の子はともかく運転席の大男は多分ダメだよ」
珍しく亜希も同意したかのように言った。
「あのぉ、後ろの席の女の子よりも運転席の大男はピンピンしていますよ」
ゆきりんは恐る恐る言った。
今にも天井を突き破って『ワタシまだイキってまーす!』
などと大声で叫び出しそうな気がした
「ま、その大男はともかくその後部席の女の子だけでも助けないとね」
亜希はそう言うと楓凛と協力して土石流の山の中から引き出した。
「どうやって2人を助け出す?」
楓凛の言葉に対して亜希が返した言葉は至ってシンプルだった。「ルーフを引っぺがす」
真面目に生きていくのが嫌になるセリフだった。
「待ってそれはあたしがやるから。
ルーフピラーなどを少しずつエネルギーに返しながらそのエネルギーを外側に向けて放出すると言う細心の注意が必要だった。
「それはボクに任せて」
ゆきりんがいってきた、しかしすぐに言い直した。
「ここは加世にまかせて」
ゆきりんも加世ねえだった頃の記憶を思い出しつつあったようだ。

「こいつターミネーターか何かか?」
救出した2人を安全な場所に移動させてから筋肉隆々の大男の方を眺めながら楓凛は言った。
【私たちと同じ人造生命体かも】
どこからともなくそんな声が聞こえた気がした。
確かにマスタングのルーフが完璧なまでに潰れて(つぶれて)そこらじゅうの骨がボキボキ折れて外に飛び出してあちこちから大量に出血していてもおかしくないはずなのにどこにもそんな様子は見られなかった。
「しっかし今時革ジャンに赤いペイントがところどころ入ったボロボロジーンズっていつの時代のロックミュージシャンですか?」
リナが笑いながら言っていたけれどゆきりんにとって一昔前のロックミュージシャンって女ウケしそうな(きらびやかな)衣装を身にまとい華奢(きゃしゃ)な体つきでマイクを舐め(なめ)回すようにして歌うイメージしかない様子だった。
「それはゆきりんの偏見(へんけん)!」
すかさずあたしがツッコミを入れた。
「これこそがあたしのギタリストの理想」
「へ?」
熱く語り始めたあたしにゆきりんは思わず素っ頓狂(すっとんきょう)な声で返していた。
「低くてハスキーな濁声(だみごえ)、にもかかわらずその無骨な指が奏でる音はあまりにも甘味で繊細(せんさい)でメロディアス」
「はいはーい、ボクと同じ体から生まれたはずなのにどうして性格も好みも全然違うのだろうか?」
それは酷い言いがかりだな、あんたはかよねえ、それにしても前回のループではゆきりんと樋口裕貴はどうしてあそこまで見事にシンクロしていたのだろうか?
「それよりなんですけど、亜希さん、楓凛さん、女の子の方はどうなんですか?」
ゆきりんは思わず亜希の口を借りて訊いてしまった。
同年代よりも幼く感じただけにちょっと気になったのかもしれない。
「外傷もかなり酷い、だけど、これはかなりその傷を受けてから時間が過ぎていて・・・・・」
言いかけた言葉を飲み込んでからしばらく沈黙をして小声でボソリと言った。
「その、女の子としての内面が、心じゃなくって下のあそこの内面がボロボロになるまで荒らされていて」
そこまで言うと亜希はすぐ隣(となり)で気絶をしてのびている風間刑事をチラリと見ると続けた。
「ちょっとの間だけ私が彼女にすることから目を逸らして見ないように、いえ、絶対に見ちゃダメよ!」
そうキッパリといった。
【これじゃぁ人造生命体の製造が追いつかないんだぉ】
またしても誰かの声が頭の中に鳴り響いていた。
しかしその声は亜希にも楓凛にも聞こえていないようだった。
【私たちに出来る事はこの娘の身体を亜希とリンクさせてこの娘の本体を探し出すことよ】
【加世ねえ、それは任せたんだぉ】
【大丈夫、花奈のスペックは『地神』が開発したそれを改造したものだからこの星の住人どころかほとんどの生物のバックアップ人造生命体を造れるわ、今は志乃さんの才能を信用しましょう】
【あたしたちが与えられた使命は変えられなかった時間線での破滅の防止】

「じゃあ加世ねえ、じゃないゆきりんは次々と入って来る避難民の整理を頼むんだぉ、じゃない頼みます」
あぶないあぶない、オリジナルの変な口調が漏れてしまいそうになった。
しかしコレでは避難民の整理が全く追いつかないのが現状だ。
もう5000人を楽々超える人造生命体たちとなると本体のフルサイボーグ夏乃花奈とフルサイボーグ秋草加世も制御し切れない状態だ。せめて人造生命体じゃない誰か応援がもっと欲しいと思ったのも事実だ。
一応それぞれ16人ずつの人造生命体が花奈の人造生命体として働いてくれているが、彼女たちだって地震の被災者だ。
最初の内は150~160人の見知らぬ人たちが寄り合い場所として入って来たのだが問題なのは全員が素っ裸という状態だった。
3人しかいなかった頃、あたしたちが亜希の胎の中で生息中は3人とも女の子だったということもあり全員が全裸という状態でも何ら問題はなかったのだけれど亜希と風間刑事が川辺で釣りをしている時に高齢者の男性が入り込んでからというもののさらに女性たちを中心とした避難民が増えて色々と厄介なことになり始めていた。
失礼なことにジロジロと全裸のあたしたちや女性たち、とくにまだウブそうな少女たちを凝視していた。
「あ、あのー、おじいさんはどうしてここにいるんでしょうか?」
避難所を取り仕切っている人造生命体ゆきりんは恐る恐るきいてみた。
彼はしばらく考え込んでから言った。
「んー、よく覚えておらんがやっぱり女子中学生の裸は良いものじゃなぁ」
などとどうでも良いことを抜かし始めていた。
「いやそんなことじゃなくってさ、何でおじいさんはここにいるわけ?」
イライラし始めていた人造生命体のひとりが興奮気味に怒鳴った。
「こらこら、細かいことでウダウダいうのものじゃないぞ」
どう見ても5~6歳の幼女リナが割って入ってきた。
彼女は見た目こそは幼いが実年齢は数千年は人の精神に寄生して生きてきた妖怪だ。
んー、まあこいつもフルサイボーグ秋草加世の分身のひとりな訳だが異世界で『G』とかいう実験体少女のひとりが投げた拳大の鉄球で心臓をぶち抜かれてお亡くなりになられているはずなのだが『G』は何を血迷ったのか自分の胎、異次元子宮の中に人造生命体を造って彼女の精神と記憶を封じ込めてしまっていた。
その『G』自体もフルサイボーグ夏乃花奈の人造生命体の内の一体なのだが彼女だけは生い立ちというか誕生理由が他の人造生命体とは異なるので後々説明したいと思う。
そんな『G』が惨殺して人造生命体を与えられた異世界のリナだったがやはり容姿はあちらの世界で『G』に惨殺される直前と同じ姿だった。
本来なら人ならぬ外来種であるがゆえに人造生命体には寄生出来ないはずだったがある事情もあってすんなりと中に入ることが出来たようだ。
それが亜希の『拾い癖(くせ)』の原因にもなっているようだったがこっちの説明もまた後ほどにしたい。

しかし問題はどう見ても下腹部というか股間にまだ毛が生えていないピンク色のわれめさんをむき出しにしている素っ裸の幼女にしか見えないことだった。
しかし人生経験が数千年と長い彼女は男性に見られることに対して何の抵抗もないように思えた。
「ほれ、私の美しい姿に見とれるが良い」
そんなことを堂々というリナはどう見てもあたおかな幼女にしか見えない。
「あーわしはガキンチョには興味ないのでな、しかし膨らみ尽くしていない少女の胸と奥ゆかしいサラサラのうぶ毛で覆われた乙女らしい恥丘とわれめさんは良いもんじゃな、わしも若返った気がするわい」
「ちょっと他人の裸をジロジロ見つめないでよ」
両手で胸と股間を隠し背中を向けながらボランティア少女のひとりが老人に対して抗議するように言った。
彼女たちはゆきりんよりは気持ち背が高く大人びている、ストレートなキューティクルがキラキラの黒髪を腰まで伸ばした美少女だ。中にはそれぞれが自分たちの判断か識別のために髪の色や長さを変えたり顔を変えたりしているが彼女たちは自分たちの生前の記憶と命を落とした時の状況をよく覚えているように見えた。
プロポーションだって出るべきところはきちんと出ていておへそも縦長に形よく整っていて同性でありかつ同一人物であるはずのあたしでさえ思わず触りまくりたくなる魅力と誘惑を感じている。
【そう、それがあたしたちが他人の精神と記憶を封じ込められる人造生命体である証(あかし)】
「いやぁ、乙女の背中もなかなか良いもんじゃなぁ、なんかこう生き返るような心地よさじゃ」
逃げ惑う一般被害者の悲鳴が聞こえないのかボランティア少女人造生命体の話を全然聞いていなかった。
「あのねぇ、おじいさん、あなたが何故ボク達の部屋にいるのか聞いているんだけど」
ゆきりんが両手で胸と股間を隠しながら少し背中を向け気味にきいていた。
ゆきりんといえば男の子のようなやや縮れ(ちぢれ)髪のショートカットで胸も腰も貧弱な生前は中学3年生の乙女だった。
「あーそうじゃったな、わしは久々に孫に会いにな、愛知県の名古屋周辺にある小田井という町に行くために品川を6時ちょうど発の中央新幹線タキオン1号に乗っておってな」
そこから先が思い出せないのかおじいさんは再び黙り込んでしまった。
それでも視線を女性たちの裸体から外さないのはさすがとしか言いようがない。
もしもあたしたちが住む世界が商業メディアで映像化されようなら立ち所にアウトだろう。
まあその可能性は1ピコも無いからノープロブレムと言えたが・・・。
「おお、そうじゃった、甲府の駅を通過した後で『南アルプストンネルに入ります』とかいうアナウンスが入った瞬間列車が激しく揺れたかと思ったら何かに衝突したのかわしは、わしの身体は自分が座っていた座席と前席の背もたれのお弁当をのせるために開いたトレイの間に挟まれて大量の血を吐いて逝き果てたんじゃ、シートベルトなんてものをしめておったが意味なかったのぉ」
【本当の死因は上の荷物入れから落ちて来た、重いトランクケースを頭に直撃されて即死だったんだぉ】
【まああそこで馬鹿奈がトンネル内をすべてエネルギーに還さなかったのはほめてあげるわ】
どうやらその近くにフルサイボーグ夏乃花奈の人造生命体、つまりNo.1花奈が存在したらしいが本体にほめられたのがよっぽど嬉しかったのか表情が『ニマニマ』していたのでそいつが誰なのかバレバレだった。
【うん、まだこの敵本陣の世界では『地神』たちにあたしたちの存在を悟られたらまずいものね、ところであたしの人造生命体とあたしが加世ねえに似せて造った人造生命体はどうしている?】
【昨日は『地神』のお札で封印された木箱に閉じ込められていた、私に偽装させたあんたの人造生命体が輪姦されていた女の子を逃して首の太い血管を2本とも切断されて大量出血させた、花奈も同様にやられて、木箱から流出した血液を媒体にしてって、あなたそれって火星の時に自分の生血を使ったやり方じゃない】
【バレないんだぉ、『地神』を名乗っても所詮はケトルじいさんなんだぉ】

「ところでわしをここに導いてくれた椎奈さんとやらの分身は見なかったかのぉ」
おじいさんはそう言いながら遠くを見つめて悲しげな表情をしていた、が彼の両手はゆきりんとボランティア少女人造生命体の乳房をしっかりと揉みしだいていた。
ゆきりんは思わずメチャメチャ感じてしまったのか大きな喘ぎ声を出してしまった。
「ちょっと、私は昔の狭い車の中に強引に5人も押し込んで中学生くらいの女の子を治療していて忙しいんだから変な声出して中出し刑事を刺激しないで?」
大家さん、じゃない、いまボク達がいる胎の主である亜希が思わず叫んでいた。
「ヒョヒョウ女子中学生じゃとわしにも見せておくれ」
おじいさん、いや、クソジジイがそう叫ぶと胎を包んだ膜が透明になり自家用車の車内を亜希の胎内からの視線で見渡せるようになった。
「ウッヒョー最高の美少女じゃのおぉ」
最初の内は興奮して騒いでいたクソジジイだったが衣服がそこらじゅうビリビリに破れて出血をして苦しんでいる彼女の姿を見ているうちに黙り込んでしまった。
「彼女もさっきの地震の被害者かのぉ」
その一言で取り敢えずゆきりんは彼のことをクソジジイ呼ばわりすることはやめることにしたようだ。
「あおじいさん、自分だけが悲運の主人公だなんて思うなよね」
ゆきりんがそう言うとおじいさんはそんなセリフを無視して唐突に自分語りを始めた。
「それにしてもサニークーペ 1200GXとは懐かしいのお」
『前言撤回やっぱりクソジジイでいいや』
とゆきりんの思考。
「どう?なかなかの保存具合でしょ」
唐突にリナが割って入ってきてこちらも自分語りを始めそうな雰囲気だった。
しかしこのサニークーペはこちらの世界のリナの母親、愛理の所有物だった筈。
今自分語りをしているのはさっきまで憲法改正の話をしていたリナは異世界の一度死んだはずのリナ。
【そして彼女の心臓を拳大の鉄球でつらぬいて殺したのもあたしの人造生命体『G』彼女はもう既に死んでいたんだぉ〜】

向こうの世界でのリナ、つまりこの亜希の胎の海にいるリナはこの車のことなんて何も知らない筈だった。
しかし、実際に彼女はこちらの世界のリナに関してもよく知っているように感じる。
「しかもクロスレシオ5速ミッションとは」
「ほほう爺さん、なかなかに知っているわね、当時トヨタのカローラとスプリンターとかは軟派な4速プラスOD(オーバードライブ)、しかーしサニー1200GX 5は硬派な新設計のクロスレシオ、5速がダイレクトドライブ、直結だったのよ、でもそれだけじゃない」
リナは人差し指を立てながら『チッ、チッ』と自慢げに語り始めた。
「レーシング用のさらにクロスレシオな6速ミッションに載せ替えたのよ」
「おおー!見かけは幼女なただの痴女だとばかり思っていたがお主なかなかやるな」
爺さんが変な意味で興奮をし始めていた。
「驚くのはまだ早いぞ、エンジンもボアアプして1400ccに排気量アップ、クランクシャフトからヘッドも交換してカムはもちろんのことロッドシャフトも交換、さらに四連ウエーバーキャブレターで最大出力はエンジン出力はグロス値でありながら160馬力」
えっへん、と自慢げにリナは言うけれどボク達にはそれのどこがすごいのか理解できない、楓凛いわく、一応10000回転以上は回るらしいんだけれど4000回転以下はほとんどトルクが出ないピーキーなエンジンらしい。
とにかくジイさんの興味がゆきりんたちの裸体からそっちに移り始めていたのはありがたかったけれど僕たちの周り、つまりは亜希の胎内が異様にざわつき始めていたことに由紀と有希はやっと気がつき始めていた。
「ねぇ、いつからこんなにも人が増えちゃったの?」
なんか怯えるようにボランティア少女のひとりが言った。
想像してほしい、異空間とは言っても臨時でこしらえた亜希の胎内の海の中数えきれないほど泳いでいる老若男女の裸体の群れ、ど、どうしてこうなった?
どうもこうもない、みんなフルサイボーグ夏乃花奈とフルサイボーグ秋草加世に人造生命体を提供された今回の南海トラフ大震災にあった被災者たちだ。
「あーうるさい、そう言うことは楓凛か亜希本人に聞いてくれ」
不機嫌そうな風間先輩とやらの声、もはや外の様子は裸体の群れに視界を遮られて見ることが出来ない。
「わるいけど皆んな静かにしてもらえる?こっちは死に掛けてる女の子の手当てで手一杯だからさ」
それはわかる、わかるんだけど被災者たちのプライバシーとかを何とかしてよ」
「え~?でもこれって日本の標準的な避難所基準だよ?ござ寝上等、敷居がないことなんてザラなんだから」
と非情な亜希の返事
「あたし達だって全員素っ裸じゃ互いに気まずいよ」
ボランティア由紀に続いてボランティア女子の真っ当な意見
彼女たちはさっきの巨大地震に襲われる直前まではごく普通の女の子たちだったんだ。
さすがに事態のヤバさに気がついたのかさしもの亜希もしばらく黙り込んでいた。そして・・・・・
ボク達にやっとパジャマらしきものが子宮、じゃない支給された。
しかし無地の水色とショッキングピンクの長袖被りの上と長ズボンの何の工夫もない本当に普通の室内着だった。
しかし、マジでうさぎとかパンダとかネコなんかの着ぐるみだったらどうしようかと思った。
「あんたらも中央新幹線に乗っていたんかねぇ」
不意に中年の女性に声をかけられた。
「いえ、ボク達は昨日の交通事故で」
本当は事故なんかじゃなくて事故に見せかけた殺人だったのだが彼女を不安にさせてはいけないと思いゆきりんは思わずウソをついてしまった。
それよりも・・・。
「おねえさん、いったい中央新幹線で何があったのですか?」
もしかして本当は若いけれど見かけが老け顔なだけの場合も考慮してあえておねえさんと言ってみた。
「何やら激しく揺れてねシートベルトをしていなかったら他の人と同様に座席から吹っ飛ばされていたよ」
その揺れは多分さっきのかなり激しく揺れた地震だろう、でもそれなら彼女はまだ生きている筈、それが今ここにいるということはその後何かがあって命を落としたことになる。
「そう言えば5時間ほど前の大地震で品川発のタキオンがトンネル内に閉じ込められたらしいな」
車を止めて一旦エンジンを切った楓凛がボソリと言った。
「何故車を停める?」
風間先輩の問いに楓凛が即答した。
「あれが見えないの?町や村が火の海だよ?」

「しかし妙だな、リニアは絶対に脱線しない、トンネルも崩れる心配はないと言う話だったが」
風間刑事は疑問を呈した。
「確かに脱線はしていないよな、コイルを敷き詰めたコンクリートの壁面が壊れなければ軌道から飛び出す心配はほとんどないし、事実マスコミの発表でも脱線はしていないと言っていたし」
「そんなの詭弁だよ、事実列車はあっちこっちに激しくぶつかってシートベルトをしていなかった人たちはほとんどがその時に死んでいた」
おえねえさんが声を荒げて叫んだ。
一方亜希の胎の外で楓凛は呟いていた。
「さっきネットで動画が配信されたけれどよ、たしかにトンネル自体は崩れていなかったように見える、でもトンネル出口上からの大規模な土砂崩れには対応出来なかったみたいだね」
だとすれば生き残った人たちは何とか避難用の通路を通って非常脱出口から逃げられたはず、もうそろそろ助かった人たちのニュースが流れてもおかしくはない頃だが?
「いや、少し落ち着こうよ、このトンネル内画像のタイムスタンプを、今日の午前6時ちょうどになっているよ?」
「そうだよ、思い出した、添乗員の案内で外に脱出しようとした時、後ろの方から熱くて黒くてデカい何かが私のすぐ横をすごい速さで駆け抜けていって添乗員や乗客を座席もろとも吹っ飛ばしていっただ」
そう言うとおねえさんは恐怖を思い出したのか激しく震え始めた。
「その直後私も爆風に吹っ飛ばされて灼熱の炎で焼き尽くされたのよ」
それを聞いてあたしとゆきりんは顔を見合わせた。
あの仮想世界の中で思い当たる節があった。
大手芸能事務所の社長がボク達に使ったそれ。
あのアニメの美少女ヒロインが撃ち放つそれとは違い機械的に強力な電磁力で金属弾を超高速で打ち出すだけの大量殺戮兵器。
「レールガン」
ゆきりんは亜希の口を借りて言った。
だとするとこれ程までに亜希の胎の中が人でごった返している理由が説明できた。
「いいえその程度じゃ済まないわよさっき楓凛が言っていた目前の大火、数万人単位でこの胎の中に入って来るかも」
リナは言うがどうしてここまで大火に発展したのか理由を掴めなかった。
「大井川の水流の大幅減少、地下水の枯渇、火災の火を消し止めたくても水がなければなんともならないのよ」
それを根拠にリナはそう予想を立てたけれどそれはそれだけ多くの人たちが命を落とすことを意味するわけで。
「ちょっと冗談じゃないわよ、そんなにもいっぱい私の腹の中に入ってこられたら、いくら一人一人に小さく収まってもらったとしても」
亜希はそこで困惑した表情でしばらく黙り込んだ。
「どうなるんだ?」
と楓凛。
「私のお腹は臨月寸前よぉ!」
亜希の叫び声がボク達のいる羊水全体に響き渡った。

【大丈夫だぉ〜、みんな異空間の子宮に避難させているから】
【ただしそれなりに亜希のお腹が膨れ上がってくれないと『地神』に怪しまれるからね、特に亜希が私と花奈の娘だと言うことだけは悟られちゃいけない】

     ーーーーーーーーーーーーー

「何とか命だけは取り留めたみたい」
亜希はそういうと少女の身体を抱き寄せた、いやそんなことしなくてもサニークーペ1200GXの後部席は狭くてギュウギュウだった。
もっとも1970年代の車じゃ贅沢は言えないかもしれないけれど。
「よくもまあこんな骨董品が残っていたものだな」
一応亜希の中の一部分、風間志乃の父親である、風間達也が呆れたように言った。
2030年も近いというのに60年近く昔の車をリストアして乗っているなんてよっぽどの好きものじゃないと出来ない事じやないかな?
「言っておくけれど俺はこの車を運転しているだけで所有者は前田愛理と言う衆議院議員だよ」
目前に広がる数キロ先の大火災を見ながら言う楓凛は見た目が筋肉隆々のマッチョでありながらグラマスな女性だが実はカメラマンでありあたしとゆきりんの友人かつ仲間だ。
「あのおばさんにそんなスキルがあったとはね」
しかしその前田愛理はとある事件に巻き込まれて行方不明となっている。
とある事件と言ってもその事件の概要さえ明らかになっていないらしい。
内閣調査室に拉致されたとの噂もある。
あたしが飛ばしている【鷹の目】にも引っかからないところを見ると意外な場所にいるのかもしれない。
そしてその娘のリナは名古屋市のどこかにいるという話だ。
政府与党第1党の女子高校生衆議院議員である倶名尚愛は名古屋駅を降りて新幹線のこだまを使い、そろそろこっちに向かって来ているはずだったが、
今朝、乗車しているはずの始発名古屋行きタキオン1号が30分以上遅れて品川駅を出発しているらしいから、南アルプストンネル内で先ほどの大地震に巻き込まれて連絡が取れなくなっている可能性が高い。
一方彼女とは別の政党の女子高校生衆議院議員である山﨑秋子は東京付近のどこかにいるということだがここ数日全く連絡が取れていない。 
さて、サニークーペ後部座席右側に座っている葉類亜希といえば母親でもある葉類知恵警部の命令でおおい川に来て川を流れる水の量が相変わらず減少しまくっているから調べて来いとの事だったが風間先輩は趣味のヒッチハイクで可愛い女の子をナンパしながら来るとか言ってはいたが彼がそんなにモテるはずもなく結局はタクシーで現地まで来て私と待ち合わせすることにしたらしい。
あたしといえばちょっと気になることがあったので炎に包まれた街の中を歩き救助活動を始めていた。

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@亜希とあたしたち(花奈と加世)の関係

出発前の日深夜、亜希はいつものように酒とタバコは二十歳からと言う法律を無視して、住んでいるアパートの2階自分の部屋の前のベランダでそれらを同時に嗜んでいた。
そんな彼女のすぐ前を2体の霊体、実際には少し違うけれどその2人の少女が通り過ぎようとしていたのだけれど思わず亜希の胎の中に取り込んでしまったというわけだ。
犯人は言うまでもなく『G』だったがおかげでフルサイボーグ夏乃花奈とフルサイボーグ秋草加世は急遽それぞれ彼女たちの為に人造生命体を用意せざるをえなくなっちゃた、と言うわけだ。

元々は亜希の胎、つまり仮想子宮の中にはリナという成長しない胎芽が住んでいたのだが彼女は眠ったままでいたはずだった。
これは実は亜希自身も記憶を失っていることだったが彼女自身でもあるフルサイボーグ夏乃花奈の人造生命体『G』が勝手に異世界での『リナ』を吸収してしまったが為にフルサイボーグ夏乃花奈がリナ専用の人造生命体を用意せざるを得なくなってしまっていた。

しかしその晩、亜希がうっかり取り込んで取り込んしまった2体の少女の霊体は亜希の仮想子宮の中で胎芽として人造生命体として成長を急速に始めていた。
いつもなら亜希の精神と一体化して実体化はしない筈なのだが亜希が『G』として別の時間の流れの世界で殺害してしまった少女、リナのようにこの世に未練を強く残した霊体は生き返りたいと強く願う願望がそうさせるのか、彼女たちのように胎芽となって人造生命体化してしまうようだ。
ただ、リナと違うのはその2人はそのまま成長を始めて8ヶ月相当の2体の胎児になってしまった。
だけれど胎嚢(たいのう、赤ちゃんを羊水とともに包む袋)の中でリナの育たない胎芽と共存しながら2人はどんどんすごい速さで成長をしてしまった結果、楓凛が迎えに来る頃には亜希のお腹は出産間近の大きさになってしまっていた。
さすがに動くのもしんどくなって『成長してもいいからこれ以上大きくならないで』と願ったらサイズ的にはむしろ小さくなりながら出産直後の赤ちゃんみたいに成長して再最終的には体長14mmの女子中学生の体型にまで育っていた。
最初のうちは2人で夢を共有していたようだった。
どうやら過去の実体験を含めた実際には体験していないことまで含めて夢として仮想体験していたのかもしれない。
そしてその夢の中には彼女達、いや正確には由紀と有希は同一人物だったのだが彼女たちの死がある悲惨で凶悪な事件に巻き込まれた結果だったということがわかって来た。
けれどそれに刺激されたのかリナも意識を取り戻してその夢の中に入り込み彼女の胎芽も2人と同様小さなサイズのまま4〜5才の女の子に成長していた。
しかし一番困ったのはどうやら亜希自身や楓凛もその夢に強制参加させられている気がしていたことだ。
それは仕方がない事だ、亜希自身『G』があたしと加世ねえの娘であり、同時に人造生命体だからだ。
楓凛も車を運転している最中に何度か激しい睡魔に襲われて幻覚を見たと言っていた。
それからここで合流して風間先輩と釣りなんかやらされていたんだけれどその最中今度はおじいさんの御霊体を通り混んでしまいめんどくさいことに私のお腹の中でセクハラ行為をおこなってくれたから困ってしまった。
しかしどうやらそのおじいさんは今日の始発の名古屋行きタキオン1号の乗っていた乗客のようでやはり成仏できずに彷徨っていた、ってかんじ?
だがその時はまだ地震も列車事故も発生しておらず彼は時間を遡って来て私に何らかの警鐘を鳴らしに来ていたのかもしれない。
彼もまた3人と同様一つの羊膜の中で彼女達の夢の中に参加していたということだろう。
そのあと次々とタキオンに乗車していた人達も私の胎の中の胎嚢(たいのう)に入り込んできた。
どうやら列車に乗車していた乗客は殆どが命を落としていたらしくて私の中に入り込んできてわずかの時間で小さいサイズのまま死んだ直後の年齢まで育っていた。
そこで問題なのは全員が生まれたままの状態、つまりは素っ裸だったことか?
当然、由紀や有希を始め大勢の女性からの抗議を受ける事になってしまってシンプルなピンクとブルーの室内着、つまりパジャマを支給いてやることにしたんだけれど。
許して欲しい、これはあくまでもこれは彼らが夢の中で見ている世界の中での話で、実際の亜希の胎の胎嚢の中ではポン!つまりは素っ裸(まっぱ)のままなのですよ。
まあ知らぬが仏ですけどね?
彼らの思考は亜希の意識に意作用して、亜希の口を通してすぐそばの人たちにまる聞こえになってしまうので穏便に済ませたかった。
その後、地震の直後に土石流に潰されたデカい外車の中から2人の男女を助け出したがその場に放置しておくわけにはゆかず、このクソ狭いサニークーペに同乗させることになった。
1人は楓凛曰く、たまーにアイドルのバックでテレビに派手派手しくギターを弾くミュージシャンらしくてこちらは全然死にそうもないくらいで怪我も少なかったけれど問題は後部席の少女の方で、最初はこちらも無傷に見えたけれどガラスの破片などでかなり深い傷をそこらじゅうに負っていて出血も多いことがわかって来た。
「もう私の近くで人が死ぬのはゴメンだわ」
センチメンタルに呟く亜希を見てクソ風間先輩は大声で笑い出した。
「そりゃ臨月寸前の胎をした女が言うセリフかよ」
こんな狭いギュウギュウづめの車の中でなければ亜希の身体を操り、思いっきりぶん殴ってやりたいところだ。
まず亜希のお腹の中がどんな状態か考えてほしいものだ。
たったひとつしかない羊膜を満たしている羊水の中を超微粒サイズとはいえ数万人の老若男女の裸体が泳いでいる、全員が男が水色、女はピンクのパジャマを着ていると思い込んでいるからいいようなもののもし全員全裸だと気づかれたら大パニックだ。
その中の3人、リナと由紀と有希はもはや身内なのだけど他の大半、数万人は赤の他人だ。
理由は彼ら彼女たちに関しては加世ねえは人造生命体だけ用意して加世ねえ自身はほとんど関与していなかった。
わかって来た事実と照らし合わせた内訳は。
まず最初の二十数人は中央新幹線タキオンが地震によりトンネル内で起こした意図的な事故によるもの、シートベルトを着用していなかったり、していても運悪く上から落ちて来た重い荷物が頭に当たったり、たまたま開いていた食事用トレイに挟まれて腹部や胸部を圧迫した人たちだった。
しかし信じられないのが残りの100人以上、これは事故とは何ら関係のない故意の殺人、いやテロ攻撃によるものだった。
これは由紀があるご夫人や何人かの犠牲者に聞いた証言によりたどり着いた結論だけれどどうやら直線区間のトンネル軌道内で車両の遥か後方から何か巨大な砲弾らしきものが打ち込まれたらしい。
それによりタキオンの後ろから6両目あたりまで車両の中は熱く熱せられた高速弾丸でくり抜かれて車内は一瞬にして灼熱の焔で焼き尽くされて命を落としたようだ。
そして今彼らの魂は加世ねえによって極小の裸体、人造生命体を手に入れて亜希の胎の中の羊膜に包まれた羊水の中を全裸で泳いでいる。
もちろん彼らにはパジャマを着ていると認識してもらっていることにはなっているが?
そして大地震の後何とか通れそうな河川のほとんど水が干上がった河原の上を走り両側に広がる炎の海を黙って見ていた。
「うーんのこれは」、人造生命体有希は両側に広がる炎の海を黙って見ていた。
焼け死んだり倒壊した建物の下敷きになってお亡くなりになられた方々の緊急避難所として亜希の胎は使われている様子だった。
もしかしたら加世ねえの人造生命体製造能力はあたし、花奈のそれをはるかに上回っているのかもしれない。
なんかこの中ではむしろ重体で意識を失っっている一部被害者を除く命からがら逃げ伸びて助かっている人たちの方が死んだことにされているらしい。
しかしながらこの亜希の仮想子宮の中の人たちは妙に明るい、世間話やら体験談に花を咲かせている。それは別に構わないんだけれど?
問題はそれらの話し声がごちゃごちゃにミックスされて私の口から騒音として出ていることだった。
『それより他の3人とは連絡取れないの?』
亜希はメモ帳に筆記してそれを楓凛に見せた。
亜希の口から溢れ出している数万人分の喋り声が騒音となって話を伝えられないからだ。
楓凛もそれに気づいてメモに手記をして見せてくれた。
それは恐るべき内容だった。
『たった今衛星電話のメールにて秋子から連絡あり、この地震は人工的なものであり、狙いは倶名尚愛の暗殺、レールガンの使用も許可されておそらく彼女はもう殺されていて、生存していない』
たったそれだけだったが亜希を半狂乱に陥れるには十分だった。
休火山だったはずの富士山の方向から噴煙が立ち上るのが見えた。
亜希は自分の精神の乱れが富士山の地下深くに溜まっていたマグマを刺激してしまったかもしれないと考えたようだった。
『落ち着け、愛を信じろ』
楓凛がそのメモを見せてくれなかったら富士山はどうなっていたかわからなかった。
もしかしたら富士山はカルデラ級の噴火を起こしてたかもしれない。
ただその時に亜希は愛の声を聞いたような気がした。
『もうダメ、登れない』
確かにそれは愛の声だった。
亜希は精神のアンテナを南アルプストンネルの方向に集中させて彼女の存在を探った。
【そう、それはあたしと加世ねえの娘でもある亜希が無意識のうちに自分の先祖である波瑠沙芽の中のハルが持つ『鷹の目』を使いこなしていたからかもしれない】
それは非常出口用の斜坑トンネルの階段半ばで流れ込んでくる水の圧力に逆らえず今にも押し流され戻そうな愛の姿が見えた。
亜希は彼女の背中と腰を後ろから押し上げてやった。
彼女は再び自信と気力を取り戻したのか階段を力強く登り始めていた。
『さすが私の親友』
心の中で呟いたけれど亜希の中の騒音にかき消されてその声は届かなかった。

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@火災からの救出

ゆきりんと有希とリナ、そして風間先輩、こと風間達也さんの4人に亜希さんから出動命令?が出た。
しかしあいにくとあたし人造生命体有希は外出中でその要請は受けられなかった。
おそらくその辺が先回のループとの大きな違いであり、この世界、奴ら『地神』の主戦場で戦うには必須の条件だった。
【ゆきりん、あたしの本体であるフルサイボーグ夏乃花奈が敵の探索のために創ったあたしと加世ねえに似せた女児の救出はアルファベットダースたち『A〜L』やボランティア少女たちに任せてあたしたちと異世界リナが協力しあって浜岡原子力発電所の事故と富士山と箱根山のカルデラ噴火を阻止するんだぉ〜】
【馬鹿奈!この大事な時に最重要機密鍵付きのテレパシーをふぬけた口調で送らないで】
【ごめんだぉ、リナとゆきりんで地下深く潜って富士山箱根山をカルデラ噴火させようとしているミミズメカを止めてほしいんだぉ】
【じゃああなたが浜岡原子力発電所をなんとかしてくれるわけね、それで若狭湾の方のミミズメカは誰が止めるの?こっちを片付けてからじゃ間に合わないよ?】
ゆきりんが素早く返信した、大丈夫!そっちは既に手を打ってある。
もうすでに若狭湾には先回のループであたしたちと重なり合っていた樋口裕貴と樋口由紀恵、そして波瑠沙芽母、つまり『さとみ』が向かっている。
【そして過去からやってきた観萌と愛、そして椎奈と冴子、志乃を次元の狭間に封じ込めて襲撃した厄介な『願望達成能力』を持つ3人組の『人神』3人組の始末は?・・・】
【もちろんあたしたちの乳、夏野明美、サタンが向かっている】
【つまり全てのループにおいて事件は実際には同じ世界、奴らの主戦場で奴らにとって都合が良いように戦わされていたって事ね】
そう言ってから由紀は付け加えた。
【それと河口湖の水位がいちじるしく低下しているみたい、いずれはマスコミの報道があると思うけど、降水雨量の低下だけでは説明しきれない部分があると思う】

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「なんで俺が・・・・・」
愚痴っていた達也さんだったけど両胸ポケットに入っている、というか立っている人造生命体の由紀と有希を見てニマニマしている顔は正直言ってドン引きするものがあったが普通に仕事をしている時は割とまともに見えた。
仕事とは言っても単に救助の手伝いと避難の誘導くらいしかやっているようにしか見えなかったわけだけれど。
それでもう1人の小人、幼女リナだけれど達也さんの履いているズボンの左前ポケットに潜り込んでいた。
彼の鼻息が時々荒々しくなるのはひょっとしたらリナがポケットの中で良からぬ事をしているからかもしれない。
「やっているわね、絶対」
と言ったのは有希。
あのサイズで手コキとか足コキとか皮剥いて亀頭部をおしゃぶりしても効果があるかどうかはわからないけれどさすがは精神年齢数千年以上の妖女だと思う。
「ボク達なんかまだ数ヶ月しか人生経験ないもんな」
そう言いながら由紀は達也さんの股間を見た。
なんかズボンの膨らんでいるところが脈打って、なんか黒いシミが広がってゆくのが見えた。そして生臭い。
うん、間違いなく射精しちゃったよね。
しかもとんでもない量の精液を。

【うん、人造生命体ボランティア少女たちには刺激が強すぎじゃない、今回の任務】
と由紀
「痴女さん、ボク達は何をすれば良いですか?」
精液でベトベトに濡れた顔をズボンのポケットから出したリナにきいてみた。
一体ボランティア少女達は何のためについて来たのだろうか?
「そりゃあもちろん、消火活動に決まっているじゃない」
いやだからこの身長22センチメートルの小さな体でどう消化しろと、しかも亜希の胎の中から各自、現世に転送されたのはいいけど素っ裸じゃないか?
「当たり前じゃない、私たちは妖精って設定なんだから」
いや、顔だけじゃなくてほぼ全身を精液に浸された(ひたされた)状態で『妖精』などと言われても。
なるほど『妖精』の妖は妖しい、精は精液の事だったのか?
ボクはしばらく絶句するしかなかったがあえて気力を振り絞って言った。
「さっきから男の人たちの視線が痛いんだけど」
今のボランティア少女ふたりのサイズは身長22センチくらい、iPadの縦の長さよりは控えめなんだけどしゃがんでもヘソから上が露出してしまう。
要するに両手で隠さなければ乳房が丸見えだ。
すれ違う人達の多くは気まずそうに目を逸らすけれど中には2人の胸と顔をガン見してくる男の被災者もいる。
なんで亜希さんは服を着せてくれなかったんだろうか?しかもこんなにもポケットからはみ出してしまうサイズで。
「被災者に笑顔を、そのためよ」
亜希さん、その理屈わかんないし、喜んでいるのは表現の自由戦士と一部の腐女子だけだから。
そう心の中に呟いているとほぼ半壊に近く崩れてその1階端っこあたりから出火し始めている二階建ての民家、いや豪邸の前に辿り着いていた。
「おーい、中に誰かいませんか?」
達也さんの大きな声がボク達の身体を震わせた。
わざとだろうか?いやそうでないと願いたい。だってその振動で身体全体がものすごく感じてしまったから。
『あ“〜!今ので大量の愛液とおりものが』
意外とこのボランティア少女有希はノリが良いようだ
「達也さん、私たちにペットボトルの水をかけて」
ズボンの中ポケットからリナの声、達也さんは背中に背負ったフタの開いたリュックサックから水の入った2リットルのペットボトルを取り出し蓋を開けるとためらいなく自分の頭から全身に振りかけた。
もちろんボランティア少女たちも全身びしょびしょだ。
その瞬間にも達也さんは家の窓ガラスを蹴り破って家の中に突入していた。ちょっと見た限りじゃリビングのように見えたその部屋には誰もいなかった。
「火元はリビングキッチンの配電盤付近、火の回りが早くここ一階が2階の重みで潰れるのも時間の問題、急いで」
リナの指示が飛ぶ。
下の階には人がいないと願いたいがどうやら廊下を隔てた和室の中で両足がタンスの下に挟まっている中年、とはいえ恐らくは50代くらいの男性を発見した達也さんは一目散に走り込みタンスを起こそうとする。
「ちょっと待って、下敷きになってからどれくらいたったはわからないけど止まっていた血流が急に流れ出すと」
リナは達也さんのズボンのポケットから飛び出すと両手をタンスの端に入れて少しずつ持ち上げた。
そして3分くらいかけてなんとか足が抜ける状態になると一気に年相応、5歳くらいの大きさになり『どすこい!』と言ってそのタンスを跳ね除けた。
なんか漫画のパクリみたいな、というか事実パクリなんだけど、そんな光景にボランティア少女由紀は唖然としたがリナは考える隙さえ与えてはくれなかった。
「ボケっとしていないで下が潰れる前にあなたも大きくなってその人背負って窓から飛び出して」
そう言われたボランティア少女由紀は言われた通りにその男の人を背負いリビングに戻ってさっき達也さんさんがぶち破った窓ガラスから逃げ出そうとしたが既にリビング自体が火の海だった。
「迷わないで、この部屋の窓をぶち破るのよ」
『簡単にいうなぁ、ボクもこの人も血まみれになるよ』
そう考えている間も無く火の手は和室にも入り込んでいた。
『もうこんなのはゴメンだよ』
そう心の中で呟くボランティア少女由紀の耳にリナの罵声が飛び込んできた。
「達也、グズグズしないでそこの階段を駆け上がって2人の小さな女の子を助けに行くわよ」

ボランティア少女有希とリナが階段を駆け上がるとあたしの人造生命体加世ねえを模して創られたあたしの人造生命体がフタの開いた木箱から取り出されて床に寝転がせられた状態で全身を痙攣(けいれん)させて目を見開いていた。
「典型的な急性神経毒ガス中毒です、リナさんは息を止めて、サリンガスと思われます」ボランティア少女有希はそう言うと人造生命体のあたし、小学6年生の姿をした女の子を両腕で抱き抱え、小学4年生くらいの女の子、赤髪の跳ね毛をリナが同様に両腕で抱き抱えるとベランダに出る大きなガラス戸を突き破って外に飛び出していた。
そして仲間のボランティア少女たちに酸素吸入機の指示などを的確に行なっていた。
仮想空間などで人造生命体を扱う練習をして来たリナとは異なりまだ不慣れなはずのボランティア少女たちの人造生命体の扱いさばきに対する慣れの速さは驚くべきものがあった。適応能力の違いと言って仕舞えばそれまでだが。

そして火の手は2階全体に燃え広がり、やがて2階も屋根の瓦の重みに耐えられずに潰れた。
「乙っかれさまだよぉ、4人とも良くやってくれたね、大感謝だよ」
頭の中で亜希の声が響いた、いや正確には直接脳に言葉が響いたというべきか?

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@浜岡原子力発電所と富士火山帯

「すみません、この辺で20代くらいに見えるヤンキーな女性を見ませんでした?」
人造生命体リナと人造生命体由紀は建物などが完全に崩壊して廃墟と化した富士市周辺を歩いていたら見知らぬ女性から声をかけられていた。
身長が180センチ以上あってレインボー色のストレートヘアを腰まで伸ばした不良女性だ。
他人のことを言えた義理か?と思ったがこっちも忙しい身なので誰とも遭っていないと答えておいた。
「まだ誰ともすれ違っていないけど、どどんな人ですか」
人造生命体由紀は用心深くきいた。
「あ、今はどんな姿かはわからないですが、別れた時は胸まで伸ばした黒髪の中学生です」
その不良娘の何が怪しいかと言うとこの大震災にも関わらず傷ひとつ負わず、水色の水着姿だった事だ。
しかもその水着には値札などのタグがしっかりとつけられていた。
試着室で万引きした少女か?
しかし次の瞬間に彼女は姿をリナとゆきりんの前からかき消すように消えていた。
【多分彼女は昨年の炎天下の中月海とウィンドウショッピングをしていた観萌、探していた胸まで髪を伸ばしたヤンキーな娘は月海、なんらかの原因で観萌だけ移動させられたみたいね、一度ここを経由してあの小田井の戦闘アンドロイド工場に転送されたようね】
【どう?原発事故は防げそう?】
心配そうにきいたリナに有希はあっけらかんととんでもな返しをしてきた。
発電所全体をエネルギーに還して鉛の塊にするのもありだけど、とりあえずは奴ら3人組が原子炉の炉心の中にある冷却プールに放り込んだ冴子だったsae-Co人造生命体のバラバラにされた遺体は回収したし、爆発寸前だった原子炉も元の状態に戻せたよ、冷却水配管がぶっ壊れたら厄介な改良式沸騰型軽水炉(ABWR)だけど修復するのは簡単だから助かるんだぉ〜、放射線漏れがハンパないから恥丘人類は一瞬で被曝死だけどね、しばらく管理する必要があるからあたしはここに残る】
人造生命体有希はなんだか簡単そうに言ったが爆発事故を起こしたかのように見せがけて実は何事も起きていない状態を保つのは絶対に至難の業だろう。
そして『恥丘人類』というイメージはもちろん誤変換ではなくてワザとに決まっていた。
【ところでそっちはミミズメカを止められそう?】
有希は聞いてきたが少しも不安を感じていないように感じていた。
奴(ミミズメカ)が地上に出てから対処したのでは手遅れだ。
もちろんのことそれが富士火山帯を刺激する前に停止させなければ意味がない。
『日本列島生物化計画、それはカレンダーガール作戦、『国立さぬきがわ学園と国立こじろう学園による人体実験』と同時進行で行われていたのだ。
あの観萌と愛や志乃たちが異空間で襲撃された後に大量の放射線を浴びて死ぬところだった原因もミミズメカによる複数の原子力発電所襲撃によって破壊されたせいであって放射性生物による放射性崩壊の爆発的な加速もそれを助長していたにすぎなかった。

あたしたち人造生命体の特徴としては好きな場所に出現が可能だと言うものがある。
いわばテレポーテーションとタイムリープの合わせ技みたいに感じるかもしれないが1度エネルギー信号に還して別の時空間に再現するのでその指摘は当たらんし。
『鷹の目』を使い、ミミズメカの所在位置を探し当ててその制御室に出現すれば良いだけの事だが高速回転しながら動き回っている奴の居場所とその制御室を特定するのは至難の業だと言えた。

「見つけたよ」
人造生命体由紀はそう言うとミミズメカの中枢、制御室の中に人造生命体リナとともに身長25センチメートル大で一対の少年と少女が生殖器のみを結合させた状態で固定されていた培養器の中にいた。
ふたりは大飯原発を襲撃したふたりと違い抱き合ってはいなかった。
互いに両手で相手の胸や顎を押し合い離れたがっているように感じる。
しかし少年の陰茎はパンパンに硬く膨れあがった状態で少女の膣(ちつ)に深く挿し込まれていた。
少女も少女で腰を前に突き出すようにして少年の陰茎を積極的に自分の膣(ちつ)で受け入れているようにしか見えなかった。
そして少年もまた激しく腰を突き上げるように振りながら、少女の膣に深く子宮口まで突き刺さった、長くて太い陰茎はまだ本体の大半が見えた状態だった。
その陰茎は激しく脈打ちながら大量の精液を少女の血の奥の子宮内に大量の精液を射精し続けていた。
少女は激しく首を左右にふり拒絶の表情をあらわにして泣いていたが彼女の下半身は少年の陰茎の射精を積極的に受け入れていた。
少年も悲しみの表情でそんな少女を見て泣いていたが激しく腰を突き出す動作と際限のない大量の力強い射精は止めようがなかった。
人造生命体由紀と人造生命体リナはそんな少女の恥丘と少年の下腹部にある隙間から入り込んでふたりを引き離そうとしたが無理だった。
以前のループの大飯原発を襲撃したミミズメカの中にいた『しずえ』と『ゆきと』はお互いを強く抱きしめあっていた。
おそらくは寄生体にコントロールされたままだったからと思っていたがどうやら少し違っていたようだ。
【彼らと彼女たちはいずれも獣姫と獣神に惑わされて生殖行為を行い何度も大量種子と人造精子を撃ち込まれて脳内に大量の偽物のニューロンで侵略されて偽の人格を形成させるシナプスを形成させられています、どうしますか?私の人造生命体たち】
フルサイボーグ夏乃花奈から最重要機密鍵付きのテレパシーが送られてきた。
もちろんエネルギーに返すなんて乱暴なことは出来ない、人造生命体とはいえフルサイボーグ夏乃花奈の存在と関与が『地神』に知られる事態は避けたかった。
そこで由紀とリナは直接テレポーテーションで少女の子宮の中に侵入する決意をした。
もちろんその一対の少年少女は等身大だから彼女と彼を支配している寄生体は人造生命体由紀と人造生命体リナとほぼ等身大のはずだ。
『ちょっとそれにしてもいきなり子宮の中に入ってしまうのは過激過ぎない?』
とリナは言ったが由紀は構わず少年の勃起した陰茎が突き刺さっている少女のわれめちゃんより上の恥丘に軽く触れていた。
すると由紀の身体はは少女の恥丘にに染み込むようにその中に入って行った。
当然ながらリナもその後に続いた。
少女の子宮の中では2体の寄生体が待ち構えていた。
彼女たちは邪魔者が侵入してきたと言わんばかりに睨む(にらむ)と両手に大きな日本刀を持って切り掛かってきた。
しかし由紀たちにはそんな時間は残されていなかったのですぐに瞬殺する(犯す)ことにした。
彼女たち(寄生体)に正面から抱きつくと由紀とリナのわれめさんからアスパラガスちゃんが顔を出してみるみる伸びて彼女たちのわれめさんの中の膣の中に侵入した。
そのアスパラガスちゃんは先端からサラサラな液体を大量に放出すると寄生体の姿は一瞬にして消えていた。
正しくは本来の姿フェアリーに戻ったというべきかもしれない。
「あいにくとボクたちは正義のヒーローとは程遠いのでね」
由紀はそういうと自分の両手と両足をを少女の子宮内膜の中に潜り込ませていた。
そしてリナは少女の子宮の中を降りて行き、器用にも子宮口に突き刺さっている陰茎亀頭部の射精口から侵入をしていた。
もちろん身長がそのままではとてもではないが少年の陰茎、射精口からから侵入することは不可能だったので更に小さな身長2.5ミリメートルまで縮小して陰嚢(いんのう、金玉つまり睾丸(こうがん)を含む精子や男性ホルモンを作る臓器)の侵入に成功していた。
【敵(人工脳)に悟られないように残っている生体細胞の脳神経から記憶を探って解決策を見つけ出すんだぉ】
『No.1花奈は簡単にいう』と由紀は思ったがそれより他に手段はなさそうだった。

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@和人と和代

オレは中学2年生だった、夜の街で1人の美少女に声をかけられた。
他にも何人か立っていたがオレはそいつにしか目がいかなかった。
「ねえ、わたしを抱く気ない?」
オレは親や親戚などからお年玉を20万円近くもらったばかりで気が大きくなっていた馬鹿野郎だった。
「ふーん、ホテル代込みでいくらくらい出せば本番までやらせてくれるの?」
オレは言いながらその美少女の品定めをしていた。
身長は160センチ前後、上からバスト88ウエスト57、ヒップ93と少し華奢な体つきだが体重は50キログラムはあるだろうか?
「ホテル代抜きで7万円でいいよ」
その美少女は言ったがホテル代で10万円ぼったくられるのはゴメンだった。
「ホテル代?そんなのいらないよ、あなたはわたしをここで犯すんだから」
どうやら他の客に変な病気をうつされたのかもしれない。
〜梅毒とかだったら嫌だな〜
そう思っていたらその美少女は他の少女たちを指差して言った。
「ほら、彼女たちをごらん、もうすでに男たちに全裸にされて犯されているよ?」
そこは他の一般の通行者がいるにもかかわらず男たちが服を脱ぎ捨てて全裸になって各々の好きな体位で美少女たちを犯していた。
「どうして?」
オレがいうと美少女は『クスクス』笑いながら言った。
『ここはもう下界から隔離された特別な空間よ、あなたも服を脱いでごらん?特別な空間を用意するわ』
そう言った彼女はすでに全裸になっていた。
彼女の身体つきはオレの予想をはるかに超えていた形の整った美しい大きな乳房は100センチ近くあるように見えた。
『さあ、あたしを抱いて、そして激しくつらぬいてごらんなさい』
その女が脳に直接語りかけた時にオレの心の鍵はフッっ飛んでいたかもしれない。
全裸になったオレは気がつくと最上級のベッドの上で美少女の膣をつらぬいて激しく腰を振っていた。
「いや、い、い、いやぁ〜、いやぁぁ〜‼︎」
美少女が苦しげな表情をして泣き叫ぶ姿を見ていたらいても立ってもいられずオレは彼女の両脇腹を鷲掴み(わしづかみ)にして引き寄せて腰をくりかえして突き出し、自分の陰茎の亀頭部で何度も何度も何度も彼女のGスポットを殴りつけていた。
「いやぁ!いた〜い!いた〜い!裂けそう!」
そんな彼女の泣き声を聞いた時にオレの興奮は絶頂に達して今までどんな夢精でさえ感じたことのない快感が全身をつらぬいて俺の陰茎は強く脈打ちながら激しくて長い射精が始まっていた。
「いやぁ!破裂しそう、あ!あ“〜!あ“〜!あ“〜!あ“〜!あ“〜!あ“〜!ぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」
彼女は更に激しく上体を暴れさせてオレの暴力的な射精を受け止めてくれた。
「しくじったなぁ、まさか5人目の客がカズトくんだったなんて」
女は大粒の涙を流しながら言った。その時一瞬だったが彼女の顔はクラスメイトの和代だった。
しかし彼女はオレにとって取るに足らない貧乏人のひとりだったしはっきりと言ってドブスだった。
女は一瞬だがドブスな素顔を晒し(さらし)てしまっていた
「どんな魔法を使っているか知らないけどオレをだましやがって」
オレは怒りに我を忘れて何度も何度も何度も何度も繰り返して彼女の膣を太くて、硬く、長い陰茎で激しくつらぬいて泣き叫ぶ和代の中に繰り返して大量の精液を射精し続けた。
俺は約束通り1万円札を7枚投げつけて服を着るとオレたちはさっきの夜の街角にいた。
和代は全裸で素顔のまましゃがみ込んで泣いていたように見えたがもうどうでも良い事だ。

それからのことはあまり覚えていない、人づてに彼女が逮捕されたという話を聞いた。
妊娠していた事を知りつつ夜の街に立ち、容姿と膨れ上がった臨月間近のお腹を『願望達成能力』とかいう魔法でごまかして性を売り続けたあげく流産させてしまったという事だ。
しかも年齢を詐称して25才とミーカードに改竄(かいざん)記入していたと聞いた。
そして彼女はその死産した赤子を遺体遺棄した罪に問われて逮捕されたらしい。
その時は『ザマァ!』としか思っていなかった。
彼女がなぜあの夜の街に立たざるを得なくなったかを人伝いに聞くまでは。

彼女の家はかなりの貧困の部類だった。
しかし彼女は年齢を誤魔化して働いていた。
方法は簡単だった。
ミーカードからアクセスするだけで個人情報を全て書き換えられた。
これほど性産業にとって便利なシステムはないと言えた。
例えば12才の中学生であろうがそのカードからシステムに侵入すれば本人の個人情報はもちろんの事、ありとあらゆるその人や家族に関する全情報を書き換えられた。
現実はたとえ小学生の女児だとしても性産業業者たちは高卒してかなり経つ成人女性として売春や本生撮影ありのAVに関わらせることも可能だ。
俺たち富裕層根は縁のない話だと思っていたけどな。
そして彼女の両親は体調を崩してまだ幼い弟を養うために夜の街に立って売春行為をしていたという事だ。

オレはあれから何度も親の金を盗んで初めて夜の街にたつ経験のなさそうな怯える少女たちを買った。
なぜかはわからなかったが俺の性欲はそうしろと命じていた。
それはおそらく彼女がオレに与えてくれた能力だった。
自分のミーカードを見つめるだけで両親を含めたすべての個人情報にアクセスが出来るようになっていた。
親の有り余る資産も自分の口座に振込放題だった。
『家族は協力しあわなくっちゃね』
オレはうそぶいた。
全ての口座をミーカードに紐付けしてくれたお国様様だ。
そしてオレはその金で買ったど貧民だがやたらと大人びた身体つきのドブスなメスガキたちを用意した仮想ラブホに招いて何度も何度もしつこいくらいに泣き叫ぶくらい激しく彼女たちを犯して、つらぬいて、射精した。
最初のうちは上半身を暴れさせて泣き叫んでいた彼女たちだったがやがて諦めたかのように動かなくなった。
そして呆れたことにドブスだった彼女たちは驚くほどの美少女に変化を遂げていた。
そしてオレはそんな彼女たちをさらに何度も何度も何度も何度も繰り返して犯して膣の中に大量の精液を射精した。
精液を打ち込めば打ち込むほど彼女たちの瞳は麻薬中毒患者のようにうつろになって行き、オレの男(陰茎)を求めるようになった。
オレが満足してことが終わると彼女たちは決まって何事もなかったかのように服を着て、オレも服を着ると周りはラブホの一室からいつもの夜の街に変わっていた。
するとオレは見知らぬ男に背中から声をかけられていた。
「種子づけご苦労様」ふりかえるとその男は消えて存在しなくなっていた。
見違えるほど美しくなったさっきオレが犯していた少女が今度は自分から積極的に客を取っていた。
「ねえ、お兄さん、あたしを買わない?2時間やり放題だよ?」

今日もまた俺が買って犯しまくり泣き叫び、喘がせながら暴れ回る素人の少女を膣の中に大量に何度も何度も何度も何度も繰り返して射精してやった。
その娘も見違えるほど妖しく美しくなって客を取り始め出していた。
もうこれで何十人目だろうか?
俺の手には見知らぬ男から手渡された札束が握られていた。

『まさか』
ある少女に種子を植え付けた後でふと疑念がオレの中に湧き上がった。
和代は確かに清潔感のない貧乏なドブスだったがあの時の彼女のような貞操感がない娘じゃなかった。
しかしもし最初に無理矢理取らされた客がオレのような『種子づけ役』だったとしたら、和代はさっき俺が奪った処女のように種子づけされて己の意志を奪われてbot化して性春を売る淫らな娘になっていたとしたら?
思い起こせば和代は決して嫌な子じゃなかった。
どんな取り柄のないつまらない男子にも笑顔こそ見せなかったが普通に接していた。
そんな彼女がオレを騙す必要があったのか?
あの時、彼女は一瞬だけ運悪く自分を取り戻してしまっていただけのことだったんだ。
オレは何人の、何十人の少女たちの運命を狂わせたのだろうか?
オレは気がつくと高い橋の上から電車が走る線路の上に身を投じていた。

【和人くんの死因は架線とそれを支える支柱に触れた事による感電死ね】
リナは言った。
【和人くんの記憶を少しずつ不要な部分だけを消して、必要な部分は残して人造生命体に内部から変えていける?】
有希から最重要機密鍵付きのテレパシーが由紀とリナのふたりに届いた。
【OK、続いて和代さんの処置に移るよ】
由紀はそういうと全裸の和代の意識下の中に潜り込んで行った。

      ーーーーーーーーー

わたしは父と母と5つ年の離れた弟との4人家族だった。
わたしの家はそれほど裕福ではなかったがそれなりに幸せな生活を送っていた。
それはある日、わが家に共同親権に関する訴訟状が届いてから全てが狂い出した。
弟の実の父親を名乗る男が現れて『今まで支払った養育費と国から降りた育児支援金を合わせて500万円返せ』という無茶な要求をしてきた。
簡易裁判所から最終通告が届き『3ヶ月以内に弟が私の父の息子である証明、DNA鑑定をしなければ500万円の損害賠償を支払えというものだった。
DNA検査の結果、弟と父のつながりはゼロに等しく逆に相手との男との血のつながりは80パーセントもあった。
母に不倫されたと思った父は働く気力をなくして毎日飲んだくれて働かなくなってしまった。
母は何度も抗議して病院に問い合わせたが家族の誰のミーカードを通しても得られた検査結果は変わらなかった。
そしてわが家は持ち家の一軒家を売り払いその金が600万円父の口座に振り込まれたと同時にその簡易裁判所に紐付けされていたのか一瞬にして全額引き落とされていた。
もちろん母は何度も抗議して簡易裁判所に掛け合った。
実際に弟の養育費を払ってきたのは我が家の父だったし、
しかし何故か簡易裁判所は『そんな訴訟の事実はない』と言い張って母をなん度も門前払いにした。
しかもあり得ないことに弟の実の父親だと名乗っていた男と連絡が取れなくなってしまっていた。
もう半ばやけ気味になってわたしのミーカードで家族の血縁関係を調べてみたら何と弟の父親のDNA鑑定結果からその男の名前は消えていて父親との関係がほぼ100パーセントになっていた。
唖然、とはこのことだろう。
【かねてから心配されていたミーカード不正使用ですね】
リナが由紀にこっそりと伝えた。 

しかし保険証や免許証などを廃止して一本化したミーカードに何のメリットがあるのだろうか?
ミーカードを無くして警察に落とし物を届けに来た人が『証明するものは他にありますか』と言われてあせった話を聞いたことがある。
ひと昔なら健康保険証や生徒手帳などでも本人確認が出来た。
しかし今ではミーカード以外はすべて廃止してしまったので他に自分である事を証明するものがない。
顔認証がありますよ?と言われて試してみたらエラーで認証してもらえず、結局は再発行となりひと月不便な思いをしたらしい。

そんな他人の話はともかくとして一瞬にして貧困家庭となった我が家は母親はフルタイム労働を強いられてわたし自身、家事や弟の世話などで勉学さえまともに出来なくなっていた。
そんなある日、1日1時間少々で3,000円稼げるビラ配りのバイトがあると聞いて応募したらいきなり夜の街に立たされた。

最初の数日は本当にビラを配っていただけだった。
ただし風俗関係のお店のビラだったがこの際贅沢は言ってられないとあきらめて配っていたが、もうあと2、3枚で今日のノルマが達成という時に見知らぬ男に横から強い力で抱き寄せられて素早く唇を奪われてしまっていた。
抗おう(あらがおう)にも男の力は強く、左乳房を揉みしだかれて股間の恥丘下のわれめちゃんをズボン越しに擦られた(こすられた)わたしは叫ぶこともできず思わず喘ぎ添えを漏らしてしまい男の舌が口の中に侵入してくることを防げなかった。
男はどろっとした唾液をわたしの口の中に大量に流し込んできて意識が朦朧(もうろう)とし始めて全身の力が抜けるとその場にへたり込んでしまっていた。

わたしは気がつくと全裸にされた状態で見知らぬ男に股を大きく開かされてぐっしょりと濡れたわれめちゃんに男のシンボルを突き立てられていた。
「いや、い、い、いやぁ〜、いやぁ!いやぁぁ〜‼︎」
いくら叫んでも両脇腹を鷲掴み(わしづかみ)にされたわたしの声はか細く、荒々しい呼吸の乱れだけが頭の中に鳴り響いていた。
わたしの下腹の中で男のシンボルは激しく暴れ回ってわたしを内から押し拡げながら擦り(こすり)始めていた。
「いやぁぁ〜‼︎いた〜い!いた〜い!さけそう!」
全裸の獣のような筋肉を持った男につらぬかれながらわたしは何度も何度も落雷のような衝撃が全身を駆け抜ける快楽を感じながら泣いていた。
「い、い、いやぁ〜あつ〜いあ“〜!あ“〜!あ“〜!あ“〜!あ“〜!あ“〜!」
わたしの中に熱い液体が勢いよく撃ち込まれるたびにわたしは大声で叫んでいたはずだったが、下腹部に何か大量の針で突き刺されたような衝撃を感じていた。
しばらくの間わたしは気を失っていたかもしれない。
わたしは気がつくと男の腰を引き寄せていた。
われめちゃんは赤い一筋の血と男の解き放った白く濁った甘い匂いのする液体を男のシンボルとの結合部の間から漏れているのを感じていた。
もう痛さなんてすっかり感じなくなっていた。
手術で全身麻酔をかけられたような半覚醒の夢のような状態でわたしはもうなん度目かわからなくなった男の人の出した液体を胎で受け止めていた。
「い、い、いやぁ〜もっと、もっと、もっと続けて」
わたしがいうと男の人はうれしそうにわたしのお腹の中に甘い匂いのする液体を射出してくれていた。
幻でも見ていたのだろうか?気がつくとわたしは1枚の風俗店のチラシを持って、他の同じくらいの年頃の少女たち5〜6人といっしょに立っていて客引きをしていた。
すぐ隣に立っていたセミロングの黒髪の少女が西洋人と話をしていた。
彼はその少女のポケットに札を数枚ねじ込むとどちらからともなく倒れ込んでふたりとも全裸になると人通りの多い路上の上で激しく喘ぎ声と叫び声を撒き散らしながら交わり始めていた。
しかし通行人は誰ひとりとしてそれに気づかないのか通り過ぎていった。
他の少女たちも次々と男たちに声をかけ、またはかけられて押し倒されるとその場で行為を始めていた。甘い匂いが街の一角に立ち込め、その匂いに誘われるように男たちが寄ってくる。
「お兄ちゃん、わたしを買わない?2時間やりたい放題で三万円だよ」
わたしが眼鏡をかけたエリート商社マン風の男に声をかけると男はわたしのジーンズのポケットに万円札を5枚ねじ込んできた。商談成立だ。
わたしが左手で男の眼鏡を外しながら彼の背中に右腕を回していっしょに路上に倒れ込むとそこはラブホの最上級のスイートルームのベッドの上に変わっていた。
いくら私たちが大量の愛液や精液、おりものを陰茎と膣の結合部から漏らして濡らしても誰にも文句を言われないわたしと彼だけの仮想ベッドの上でわたしたちは全裸になってお互いを激しく求め合い、彼はわたしの膣の中に大量の精液を射精してわたしの子宮はそれを何か別のものに変えていた。

【彼女が愛液や精液、陰茎や膣などの言葉をいつの間にどうして覚えたのだろうか?】
由紀はリナに問いかけた。
【最初に彼女に手を出した男の精液の中に大量の種子と人造精子が含まれていたんでしょうね】
リナは外に漏れないように由紀に伝えた。
【それが子宮の内膜から潜り込んで毛細血管から侵入して脳に侵入して正常なニューロンとシナプスを次々と喰い荒らしてゆき後から次々と送り込まれてきた種子にとって置き換えられてそれからいくつも同時に芽を伸ばしてその先端同士が近づいてシナプスを次々と形成して回路を造っていったんでしょうね】

それから何日経ったか覚えていない、その日に最初にとった客がわたしのクラスメイトの和人くんだと気づいた時にわたしはうっかり素の自分の姿をさらしてしまっていた。
彼は急に憎悪と嫌悪に満ちた表情になってさらに激しくわたしをつらぬいた。
そしてその凶暴化した陰茎をわたしの膣の中で縦横無尽に暴れ回らせながらわたしと和人くんだけのスイートベッドが血だらけになってわたしの胎の中がパンパンに膨れ上がるほど大量の精液を射精してもなお彼はわたしを許してくれなかった。
何度小さな声で『ごめんなさい』という言葉を繰り返して言っただろうか?
それでも彼は許してくれなかった。
何度も何度も何度も何度も何度も繰り返して射精をされているうちに彼の精液の匂いが変わってきたことに気がついた時はわたしの意識はまた朦朧(もうろう)とし始めてしばらくの間気を失っていたかもしれない。
そして気がつくとわたしはいつもの夜の街に立って男を誘い込んでいた。

それからどれほどたっただろうか?
わたしはいつものようにじぶんのからだがめいじるままに、よるのまちにたっていた。
だんだんとからだがおもくなってゆくのはかんじていたがじぶんのおなかがふくらみはじめていたことにはきがつかなかった。

わたしはあるひ、よるのまちにたっているさいちゅうにはげしいかふくつうにおそわれてちかくのこんびにのといれにかけこみそのうごかないなにかを・・・。

うみおとしていた。

わたしはこわくなってふたたびよるのまちにたったがきがつくとすうにんのけいかんにかこまれて逮捕されていた。

【これが秋子に対して3人組の『人神』を使った実験結果のフィールドバックなんだぉ〜】

ふざけた声が聞こえた気がした。

現実はこうだった。
死んだのは和代が産み落とした娘ではなく和代自身だった。
和代は自分の胎の中で急速に育った娘に子宮を食い荒らされ、はらわたも喰われて飛び出してコンビニのトイレから逃げ出したのだった。
そして運悪くそれを目撃してしまった女性店員は逃げる間も無くふくらはぎを噛みつかれて、その尖った牙から身動きが取れなくなる猛毒を注入されてその場で全身を着ていた制服類ごと全身を食い尽くされてしまっていた。

【これも花油に対して行われた人体実験なんだよ】
No.1花奈が恨めしげにつぶやいた】
別の時空間に実際に行われた人体実験のひとつだった。

【なぜ、彼女、和代の娘は警官に対して抵抗しなかったのだろうか】
由紀はリナに問いかけた。
【おそらくは和代の娘が逆らえない絶対的な人造脳にたいする命令コードが送られたんだと思うわ】
【そして2人とも強制的に生き返させられてここにいるんだね?じゃあ和代が産んだモンスターは?】
【今も誰か、地神教会に都合の悪い人間の暗殺に利用されているでしょうね】
りなは唇をかみしめていった。

わたしは気がつくと巨大な液体で満たされたガラス管チューブの中で股を大きく開かれたまま、わたしを孕ませたあの憎い和人くんといっしょに膣と陰茎を結合させられたまま固定されていた。
わたしは和人の陰茎を自分の膣から引き抜こうと全力で彼の顎や胸を押しのけようと努力したが無駄な努力だった。
抵抗すればするほど和人の陰茎はわたしの膣奥深くに差し込まれて行きわたしの快楽中枢を刺激していた。
彼の射精は再現なく続き、わたしの胎の中を満たしてやがては破裂するような気がしたがそうはならなかった。

【これが彼の今の気持ちよ】
由紀は嘘偽りなく彼の気持ちを伝えていた。

彼、和人は富豪の家で育った長男にありがちなどうしようもない遊び人だった。
美少女と見ればどんな手段でも使い、薬物投与さえ躊躇なく精神ごと堕としてモノにして知り合いが経営するラブホや自宅の自分の部屋で犯していた。
万が一、いやほぼ確実に相手の少女たちを孕ませたところで親が金で人工堕胎させて、親とコネのある政治家が内閣調査室を使い司法に逮捕状を取り下げさせていた。
憲法上それはできないはずだったが、この国は長年続いた連立政権のせいで残骸化(ざんがいか)していた。
故に彼に犯された少女たちは泣き寝入りするより他になかった。
そんな彼でも和代にだけは手を出さなかった。
ドブスと思い込むことによって彼女をあえて性欲の対象から外していた。
それによって彼なりに和代を守ってきたつもりだったのだろう。
だからこそ彼は自分が禁忌としてきた和代に対する性行為を行なってしまったことで取り乱して暴れ出してしまったと言える。
もちろん彼が他の少女たちに対して行ってきた性的暴行は許されるべきじゃない。
【激辛がいたら即処刑対象だね】
ソバージュヘアを胸まで伸ばした背の高い少女が言った。
彼女は本来なら伊良衣良になる娘だった。
彼女たち6姉妹は通常の予定よりも早く、しかもあつこの娘としてではなく葉類智恵と風間達也の娘として生まれていた。
もちろん研究所にも以前と同じくあつこらを『人神』らが孕ませて産ませた6姉妹は存在する、しかし彼女たちはダミーだった。

【このままじゃお互いを不幸にするだけね】
リナはそういうとガラス管チューブ、培養器の外に出るとコンソールに自爆装置を仕掛けた。
グズグズはしていられない、ミミズメカはもうじきにでも富士山の地底深くにあるマグマ溜まりの中に突入して悪さをし始める。
ミミズメカに蓄えられた放射線エネルギーはマグマを活性化して他の火山帯にも送られたミミズメカをエサに増殖を始め出す。
それが日本列島が生物化を始めるきっかけとなるのだが。

やがてしばらくして富士山が小規模な噴火を起こした。
ミミズメカがマグマの高温に耐えきれず溶けて自爆したかのように見えたはずだ。

体長が22ミリメートルとなった和人と和代は由紀の胎内の中で未だに混じり合っていた。
互いに押し退け合っていたふたりの両腕はお互いを求め合い、強く抱きしめ合っていた。
和人の陰茎は和代の膣の中に相変わらず力強い射精をし続けていて、和代の中に入り込んだ精液は和代の子宮の中に新たな人造生命体を作り始めていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

@偽りの浜岡原子力発電所臨海爆発事故

「あなた山崎秋子って衆議院議員知っている?」
顔までは思い出せないけど確かトイレ個室で女子中学生に対する性的暴行をはたらいた外道鬼畜な女子高生衆議院議員!
「ちょっと中途半端に仮想空間でのシミュレーション覚えすぎ」
びっくりしたように亜希は言っているけどさっきからすぐそこをわざとらしく近くの避難所からここまで駆けつけて手にしたスマホで『パシャパシャ』と写メやムービーを撮りまくっている男どもは問題ないのだろうか?
だってボランティア少女たちは3人とも素っ裸のスッポンポンなんだ?

「元気があっていいじゃないか?」
と亜希、ちっとも良くない。

『マジな話彼がおおい川の水量枯渇や戻し水とその水質データーを偽造しなければ中央新幹線は完成せずトンネルは埋め戻されて、まあ色々説明がめんどいけれどこんな大惨事にはならなかったという事ですよ』
そういう言葉が頭の中で響いた後に突然目の前に迷彩色の服を着た同じ顔、姿と姿勢の美少女が出現した。
数えたら全員で12人もいた。
「この一帯の火災鎮火しました、なるべく犠牲者を減らす方向で行きましたがごめんなさい、5,000人ほどまた亜紀さんの胎送りになります」
淡々とリーダー格らしい彼女は言ったが要するにまた追加で5,000人ほどお亡くなりになられたということか?
「ところで君たちは?」
ボランティア少女の由紀代理はさりげなく訊いて見た。
どう見ても全員カタギの人間じゃない、どっかの軍隊の工作員みたいな雰囲気だ。
「あ、私『A』」
「ぼく『K』」
「拙者は『I』」
「あ、もういいです」
長くなりそうだったんで自己紹介は遠慮してもらうことにした、要するに『A』から『L』まで12人いるチーム、というよりは工作部隊らしい。
「取り敢えず3人の衣服は用意しましたのでお着替えをお願いします」
12人の中で一番おとなしそうな子がボランティア由紀にそれらしき服を渡してくれた。しかし、
「あのぉ、これは一体なんのコスプレですか?」
ボランティア少女由紀代理も思わず問いかけずにはいられなかった。
「コスプレなんかじゃありません、私たちが長年愛用してきた戦闘服です」
一番おとなしそうな髪の短い娘がキッパリと言った。
「なんで綿の純白のタンクトップのセパレートハイレグ水着なんだ?」
「それは私たちの講師がこれを着て訓練をしろと言って渡されたものですから」
よくよく見ると彼女達の中と背中に妙なパターンの模様が、よく見たらそれはそれぞれが別々の一文字のアルファベットの大文字だった。
そして今それを言った一番おとなしそうに見えた娘の文字は『G』だった。
「なんでこのユニフォーム、こんなに薄地なのぉ!乳房の形も乳首も丸見えじゃない!」とボランティア有希。
「いや、それは私たちの講師の趣味で」
え、『G』さん?
「じゃあなんでこんなに袖口が広いのよ?これじゃ腕を水平に上げたら横から乳房が丸見えじゃない!」
同じくボランティア有希。
「それも講師の趣味で」
おおい、『G』さんよ、それしか言えないのかよ?
「じゃあこのブルマ、なんでこれもこんなに薄地でハイレグ仕様なのよぉ〜!」
うんうん、さすがにボランティア由紀もそう思う。
「確かに注意しないと股の間から縮れ毛がはみ出しますね」
いやに冷静に『G』さんは解説している、おおい!大問題じゃないか?現にしっかりボランティア由紀の縮れ毛がはみ出しているし。
「もちろん皆様、ちゃんとお手入れに毛をお剃りになっていますよ?」
そ、そうなのか?そこまでしなければならないなんてどんなエロいハニートラップ組織だ。
「多分」
『G』さんのすぐ隣にいた、『I』さんがボソリと言った。
剃ってなくて縮れ毛をはみ出させていた奴もいるのか?
「そう言えばあのエロ講師、うちらの事を『パイパン戦隊』だなんて失礼なこと言っていたよな」
ボクのすぐ後ろに立っていた『D』が呟いた。ろくな奴じゃないな、その講師。
「ところでそのエロ講師、一体何を君達に教えたんだ?」
とボク。どこかの国から送られたスイーツトラップスパイかよ?
「主に国家の要人に対する暗殺や重要施設に対する破壊行為を習得させられました」
『B』はそう言うと「フッ」っと笑みを浮かべた。
「それと世間に強い影響を与えることの出来る学者や評論家、芸能人達の洗脳」
『A』が横から物騒な言葉を挟んだ。
「もちろんあいつら、自称愛国主義者に不利な行動をする政治家もね、私のパパとママもこいつらに殺されたし」
リナがアルファベット部隊の少女達を睨みつけて言った。
このリナの両親は別の時間世界で彼女達に暗殺、いや惨殺されたらしい。
「ごめんなさい・・・」
『G』がすごく申し訳なさそうにリナに謝った。
そしてリナ自身は『G』に惨殺されている。『G』が全力で投球した拳大の鉄球で心臓をぶち抜かれて即死したらしい。
しかしもしも他のメンバーに殺されていたら今のリナはおろかこのアルファベット部隊や亜希は存在していなかったと聞く。
「まさかとは思うけれどさっきボク達が助けたあのおじさんもあんた達が洗脳したの?」
ボクは「G」に訊いてみた、彼女は首を横に振った。
「このリニア工事に不利なデーターを次々と改竄した科学者さんのことですね、あれは私たちとは別の存在が生み出しもの、あなた達が遭遇した大手芸能事務所の社長さんと同じであそこに寄生している、なんと言って良いのか」
そう言って『G』は恥ずかしげにボランティア由紀が助け出して抱き抱えている中年科学者の股間を指差した。
「そ、それは・・・・・やっぱり・・・」
有希もボクも顔を見合わせた。彼女たちはまだそれを知らないはずだったからだ。
処女はまだ知らない方が幸せな事は多い。
しかし世の中には傍迷惑(はためいわく)な奴もいた。
その寄生体のイメージを送って来た元女性手術看護師だった。
他の場所で等身大になって被災者を救出しているそのボランティア少女は数週間前にどうやら生前に自分を犯した男をナイフで滅多刺しにして殺してしまっていたらしい。
普通なら寄生体を植え付けられた女性は寄生体に操られるまま何度も何度も繰り返してその自分に寄生体を植え付けた男の身体、正確には陰茎を求めてしまう。
つまりその女性の中に植え付けられた寄生体と男性の陰茎の中の寄生体がその女性と男性の脳を操り、彼女の子宮内に寄生体の種子を植え付けた寄生体と陰茎内の寄生体同士が何度も交じり合うように自分の膣にその男の陰茎を差し込んで射精したい欲求を発動させるようだ。
しかしその時に寄生体同士がその女性と男性に対して男に求愛行動を取らせたタイミングも悪すぎた。
彼女は手術看護師、彼は救急外科医だった。
深夜の自宅に窓ガラスを割って侵入された女性はサバイバルナイフによるストーカー刺傷事件で腹部を刺された上にそのサバイバルナイフで刺し口をグリグリと拡げられて瀕死状態の少女を救命するための生死に関わる一刻を争う緊急手術をたったのふたりで行なっていた最中によりにもよってその寄生体同士が求愛活動を始めてしまっていた。
普段の医療待機中ならまだしも、このたったふたりしか居ない緊急手術時に手術看護師と外科医が手術着を脱ぎ捨てて全裸になって性交行為を始めてしまったら助かる命も助からない。
「はぁ、はぁ、はぁ、いや、いやぁぁ〜‼︎あ“〜!あ“〜!あ“〜!せ、せんせ、いやぁぁ〜‼︎いた〜い!あ“〜!あ“〜!あたしたちこんなことしている場合じゃ、はぁ、はぁ、はぁ、あ“〜!あ“〜!あ“〜!あ“〜!」
外科医が自分の膣にねじ込んだ陰茎の圧力と撃ち出す射精の勢いに押されて自分を失いつつあった女性手術看護師の目にぼんやりと腹部を開腹されたままの虫の息の女性の姿が目に入った。
「ざけんじゃないよ!」
彼女は叫び、外科医を手術用ナイフで滅多刺しにしてなんとか自分の膣から外科医の陰茎を抜き取った。
それから急いで手を洗い予備の手術着を着用するとその難手術を自分だけで再開させて成功させて女性の命は取り留めた。
もちろんだけどバリバリの違法医療行為だ
しかし、難手術をやり遂げて全身の力が抜けた手術看護師は処置室の壁にもたれかかりながら信じられないものを見てしまった。
裸の上にじかに着ていた手術着の裾(すそ)から何かを求めて彷徨う(さまよう)ように這い(はい)出て来た体長が20センチくらいの精液でベトベトに濡れた全裸の髪の長い美少女の姿を。
その時の様子(イメージ)が今になってほぼ全員の人造生命体に送られて来ていた。
彼女は当然だが殺人と違法医療行為の両方の罪に問われ裁判のために護送車シビリアンで三ヶ日から東名高速を東京に向けて移動中にこの南海トラフ巨大地震に遭遇して燃え盛る車の群れの中に突っ込み命を落とした。
なぜか彼女にもフルサイボーグ夏乃花奈の人造生命体が与えられていた。
言うまでもない事だが彼女は今、臨時避難所の医務室でバリバリの違法医療行為を始めて並の医者じゃ救えない命を次々と救命していた。
そんな中に運ばれて来たのは、たまたま人造生命体花奈と人造生命体加世を運んできて輪姦しようとして彼女たちを木箱から取り出していた時に南海トラフ巨大地震に遭遇して命からがら逃げ出した男たちだった。
その後、避難所の近くで崩れた建物に挟まれていたまだ小学生の女の子を助けてやった礼をしろと難癖をつけて輪姦しようとした男たちは何者かにかまいたちの罰を受けたのか全身の皮膚が切り刻まれてすごい出血状態で運ばれて来た。
『本当はてめーみたいなやつは生かしちゃおけないけど仕方がないから助けてやるよ』
彼女は心の中で呟くとのんびりと皮膚の縫合(ほうごう)処置を始めていた。
ハッキリ言って拷問だろうと思ったが口は出さない事にした。

そんなボランティア手術看護師が送って来た寄生体のイメージだったが『鷹の目』視線で送られて来ていた。

女性の膣からわれめさんを開いて出て来たその精液まみれの寄生体はリナ(代理)と被っていてボランティア少女たちの由紀と有希のふたりだけじゃなくてアルファベット戦士たちもドン引きさせた。

「もちろんあなた達がその寄生虫、じゃなかった、美少女を始末してくれるんでしょ?」
完全に青ざめた代理のボランティア有希が言う。絶対にお断りと言いたげ、まあ当然だと思う。
「是非ともそうしたいところですけど、そうする為には精〇レベルの大きさまで小さくなる必要があるの、でも私達にはそれが出来ない」
残念そうに『G』は言うと代理由紀達3人を見た。どうやら彼女はこの3人が自身の身体の大きさを〇子レベルから500メートル級の大怪獣レベルまで大きくなれるってリナか亜希に聞いたことがあるのかもしれない、ただし大きくなればなる程能力が反比例して弱くなることが欠点らしいけれど?

しかしよく考えたらボランティア少女の由紀と有希は完全にアルファベット部隊たちに騙され(だまされ)ていた。
ボランティア少女たちも、アルファベット部隊『A〜L』も全員元を正せばフルサイボーグ夏乃花奈とフルサイボーグ秋草加世の人造生命体だ。
『A〜L』にだってできないはずがなかった。

ボランティア少女たち由紀と有希とリナの3人は顔を見合わせて苦虫を潰してしまったような顔をしてしまった。
リナが言うにはなんでも理論上は精子レベルの大きさになった場合〇ー〇ーマン並みの力を発揮できるらしい、知らんけど。
「ジャンケンですね」「サイコロね」「そこはあみだくじで」
3人の意見が分かれたが紙や筆記具もサイコロもないことからジャンケンで決めることにした。
「ジャンケンポン、あいこで・・・」
勝負は最初の一回で決してしまった。代理由紀の一人負けだった。
代理由紀は今日ほど自分の不幸を呪った日はないだろう。
代理由紀はしばらく悩んだ後に自身の身体を1ミリ以下までに小さくした。
そして中年科学者のズボンの裾から入り込むと全速力で駆け上り寄生虫、じゃなくて美少女の棲み家への入り口、正しくは尿と〇〇の排出口から尿管に潜り込みそこに居座っていた美少女、あいつと対峙して一瞬でそれを退治した。
代理由紀達、20人がサニークーペに戻ると亜希の胎は大変な事になっていた。やはりいつ破水してもおかしくないような大きさまで膨れ上がっていたのだ。
「するか」
亜希には早速ティッシュ箱を投げつけられてしまった。
今、彼女のお腹の中の人口は早くも3万人を突破したそうだ。
このままでは彼女自身の身が持たないし私たちが連れてきた高齢科学者とその孫2人がサニークーペの車内に入らないために一工夫をする事にした。
例の暗殺部隊12人は取り敢えず亜希の精神、正確には少女Aや風間志乃、など数十人分の精神複合体なんだけれど実は亜希が花奈と加世の娘である事を隠して取り敢えずそっちと合体してもらう事にした。
そうする事で亜希自身の身体の状態も安定して胎の中の3万人越えの胎芽、じゃない被災者らも安全な状態になるそうな。よくわからんけど。
ただ問題はボク達、ボクと有希、そしてリナの3人が亜希の胎の中に戻ったとしても焼け落ちた豪邸から連れてきた中年科学者と彼の孫娘の3人をどうするか?だった。
どう考えてもこの狭いサニークーペにそんなにも乗れるわけがない、しかも生きている人間じゃ亜希の胎の中に入れることはできないし『L』達のように精神的に合体することも不可能らしい。
「いっそのこと一回死んでもらうか?」
楓凛は冗談めかして言ったがそれは2度とまともな人間として活動できなくなる事を意味する。
家主である亜希の胎の中でのみ、普通の人間を振舞って生きられると言うだけのことらしい。

それは亜希たちの思い込みで実は科学者はともかく人造生命体であるふたりの女児たちが自分たちに与えられた人造生命体を上手く乗りこなせるようになれば生きていた頃よりもはるかに自由かつ高次元な生き物として生きてゆける。
しかしそれはあくまでもフルサイボーグ夏乃花奈とフルサイボーグ秋草加世が生きていればこその話だ。
2人のどちらかに依存している人造生命体はそれぞれの本体が破壊されれば被災者たちは全員瓦解してしまう。
つまり死んでしまうという事だ。

みんなが困り果てた時に一台のオフロード系のミニバンが河原を上流方向から近づいて来た。
運転していたのは運転席の上で立って運転をしている幼女、つまりこちらの世界のリナだった。
「たかいびるはひっくりかえるし、でんしゃはだっせんするし、くるまはびりやーどはじめるし、そこらじゅうひのてがあがってそこらじゅうわ」
彼女はそう言うと後ろのセカンドシートで寝息を立てている少女とまだ幼い半ズボンの少年、そして多分アンドロイドを見た。
だって身体の一部か明らかに金属製の機械丸出しだったから
しかしどうやって来たんだろうか?
そっちの方向には地震による崖崩れなどによる崩壊でマトモな道は残っていないと思われた。
「どうやって名古屋から来れたんだ?」
当たり前の質問を楓凛はリナにきいた。
「どうしたもこうしたも、きがついたら、ちかちゅうしゃじょように、とめてあったはずの、まっはごうの、なかにわたしがいて、すごくしかいがぶれたとおもったら、こんないなかのやまのみずのないかわのなかにいて、うしろではあいと、わたしがつくったしいなと、しらないおとこのこがねているし」
なんか要領を得ないぶっ飛んだ説明だった。
「わたしは、ぜんざいさんをはたいて、ぱんけーき、ひとつへらしてもらって、8枚しか買えなくて、それでもおいしくたべていたの」
ちょっと待って、全財産って5歳の幼児だろそれが何で我慢するとかしないとかの話になるんだよ?
「どうせおもちゃ付き幸福セットだろリナのカードは確か5000円までは買えたはずだけど」
と楓凛。
後ろの席では風間達也さんが何やら不機嫌そうにしている。
「おいおいそれなら12個は買えるじゃねえかよ、それにしてもよくそんなにも食うな、ガキのくせに」
「いつの値段の話をしているのよ」
早速、亜希に突っ込まれていた。
多分コチラの世界のリナも昔の感覚で買おうとしてしまったのだろう。
自分の意識がまだ母親である前田愛理の中にあった時の記憶の値段で。
「それは私がまだ小さかった頃の話、今は税込600円なの!」
亜希はそう言うと窓越しにミニバンのセカンドシートで眠る愛を見つめていった。
「ほんっと、愛の能力は自分が使いたい時にはほとんど役立たずで自分の意志とは関係なく突然に無制限で使えちゃうのよね」
リナの危機を直感で感じて『願望達成能力』を暴走させて彼女と彼女の愛車である魔改造パジェロを無意識に転送してしまったと言うことか?
「それはどうかとは思うけど助けた中年科学者は魔改造パジェロの助手席に乗って、その小さい子2人はサードシートに後ろのリアハッチドアから入れて」
亜希に言われて2人の男は渋々動く、まあ風間達也さんにしてみれば赤の他人だからわかるけれど2人の女の子の祖父であるはずのこの男の動きが緩慢なのは理解できなかった。
「他に家族の方はいなかったの?」
と問いかけた亜希に対して原寸大のリナは魔改造パジェロから降りて答えた。
「あんたのおなかのなかにいるいせかいリナにいわせるとどうやらまっさきににげだしたんじゃないのか?ってはなしみたいよ」
コチラの世界のリナはそう言いながら後ろを振り返りサードシートに乗せられて気を失っている2人の少女を見つめた。
何故か亜希の中のリナは亜希はもちろん、ボランティア少女のうちのふたり、有希や有希に対しても口を閉ざしてしまっていた。
さっきの火災現場で嫌な気配を感じ取ってしまったようだ。

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@予定通り浜岡原子力発電所の臨海爆発事故

「お、おい、この車なんで宙(そら)を飛んでいるんだ?」
亜希のお腹を通して今、彼女の胎の中にいるボランティア由紀、こと楓山由紀と同じく楓山有希そして異世界人のリナだけ限定でこの車、魔改造サニークーペを運転している楓凛の驚く声が伝わってきた。
ちなみに他の避難民達には申し訳ないけど、今の状況が伝わると不安を煽るだけなのでブロックしてあるそうだ。
そのかわり箱根湖をゆったりと渡る観光船の映像と心安らぐ音楽を流しているらしい。
某恋愛シミュレーションゲームを題材にしたアニメが放送出来なくなった時に代わりに放送されたあれに似たようなものだ。
ちなみにこのサニークーペが空を飛んでいるのはいわゆる『念動力』の類とは少し違う。
車体下の空気、窒素を少々エネルギーに還してそのエネルギーで空気を熱膨張させてそれを浮力にして飛んでいる。
もちろん後方の窒素をエネルギーにかえせば加速出来るし方向転換も制動も思うがままだ。
「ちょっと静かにして、飛んでくる火山弾とか避けながら着地場所を探してるんだから」
亜希の声。
「リナ、これは想定内なの?あまり驚いていないように感じるけど」
亜希は自分の胎の中にいるミリサイズのリナに問いかけた。
しかし今ここにいるリナは偽物のボランティア少女が代理を務めているただの女子中学生だ。
わかるはずがないから付け焼き刃で適当に答えている。
「さすがにここまでは、富士山かその周辺の火山の噴火はある程度なら予想していたけど」
けど、って何?
富士山の噴火ってその程度の出来事なの?、ボランティア由紀は少なからず不安になってきた。
「今、高度は約500メートル、御前崎市方面に飛行中」
突然、後部座席の亜希と風間達也さんの間に座って気を失っていた少女がボソリと言った。
【この少女の名は冴子という】
【元を正せばアンドロイド椎奈の中に2体存在するコアのうちのひとつが3体まで創り出せる人造生命体のひとりだ】
【ちなみにもうひとつのコアは椎奈自体でいま、パジェロロングに乗っている椎奈とは別に2体のアンドロイドを作れるがこっちはまだシークレットだ】
これらの会話はどこからともなく亜希と楓凛と冴子のみに伝えられて来た。
「な、なんだってそんな方向に」
楓凛の声がした。
「気になることがあるの、浜岡原子力発電所をすぐに探して」
冴子は起き上がって席から立つと「やっぱり」と呟いた。
一体なんのことかわからなかったが風間達也さんのセリフで理解した、いや理解したような気になっていた。
「建屋が5つとも真っ赤に燃えてやがる、さっきの火山弾の直撃を受けて5つとも炉を破壊されてメルトダウンしたのか?」
「ちょっと待っていくら再稼働しているといっても1号機と2号機はもう運転を終了して再稼働していないはず」
信じられないと言いたげな亜希の声がした。
「いいや、実際にはあれは世間に対する言い訳だったんだ、本当は国民には内緒で稼働を続けていた」
楓凛は苦々しく口を開いた。
【少し前、2024年頃に静岡県産の椎茸から基準値を超える放射線が検出されて輸出国からの積み戻しがあったよ?、浜岡原子力発電所の原子炉が全て稼働を停止してからもう15年近く経つといいうのになぜそんな事になるのかなぁ?考えられる理由は本来なら廃炉作業に入っている筈のポンコツ原子炉が延命作業を受けて再稼働をしているとしか考えられないでしょう?】
楓凛と亜希に最重要機密鍵付きのテレパシーが送られて来た。
【つまりは『伝説の魔女』という名の東海村に風俗店を出していた沙芽と明美、そして咲たちが調べていた2〜6年前の時の東海第二や常陽のように炉自体は改造されてナトリウム冷却炉として再稼働していたというわけね、しかも目的は発電じゃなくて核兵器生産用の原子炉として】
急に意味不明なメッセージが送られて来た。
それは楓凛はもちろん亜希さえ知らない隠蔽された歴史だった。
その頃、1999年から2009年にかけて奇妙な精神病が東海村で発生して多くの児童や少年少女たちが性犯罪に巻き込まれていたことも隠匿されていた。

しかし今の亜希たちの眼下にある浜岡原子力発電所は実際には臨海爆発事故など起きておらず視覚的に人造生命体有希が欺いているだけのことだったがそれでも多少の放射性汚染物質漏れは元々1、2号機の原子炉がナトリウム冷却炉として再稼働を始めてから続いていたようだ。
さすが『スゴいぞジャパンクオリティ』としか言いようがない(もちろん誉めていない)

「もともと1号機と2号機に関しては40年経過する前の西暦2009年1月30日時点で運転を終了した、年数に関係なく早期に運転を停止した理由は地震に対する懸念があった」
と楓凛は切り出し始めていた。

「え?あれは確か1976年からの稼働のはず、よく考えたら40年ルールでも2015年までは可能なはずだけど、てっきりロスタイム制度の導入とか20年延長制度を考慮すれば2040年までは可能なはず?」
亜希が疑問を挟んだ。

「そう、例えば茨城県東海第二原子力発電所は1978年11月からで形式は同じく沸騰水型軽水炉(BWR)、そして浜岡原子力発電所の1号機は1976年3月17日 、そして2号機は1978年11月29日、そして3つともに沸騰水型軽水炉(BWR)、ところがどういったわけか浜岡原子力発電所の1号機と2号機は2009年1月30日に運転終了した事になっている、しかしかたや東海第二原子力発電所はいまだに廃炉の話もなければ運転終了の話もない、どうしてこうなるんだろうね?」
楓凛は亜希たちに疑問を投げつけた。

「まあ運営している電力会社が違うから考え方も違うと思うけど、多分東海第二の方はたった1基しかない原発だし浜岡の方は5基あるうちの2基だから廃炉しても問題ないんじゃないかな?」
風間達也は再び使えるようになったスマホでそれぞれの資料を比べながら言った。

「なるほど、確かに浜岡の第1と第2はそれぞれ54万キロワットと84万キロワット、それに比べて東海第二は110万キロワットと結構違うな、それが運転停止の理由か?」
亜希は自分を納得させるように言ったがまさかそれで本当に納得しているようには見えなかった。

「そう、実は理由はそれだけじゃない」
楓凛は続けて言った。
「安政東海地震の際に浜岡原発がある御前崎は震度7と最も危険な領域だったよ、浜岡原発はフィリピン海プレートの境界の駿河トラフに近接しているのさ」

「確か原子力発電所によるけど震度4で非常停止がかかるところもあれば震度5でも非常停止しどころか通常作業による停止もなかったところがあるとか?いつかの伊方原発付近を襲った地震でも止まらず安全に動いていたと当たり前にニュースで流されていたな、近くに震度6の場所があったのに伊方だけは震度が発表されなかった、コレは警察仲間じゃ常識だったがほぼ住民の全員に原発事故があったことは知らされていない、なんせあそこにあったプルサーマル炉がメルトダウンしかけていたからな」
と達也。

「浜岡原子力発電所に関しちゃ東海地震の震源と予想される領域のほぼ中心にあるんだ、東海地震が単独で生じた場合、M 8、震度6、一部が震度7、総じて海岸部は震度6強から7と思われている、ただし、東海地震は1854年の安政南海地震のように東海・東南海連動地震となったケースや、1707年の宝永地震のように東海・東南海・南海連動型地震となってしまう可能性も高いと予想されていたんだ、これが生じた場合にM 9の巨大地震となるという可能性が報道されていたんだよ」
と楓凛。

「そういえば名古屋駅周辺の高層ビル群が次々と将棋倒しになったと聞いた、それだけじゃなくてリニアが深層地下を通っている辺りの高層ビルも被害が酷いみたい、今回がそのケースかな?」
亜希が名古屋方面を見ながら言った。
亜希は無意識のうちに『鷹の目』を使っているのかもしれない。

「しかも太平洋戦争後半世紀に渡り小康状態であった日本列島全体が地震活動期に入りつつあるとの主張もあった」
と楓凛。確かに1964年の新潟地震を皮切りに地震が増えているのは確かなようだ。
「それでも『隣国が攻めて来たらどうするんだ』と騒ぎ立てている自称愛国者や自称保守派には閉口する」と誰かの思念。

「浜岡原発の立地する地盤は相良-掛川層群比木層 という砂と泥からできた地層であり、工学的には軟岩に分類されていた、その脆弱性を指摘する文献もあったよ」

「尾張平野みたいなものかのお?」
これは明らかにあの孫に会いにタキオン1号に乗って事故に遭って命を落として、図々しくも亜希の胎(仮想子宮)の中に入って来た高齢男性の声だった。
「濃尾地震とか言ったかのぉ」

「そうね、私はあの時たまたま地方市長選の応援に主人と一緒に稲沢の国府宮に行っていたのよ、今の子達は信じられないかもしれんが家が次から次へと横に流されてひしゃげる様に潰れてゆく様はとてもじゃないが恐ろしくて見ちゃいられなかったよ」
リナが思い出したかのように言った。

「わしは子供の頃にばあさんに聞かされた話じゃったが今でも半信半疑じゃ」
とリニア事故で亡くなった高齢者さん。
いや、人造生命体の身体を与えてもらって亜希の胎ののかにいるから死んではいないのか?

「それ知ってます、液状化現象というやつですよね?理科の実験でやりました」
ボランティア少女のひとりが言った。
どうやら本物の高齢者とロリババアと本物のJCの話が噛み合っている奇妙な状況のようだ。

「さらに産業技術総合研究所活断層研究センター研究員の藤原治さんと北海道大学教授の平川一臣さんの2007年の行った発表によれば、『2005年から2007年にかけて浜岡原子力発電所東2km地点計8か所でボーリング調査を実施し堆積物を調査した』ところ、『8000年以上前から100 - 200年周期で東海地震が起きていることを確認』して、それと同時に、『従来想定される東海地震とは別タイプの大規模地震が約4800年前、3800 〜4000年前、2400年前の計3回発生していることを確認した』という事だ」
と楓凛、さすがルポライターと言いたいところだが、今まで1200〜1400年周期で起きていた地震が今度は2400年ぶりにやって来たという事なのかもしれない。
「つまりこれは人工地震だったとしても今までの2回分のエネルギーを解放させただけという事だと志乃が言っていたわ」
亜希の隣(となり)に座っている幼い体つきの少女が言った。

「ちょ、志乃って、この娘、急に何を言い出したの?あの女、1年近く前に私の目の前で大型拳銃で背中から心臓を撃ち抜かれて死んでいるのよ?」
亜希は驚いて冴子と名乗る少女を見た。
一見体つきは10〜12歳くらいしか見えないがどうやら何回も性犯罪の被害にあっている記憶があるようだし本当は亜希と同様に冴子も年齢不詳かもしれなかった。

「さらに、2400年前以降もう一度大規模地震が発生したとみられることから、藤原さんは『1000年前後に1度、より大きな地殻変動を起こす地震があることが分かった』としていたようだね」
と楓凛。
良かった、2400年分の歪エネルギーが解放されたわけじゃなかったようだ。

「実はその時の地震規模は大したことがなかったとも聞く、資料がほとんど残っていないからね、そして石橋克彦さんも本発電所の立地する旧浜岡町で発生した安政東海地震の震度を史料からり推定する過程において、同じく地震研究者の宇佐美龍夫さんが長年に渡り複数回発表してきた震度推定を再検討したのさ、その結果、根拠となる一次資料に遡る(さかのぼる)と具体的根拠が乏しい旨(むね)を指摘しており、浜岡町佐倉以外の周辺地点での記録からは軒並み震度6と判定するに足る破壊の記録が残されていること、佐倉にて地層の差による優位性が見出せないことなどを明示していたのさ」
と楓凛は言った。
要はこの辺じゃ1000年に1度のペースで震度6以上の地震なんて当たり前に起きている事を指しているのか?

「地震学者の茂木清夫さんも2004年、週刊誌に発表した記事で原子力発電所の耐震設計指針で規定された上下動の水平動に対する2分の1規定に次のような批判をしていたのさ、『阪神・淡路大震災で石が飛んだ』という話を紹介した、『石が飛ぶということは上下方向に約1000ガル以上(阪神大震災では818ガルを観測)の加速度があったことを意味し、2分の1どころか、水平方向の地震力にも匹敵する大きな振動もありうる』と想定し、1、2号機は耐えられない旨断定した」
と楓凛は言って続けた。

「つまりこれが浜岡原子力発電所の1号機と2号機を公式発表上廃炉に追い込んだ本当の理由ということになるね」
楓凛は言ったが何か腑(ふ)に落ちない表情をしていた。

「また、もんじゅやロケットの打ち上げ失敗を例に、技術立国と言う過信に依存する日本の大衆一般の思考そのものを批判していた」
まあ要するに第二次安倍内閣から台頭し始めた『日本スゴイ的な思考停止パターンもそのひとつかもしれなかった。

「元東芝で原子力発電の格納容器の耐力研究をしていた後藤政志さんも格納容器の耐力には限界があり、2007年の新潟中越沖地震で柏崎刈羽原子力発電所に993Galの震動があったことを聞き、『原子力は止めるべきだと思った』と語っていたのさ」

「実際には国際原子力機関(IAEA)のモハメド・エルバラダイ事務局長は、地震発生後に調査協力の用意があると表明した、しかし日本政府はIAEAに調査団の受け入れを当面見送る意向を伝えたんだ、もちろんその時の政権は民主党であるはずもなく自民党だった」

「しかしその時に新潟県知事だった泉田裕彦さんは7月21日、『IAEAの調査が必要だ』との考えを強く表明、原子力安全・保安院はIAEAの調査を受け入れると7月22日に発表したんだよ」

「しかし8月14日にIAEAは予想より被害は少ないとの報告を行っており、同機関による事故評価レベル0から7までの8段階のうち『0(尺度以下)』であると表明した」

「それはおかしくねえか?俺の娘、志乃が内部に侵入して調査した時の事を殺される数日前に俺に話した内容と食い違っている、メルトダウンにこそ繋がらなかったが前髪だけ伸ばした刈り上げ少女と侵入した時はそこらじゅうの冷却水用配管が破断していたと聞いている、さすがに4とか5はないかもしれないが0(ゼロ)はあり得ない」
中出し刑事達也にしては珍しく感情的に言った。

「それには『設計時の予想を超えた加速度』が関わっていると思うぜ』
さっきから楓凛は男っぽい発言をしているが見た目は少し筋肉質だがグラマスでセクシーな肉体美の女性だ。

「電力会社から発電所本館に設置されていた地震計の記録が発表され、それによると観測された記録は、耐震設計時の基準加速度を上回っていたのさ」

「その後、3号機タービン建屋1階で2058ガル(想定834ガルの2.5倍か?)、地下3階で581ガル(想定239ガルの2.4倍か?)、3号機原子炉建屋基礎で384ガル(想定193ガルの約2倍か?)を観測したとの発表もなされた」

「こうした地震の影響を受け、柏崎市長の会田洋さんは、電力会社に対し『1-7号機のすべての貯蔵タンクなどを対象として、消防法に基づく緊急使用停止命令を出した』また、経済産業省も同社に対して、耐震安全性が確認できるまで、原子炉の運転を再開しないよう指示を出した」

「そしていつもの風評被害の発生問題だよ」
楓凛は苦虫を潰したように言った。

「今回の地震では放射性物質の漏れは健康に問題があるとされる量を遙かに下回っているとされる が、たび重なる報道により、観光・漁業・農業などで「買い控え」がおきると言った二次的な風評被害が発生している」

「地震後の優先順位は電源確保が最優先され変電機の火災(煙)に対する消火は地震発生時全体に比べ危険度は微々たるものであったが、メディアなどで煙をあげる変電機の映像を繰り返し、正確さよりも事故の危険性を煽ることを中心とした報道がなされた」

「その時は取るに足らない問題だったかもしれない、しかしそれから14年は経過した能登半島大震災でも志賀原子力発電所の変電機が2機壊れて遠く離れた柏崎刈羽原発でも再び変電気の火災は起きた、原因は取るに足りない21世紀に入ってからの日本では当たり前のように起きるようになった検査結果の改竄(かいざん)によるものだった」

「そうだね、どちらも稼働していなかったから大事には至らなかったもののその変圧器から漏れた油は海洋に流れた、放射性物質の漏れはなかったと言うが誰が信じるのかな?その時は国も県知事も口を揃えてボランティアに行くなと言い、呆れた事に志賀原発付近はしばらくの間飛行禁止、ドローンの空撮さえ禁止で、火災発生の噂だけが独り立ちして流れたようだね」
亜希はつぶやいた。

「もうみんな知っていると思うけれど日本の安全基準は海外からしたら論外と言うことになっている」
楓凛が言うとさらに続けた。
2007年の新潟中越沖地震ではあまり大きく報道されなかったけれどいくつもの不祥事が発生しているんだよ」

「まず最初に『低レベル放射性廃棄物の入ったドラム缶400本が倒れた。うち39本のドラム缶は蓋が開いており、床の1カ所で微量の放射性物質汚染が確認された』と言うが微量がどの程度のものか数値が出ていないことにはなんとも言えない、何しろ日本という国は水俣病やイタイイタイ病、四日市ぜんそくなどメチル水銀やカドニウム、硫黄酸化物などの原因劇物を自分たちは特定しておきながら経済を最優先してのらりくらりと御用学者も利用して被害を甚大なものにして来た素晴らしい過去がある。
それは次にあげる他の事例でも明確だろう。

『* 6号機の非管理区域で、微量の放射性物質を含む水が漏れ出し、一部が放水口を通じて海に放出されていたことが確認された。東京電力は、これが、使用済み核燃料プールの放射性物質を含む水が原子炉建屋内の電線を通す管を通り下の階に流れ出たためであると報告した。』

「ハッキリと言わせてもらうなら『使用済みの燃料に直接触れた放射性物質を含む水が問題にならないレベルなわけがない」

『* 7号機の排気筒からは18日夜までの間、放射性ヨウ素の放出が検出された。大気へ放出された放射能量はヨウ素が約3.12億ベクレル、粒子状放射性物質が約200万ベクレルで、これによる線量は1000万分の2ミリシーベルト(0.0002マイクロシーベルト)と算定されている。操作手順のミスのため、タービンの軸を封じる部分から、復水器内の放射性物質が排気筒に流れ出たことが原因と報告された。なお、排気によって、主排気塔放射線モニタおよびモニタリングポストに有意な指示は確認されていない。』

「もうこれなんか呆れてものが言えないとしか言いようがないね、『大気へ放出された放射能量はヨウ素が約3.12億ベクレル、粒子状放射性物質が約200万ベクレル』、これの何処が微量なのか教えてほしいね、そしてそのあり得ないほど小さな線量はどうやって調べたのかも、大半は大気に放出されて何処に行ったかさえわからない、わずかに残った試料の線量を測ってなんの意味があるんだい?と聞きたいよ、そりゃ大半が広範囲に散らばっているだろうから海外のサッカーチームだって遠征を取りやめるしそれらに関してはニュースにさえならなかった、それがかえって大きな不信となるのが理解できなかったのか?」

『* 10月21日、点検中の7号機の原子炉建屋2階で、コンクリート壁にひびが入り、放射能を帯びた水約6.5リットルがしみ出しているのを、20日午後5時20分頃パトロール中の作業員が発見したと発表。水は幅約0.1ミリ、長さ約3.5メートルのひびから漏れていた。この時点で採取した水からは放射能は検出されなかった。しかし、21日午前6時段階で再採取し検査したところ、250ベクレルの放射能(放射能泉の約30立方cmに相当)が検出された。東京電力は、使用済み燃料プールが損傷している可能性の他、地震時にプールから溢れた水がひびを伝わって出てきた可能性なども含め原因を調査するとしている。』

「毎度毎度のインペイ工作にしか思えないね、後出しジャンケンというやつだよ、同じ場所から出た水がたったの12時間少々で変わるはずがない、検出されなかったんじゃなくて恐ろしくて近づけなかったために測っていないというのが正解なんじゃないのか?」

『施設内部は地震発生から5日後の7月21日には報道機関などに立ち入りが許可され、公開された。』

【もうこんな頃にはコンクリート壁の割れ目は封じられて放射性物質の漏れも放射線も検出不可能だっただろうね、風評被害が聞いて呆れるよ、ところでこの柏崎刈羽原子力発電所が再稼働した経緯をしていますか?】
いつものうざたてー口調は消えていた。

       ーーーーーーーー

市民団体「みんなで決める会」は、再稼働の是非について新潟県での住民投票条例の制定を求める署名運動を行うため、2012年4月から活動を開始した。
2013年7月に地元新潟県知事の泉田裕彦さんと、東京電力の広瀬直己社長の会談が開かれた。

ここで、泉田知事は

「なぜ再稼働を急いだのか、道路混雑などで物理的に県民が早急に避難を完了するのは不可能で、数日に及ぶ車中泊により被曝量は増大する」

などと具体例を列挙しながら東京電力の姿勢を批判し、再稼働を容認しない姿勢を示した。

会談後の記者会見では広瀬社長も「難しい。」と答えた。

これに対し甘利明経済再生担当相は、知事側が原子力規制委員会に安全性の判断させないと主張している点は誤解があると指摘し、原子力規制委員会の田中俊一委員長も、「申請が出されれば粛々と審査していく。」とし、「地元自治体との調整については規制委員会では関与しない。」と述べた。

その後、知事側も再度の会談に向け調整を行なっていく考えを示した。
2017年12月に、原子力規制委員会は6、7号機に対して新基準に対して適合性を示すと発表した。

地元合意などを経て、東日本大震災後の再稼働へ進む見込みである。

東日本大震災大震災後の新規制への適合性について、沸騰水型(BWR)として合格したのは本件が初めてである。
 

      ーーーーーーーー

「おいおい、あの賄賂と裏金の甘利明事案かよ」
中出し刑事が呆れたように言った。
モラルゼロの風間達也に言われたらおしまいである。

原子力規制委員会の田中俊一委員長も、デタラメとしか言いようがない。
「申請が出されれば粛々と審査していく。」とし、「地元自治体との調整については規制委員会では関与しない。」と述べた。
要するに万が一事故が起きた時は『てめえら自治体でなんとか避難させろ』と言いたいのだろうか?
亜希は内心ぶつぶつ考えながらその腹いせを仮想子宮の中のボランティア少女たちにぶつけて来ていた。

「話はまた浜岡原子力発電所に戻して良いかな」
楓凛はサニークーペの中の全員に聞いた。
筋肉むきむきミュージシャンはまだ意識を失っていたが

「耐震裕度向上工事に対しても懸念は表明されていた」

「石橋は2005年、本発電所で1000Galへの補強工事が発表された際『どこまで丈夫にしたら大丈夫なのかということは、はっきしているわけではございません』と公述した」
余裕を持って耐震設計をしたと言うがそれはあくまでもごく最近のデーターに基づいての事に過ぎなかった。

また原子炉へのリスク評価として『原発震災のリスクというものをきちんと評価して、その危険度の高いものから順に段階的に縮小する。必然的に古いものが縮小されることになると思います』と未曾有の巨大地震を前提とした耐震性へのランク付けの必要性を求めていたんだよ」
さらに続けて楓凛は続けた。

「そして原子炉建屋や個別の建屋が地震に耐えたとしても、プラント全体として冷温停止するための諸機能、つまり非常停止機能がきちんと機能するかどうか、そして原子炉自体を冷却し続ける機能の能力が維持されるのかという問題が『原子炉時限爆弾』などで指摘されていたのさ」

「さっき言った新耐震基準を反映させるためのバックチェック作業に対しても、想定地震が過小評価されていると批判する者が居たよ」

「新潟県中越沖地震の際、柏崎刈羽原子力発電所の解放基盤面より下の地下構造について十分に調査してなくて、地震後に改めて調査が行われ、2008年5月22日、原子力安全保安院にて調査結果が公表されたんだ、そのきっかけとなったのは渡辺満久は2007年9月に地球観測衛星『だいち』の合成開口レーダーのデータを分析した結果として『柏崎刈羽原発は活褶曲の真上にあるようだ』と発表したためだった、それで特有の褶曲構造が明らかとなった」

「それでも電力会社と原子力規制委員会は柏崎刈羽原子力発電所の再稼働を後押ししたんだ、地元住民の反対を押し切ってね、何かに似ていると思わないか?」
と楓凛。

「そうだな、沖縄の辺野古基地の強制建設に瓜二つだ」
珍しく中出し刑事達也がまともな事を言ったと亜希は思ったようだった。

「民意より利権ですね、あれは副総理が大株主となっていた建築会社が大きく関わっていたと聞きました」
冴子がつぶやいた。
『一体この娘の本当の歳は何歳なんだろうか?』
亜希は疑念を持ち始めていた。

「原子力資料情報室は基準地震動の3.8倍の地震波の襲撃を受けたことを引合いに出し、本発電所で実施することになった同様の地下構造調査でも柏崎刈羽と類似した褶曲、速度構造が見られるとの前提に立っていた、さらに、柏崎刈羽では原子炉建屋へ入力された地震波は地下岩盤内で推定された波より4 - 6割減衰した波だったけれど、浜岡では減衰効果は1割程度しか望めない、地下構造調査が全て終了した場合に基準地震動が新耐震基準に基づいて算出された800Galの2倍以上に修正しなければならない可能性を指摘して『地下構造の増幅効果次第で3 - 5号機の運命も決まる』と懸念を表明していた」

「なお、中央防災会議が想定する東海地震は2001年に見直され、アスペリティーの概念を導入、規模を拡大した(最大395Gal)が、原子力資料情報室はこれについても」

『注:アスペリティー
プレートの境界や断面層において特に固着している領域。地震の際に周囲よりも大きく滑り、強い揺れを引き起こす地震波を放出するとされている。』

  • 本発電所直下にアスペリティーを想定していない。

  • 安政東海地震を最大の歴史地震と想定している。

  • プレート境界面を深さを20kmと深く見積もっている。
    といった点を指摘し、地震動過小評価の元となっていると批判した。

「その3点こそが問題の矮小化につながっているのさ、つまりは火山団が命中していなかったとしてもこの辺の住民の放射線被曝による大量死は避けられなかった」

その時に楓凛と亜希の脳裏に川内原子力発電所が大爆発をするイメージが送られて来た。
それは違う時間線の2ヶ月後に波瑠沙芽の義弟が起こしたテロだった。

「もちろんだけど津波に対する懸念もあった、過去に東北太平洋沖地震で巨大な津波が発生して非常用のディーぜ発電機を全て壊滅させたのも福島第一原子力発電所の重大事故を招いた要因のひとつだったよ、他にも非常電源用の送電塔の倒壊や一次冷却水、とはいっても福一は沸騰型冷却水だから1次も2次もへったくれもなかったんだけどそれが原因で全ての炉が冷却不可能になったのが原因だったと聞いている、しかし伊方原発の事例を考えると本当に非常停止装置が働いていたのか疑問を持たざるを得ない」

「電力会社は津浪が斜面を駆け上がった過去の痕跡が最高海抜6mなことから、余裕を入れて斜面遡上の最高が海抜8mと見ている」

「それであんなにも巨大なコンクリート壁を建設したのか?」
亜希は口を挟んだ。
「日本人の愚かさの極みね、あんなもので津波をなんとか防げると思うなんて」
冴子がボソリと言った。
「まあその話は後にしよう御拡散として俺たちは歓迎されているようだ」
楓凛が言うとすでに亜希のセンサーは5機のF-35Bを察知していた全機が空対空ミサイルを2発ずつ計10発サニークーペに向けて発射して来た。
それらはあろう事か全てが500キロトンの戦略核弾頭付きだった。
【まっかせなさーい】
軽いノリの声が亜希の頭に響くと全てのミサイルが消滅していつのまにかセーラー服を着たツインテールの可愛い少女がボンネットの上に降り立っていた。
【下手に記憶されると迷惑だから爆発させよう】
今度は紺色ブレザーとミニスカート姿のふわふわパーマ少女がサニークーペのリアハッチドアの上に出現した。
「召喚対空ミサイル5発、5機のライトニングⅡを粉砕して!」
叫ぶと同時にそれらのミサイルはF-35Bの直前に出現して爆発させた。
いかにF-35Bのステルス機能や旋回能力が高かろうがそれを避ける事も、搭乗員が脱出することさえ叶わず爆発炎上して消えた。
自衛隊の完成基地からは突然にF-35Bの反応が搭乗員と共に一瞬にして消えたとしか感じられないだろう。
もちろんその搭乗員が今何処にいるかは内緒だ。

そんな外の様子を無視するかのように楓凛の話は続く。

「しかし石橋克彦は連動型の巨大地震となった場合、神奈川県相模湾から三重県の尾鷲付近まで2004年のインド洋大津波で見られたような巨大津波が発生する可能性を指摘している」

それはまさしく今回のパターンと言えた。
架空の部屋で異世界リナが予想した展開とも一致していた。

「また、2009年、文部科学省の研究により、東海・東南海・南海地震の3つの地震が生じた場合、同時発生の時、沿岸の海上波高がすでに3 - 6mも予想されていた、まさらに数分から数十分の時間差を置いて連動発生し、かつ最高の潮位となる時、御前崎付近(浜岡原発付近)などいくつかの狭い範囲では沿岸の海上波高が2倍以上となり、11mに達することもあり得るというシミュレーションが公表されたよ」
と楓凛

「それが高さ12メートル以上にも及ぶコンクリート防波壁の建設に関係して来たわけね」
亜希は呆れたように言った。
仮に高さ10メートル、幅が500メートルの津波だとしてもその厚みが1メートルや2メートルばかりじゃないのは小学生にだって容易に想像がつく。
少なくとも平均20メートル以上の厚みがあると考えたほうが良いだろう。
10メートル×500メートル×20メートル、つまり100万立方メートルの濁流が厚さがせいぜい数メートルのコンクリート壁を襲うわけだ。
その重量は軽く100万トンを超えてしまう。
それが勢いよく何度も押し寄せてくるのだからいずれは土台から倒されてしまうのは目に見えていたし、そのコンクリート壁が原子炉の建屋などを直撃するとは考えてもいなかったのだろうか?
その圧で倒れたコンクリート壁を津波は乗り越えてくる。
しかし問題はそれだけじゃなかった。

「発電所は砂丘と山で囲まれていて、ほとんどが海抜12m以上、一部10mであるが、敷地高は前述のように6m、5号機敷地でも8mである」

「また、広瀬隆は『原子炉時限爆弾』の中で、取水トンネル周辺地盤に対する脆弱性を取り上げ、トンネル破壊の可能性を指摘した」
淡々と楓凛は続けた。

「最悪の事態では津波により漂着物や船舶が取水塔に衝突、もしくは流れ着いた場合についても懸念を示していた」
確かに東日本太平洋沖大震災でも結構大きな船舶が鉄筋コンクリートビルの3階部分に突き刺さっていた衝撃的な映像を見た記憶があった。

「取水した水は大型の取水槽に導かれるため、直ちに冷却不能になることは無いけれど、広瀬隆さんは水槽自体も破損の可能性がある旨取り上げていたよ」

なお、吉井英勝が冷却水問題で質問したのち、中部電力は各取水槽間の水を融通することにも使用可能な連結管路を追加工事で確保したという。いずれにせよこうした事態が発生することによっても、プラントの各建屋が健全であっても冷却不能に至る事態が広瀬などにより指摘されている。
急性放射線障害・放射性物質拡散に対する懸念
本発電所の運転に危機感を抱く者は地震発生時、国際原子力事象評価尺度でレベル7相当、チェルノブイリ原子力発電所事故クラスと同等以上の事故が起こる場合を想定している。つまり、未曾有の本震により原子炉格納容器やその内側の原子炉圧力容器が破壊され、内部の放射性物質が相当量放出され、多数の国民が生命に危険なレベルで被曝し、放射線障害の発症に至る状態である。本発電所をモデルとした原発震災に言及している、上述の書籍では概ね取り上げられている。
放射性物質が拡散された場合、風況の面からは浜岡原発の風下が首都圏・関東地方全域にあたり、一方で中京地帯にも近く、南西の風が吹くことも多い。関西地方も風の状況によっては例外ではないとされる。ここで放射性微粒子が放出されると、首都圏を中心に膨大な人口が居住する域が避難区域となり、水源の汚染などによって居住不可能になるとされる。事前に入念な防災計画を定めても、被災者への自由な救出活動などは期待出来ず、計画すること自体無駄な状況となる。
また、これらに風評被害など含める場合もある。

問題は1000ガルという数字の大きさにあった。1、2号機の場合800ガルまでならば、補強工事の期間、費用ともに限定的であり、採算上も実行可能であったが、1000ガルの場合、費用の桁がひとつ跳ね上がることが検討を通じて判明した。特に大きな費用を要するのが、原子炉建屋の免震構造化であり、1000ガル対応のためには必要不可欠と分かってきたのは2008年7月頃のことだった。免震化のためには建屋の横から穴を掘削して土台を構築する必要があった。中部電力独自の強度試算では、1000ガルの地震動であっても、1,2号機の主要な原子力機器には問題が生じないとの結論を得ていたが、結局、下記のような経済性比較から、リプレースを決定した。

  • 1,2号機原子炉建屋補強工事:各1500億円、計約3000億円

    • 内訳:免震化等建屋補強工事計1500億円、縦揺れ対策補強工事計1200億円、シュラウド交換工事計300億円

  • 6号機新設コスト:約3500億円

  • 1,2号機廃炉コスト:約900億円(原子力発電施設解体引当金から拠出)

  • その他、ABWRを基本設計とする6号機の出力が1,2号機の合計出力にほぼ等しい点、2機→1機に統合と設備近代化によって運転員数が削減できる点などがリプレース案を有利なものとしていた。

  • (参考)3-5号機補強工事費:1機当たり数10 - 100億円

「まあ津波でぶっ倒れたコンクリート壁はともかくとして耐震基準は合格だったんじゃないの?」
亜希は楓凛にきいた。
「ところがそうでもなかったんだよ、これは柏崎刈羽原子力発電所にも言える事なんだが場所による加速度の違いが施設全体に捩れ(ねじれ)を生じさせる問題が発生するんだよ、例えば柏崎刈羽原子力発電所の場合だけど」

楓凛は一息ついて続けた。

「3号機を例に挙げると『3号機タービン建屋1階で2058ガル、地下3階で581ガル、3号機タービン建屋1階で2058ガル』となっている」
「それの何処が問題があるんだ?」
と中出し刑事風間達也。

「いいですか、3号機タービン建屋1階の揺れ加速度が2058ガル、そして、3号機原子炉建屋基礎で384ガル、これが何を意味するかわかりますか?」

達也はしばらく考えてから「わからん」と言った。
もちろん最初から何も考えていないのだろう。

「いいですか?原子炉は重くて頑丈なので大地の揺れにあまり影響を受けません、しかしタービン建屋は軽くて柔軟に出来ているので激しい揺れに対して追従し易いです、そこに地震計を設置すれば加速度が大きくなるのは当たり前なんです、それに引き換え原子炉建屋は頑丈で重く揺れにくい、なので加速度もかなり低くなります、このときに、特に沸騰型軽水炉では何が問題になるですか?」
楓凛にしては珍しく相手を立てるききかただったがやっぱり達也は「わからん」と言った。

「要するに原子炉建屋とタービン建屋の間に大きなねじれが生じると言いたいんでしょ?」
と冴子が口を挟んだ。
「ねじれってなんの話?」
人造生命体由紀が疑問をはさんだ。
「つまり縦にしろ横にしろ加速度の大きい、小さいは施設の破壊に対しては大した問題じゃないんだ」
楓凛は自分の両掌横に並べて立てて見せた。
亜希と冴子、そして中出し刑事の達也から見たら楓凛の左手は手の甲、右手は手のひらが見える状態だ。
「例えば横揺れだとこうなる」
楓凛は両手を3人から見て前後に揺らして見せた。
最初は緩やかに、そして徐々に激しく揺らせた。
「今見ての通り実は加速度自体はあまり原子力施設の破壊力にはあまり影響を及ばさない」
そして今度は左手よりも右手の方を速い速度で振って見せた。
すると最初のうちは左手、手のの甲と右手、手の甲のずれは小さかったが次第に多く苦なってその差は揺れ幅と等しくなってしまい、やがてその差は小さく収まっていった。

「これは縦揺れに関しても同じことが言えるのさ、こうなると原子炉建屋とタービン建屋をつないでいる配管はあっという間に破断してしまう、問題は何千Galまでの加速度に耐えられるか?じゃなくて建屋同士の揺れの周期の違いなんだよ」
楓凛は今度はそれを上下の動きで再現して見せた。
さっきと同様に右手と左手の動きのずれは次第に大きくなっていった。

「両建屋の間を繋いでいるのは原子炉の冷却水とそこで沸騰させた水蒸気を通す配管、その水蒸気でタービンを回して発電しなくちゃいけないから省略できないわね」
冴子は言って、さらに続けて言った。
「もちろん浜岡などの沸騰型軽水炉の場合、それが破断すれば漏れる水蒸気や冷却水は放射線を帯びているし放射性物質も含んでいるわ」

「マジで沸騰型軽水炉の方が加圧型軽水炉よりも安全だと言い切っているバカが規制委員を仕切っているみたいだけどそれだけでこの国は原子炉を稼働しちゃいけない根拠になるんだけどほんと馬鹿みたい」

「沸騰型軽水炉であれ、加圧式軽水炉であれ、タービン建屋と原子炉建屋との間には少なくとも2本の配管が通っている、タービンを回すための水蒸気を通す配管ともうひとつはタービン建屋の中で海水などを利用した熱交換器を利用して冷却をして復水をした水を通す配管」
楓凛は言うとその後を冴子が続けた。
「2つの大きな違いはその配管の中を通る水蒸気と水の違いよ、沸騰式は原子炉の冷却を兼ねて直接加熱して沸騰させた水蒸気、だから燃料棒にも触れているし放射性物質も含んでいる」
その後を楓凛が引き継いだ。
「それに対して加圧型は内部で加圧した冷却水を300度付近まで加熱して一旦熱交換器で別の冷却水を加熱させて沸騰させて水蒸気に変える、前者を1次冷却水と言い後者を2次冷却水というんだ、こちらは原子炉建屋とタービン建屋をつなぐ配管を通る冷却水は燃料棒に直接触れていないから例えそれが破断して水蒸気や復水が噴き出したとしても放射線漏れなどの問題も起きにくい、最も原子炉自体の冷却手段の問題は変わらないがどちらもやることは同じだ」

「彼らは構造が複雑になってコスト高になるのを嫌って沸騰型にこだわっているに過ぎないのよ」

「それにもうひとつ、今何処の加圧型軽水炉もやっていないが、原子炉建屋内部に緊急用の冷却水路を設けることも可能なんだ、何処もコスト重視でやっていないと思うけどね」
楓凛は付け足した。

さとみん「ねえ、私の出番はいつになったら来るのよ?」
アケビ「まだまだ先よ

さく「それで今回の参考資料は?」

https://ja.wikipedia.org/wiki/柏崎刈羽原子力発電所?wprov=sfti1

柏崎刈羽原子力発電所Wikipedia

https://ja.wikipedia.org/wiki/浜岡原子力発電所?wprov=sfti1

浜岡原子力発電所Wikipedia

https://note.com/masanoatsuko/n/nea1d020e2762

設計に欠陥のある柏崎刈羽の原子炉を廃炉にしないのか?

22

まさのあつこ 地味な取材ノート
2024年1月28日 16:10

以上を大量の妄想とウソで希釈して引用させていただきました。

#20才未満閲覧注意
#SFっぽく
#ハタチ未満はご遠慮ください
#ハルサメとナッツシリーズ
#過激な描写あります
#エログロ注意
#波瑠沙芽とナッツ
#小説

アダルト版カレンダーガー11 クソガキの反抗期3

終わり

アダルト版カレンダーガール12 枯れ尽くされた原発ムラ

にちゅぢゅく!

なんか間違えて未完成のをupしたようですm(._.)m

風間達也「なんか引用多すぎじゃないか?」

亜希「こっちの方はサニーもパジェロも空飛ばないかも、って言ってたらサニークーペ飛んじゃいましたね、次はモンスター秋子の出番かな」

愛「無責任なやつだな」

さとみ「あなたがでしょが」

花奈「次はおまちかねジェラート地獄なんだお」

加世「あ!偽物だw」

あつし「まさかの氷河期?」

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3字
有料部分を時々追加、更新します、円盤特典みたいなものと思ってください。

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