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(毎週ショートショートnote参加作品)初めての鬼

「さ、桃太郎。鬼退治に行っておいで!」

祖母に尻を叩かれて、桃太郎は急き立てられるように鬼退治に出発した。
旅のお供にと持たされたきび団子の香りが腰の辺りから漂ってくる。
しかし、行けども行けども犬や猿、キジは出てこない。

「何かおかしいな」

船で海を渡りながら桃太郎は頭に手を当て、これまでのことを振り返ってみた。

①周囲に村はなく、祖父母以外の人に会ったことがない。
②鬼がどんな風貌をしているのか教えられていない。見た目は怖くないらしい。
③桃から生まれた割に父母は桃が好きではなく、いつも何かの肉を食べている。
④トレーニングと称し、足腰の筋トレを厳しくやらされた。追いかける力を強化することが目的らしい。

考えていても仕方がないと自分に言い聞かせたのと島への到着は同時だった。

その時、港から叫び声が聞こえた。

「なんだあいつ!逃げろ!」

全速力で逃げる"初めての鬼”を見て、頭に生えたツノをつるりと撫でた桃太郎は鍛えた足で追いかけた。

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(410字)

たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。

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