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ウォーターベッドで寝転びたい。 映画「リコリス・ピザ」ネタバレ感想

こんちは、ねね氏です。
やっと仕事が落ち着きました。
ここから一ヶ月くらいは自分のために時間を使う余裕がありそうです。
映画のレビューが溜まりがちだったので、必死こいてセコセコ文章をまとめています。
さて、今回見た映画はこちら。

あらすじ

1970年代、ハリウッド近郊、サンフェルナンド・バレー。
高校生のゲイリー・ヴァレンタイン(クーパー・ホフマン)は子役として活躍していた。アラナ・ケイン(アラナ・ハイム)は将来が見えぬまま、カメラマンアシスタントをしていた。ゲイリーは、高校の写真撮影のためにカメラマンアシスタントとしてやってきたアラナに一目惚れする。「君と出会うのは運命なんだよ」強引なゲイリーの誘いが功を奏し、食事をするふたり。「僕はショーマン。天職だ」将来になんの迷いもなく、自信満々のゲイリー。将来の夢は?何が好き?……ゲイリーの言葉にアラナは「分からない」と力なく答える。それでも、ふたりの距離は徐々に近づいていく。ゲイリーに勧められるままに女優のオーディションを受けたアラナはジャック・ホールデン(ショーン・ペン)というベテラン俳優と知り合い、映画監督のレックス・ブラウ(トム・ウェイツ)とテーブルを囲む。また、カリフォルニア市長選に出馬しているジョエル・ワックス(ベニー・サフディ)の選挙活動のボランティアを始める。ゲイリーはウォーターベッド販売を手掛けるようになり、店に来た女の子に声を掛ける。ある日、映画プロデューサーのジョン・ピーターズ(ブラッドリー・クーパー)の家へベッドを届けるが、面倒に巻き込まれる。
それぞれの道を歩み始めるかのように見えたふたり。出会い、歩み寄り、このまま、すれ違っていくのだろうか――。

https://www.licorice-pizza.jp/# 公式サイト

きっかけ

ぜーったい見ないと思っていた映画。
そもそも、青春映画は、薄っぺらくて好きじゃない。
そして、このヒロインのどこに魅力があるのかわからない(ごめんね)。
なぜこのヒロインに一目惚れするのか。
でも、私の好きな茶一郎が、これがいいって言うから!!!

もう一本、「わたしは最悪。」は見る予定なので、次の機会に。
視聴前の期待値は★☆☆☆☆(星1つ)

感想(ネタバレ含む)

いやー、よかった。結果として、見てよかった。面白かった。ただの青春映画じゃなかった。
勝手な偏見だけど、日本の青春映画って、薄っぺらいか退廃的なものが多くて。
ハイティーン向けの、少女漫画原作で○ャニーズが出演しているようなきらきらフィルター映画は、結末が見えていて(その安心感がいいっていうのももちろんわかる)、内容がどうしてもわかりやすく薄っぺらく、安っぽい。
一方、内容を深くした、大学生から新社会人くらいがターゲットの映画は、すごく退廃的で、画面が暗くて、辛くなるような映画が多い。あの頃は良かった的な。
結局、どっちもその時の青春を過ごしている自分に酔っているように見えて、どちらもそんなに好きじゃない。
(ねね氏は、そういう感じの分かりやすい青春を送ってこなかったので、多少妬ましい気持ちもある。)

ただ、「リコリス・ピザ」はそういう恋愛一辺倒な薄っぺらい内容でもなければ、若い恋愛をいつまでも続けていられないことを悲しむ暗い内容でもない。
最後まで見ると、内容が恋愛のことだけでなく、いろいろな内容を盛り込んでいるからこそ、面白いのだということがわかる。(130分もあるからそれはね。)

そもそも、25歳のアラナと、15歳のゲイリー。
学校に写真を撮りにきた写真屋さんのアシスタントと、学校の生徒として二人は出会う。
ゲイリーはアラナに一目惚れし、アプローチをかける。
一方のアラナは本気にしないまでも、満更でもない。
ゲイリーは自分は俳優だから、と言ってアラナを現場に連れて行くけど、もう子役にしてはとうが立っている年齢。
子供の頃には笑ってもらっていたようなジョークも何だかウケが悪くなり、他の仕事も入らない。
そんな面が見えて、ゲイリーよりも他の俳優に目がいくアラナ。
そして、それを見て嫉妬するゲイリー。

ゲイリーには流行のもので商売する才能があって、ウォーターベッドを販売することを考える。
そして、アラナをビジネスパートナーにして仕事を始める。
ゲイリーの店は大繁盛。ゲイリーの年齢に近いお客さんも店に来る。
ゲイリーがそんな女の子と話をしているのを見て嫉妬するアラナ。

ゲイリーもアラナも、それぞれお互いがお互いのコンプレックスを刺激していて。恋愛関係になるのは犯罪で、最後の一線を超えられなくて。
プライドも邪魔するもんだから、一番近いところにいるのに、いつまでも恋人同士になれない。

オイルショックの波が来て、ガソリンやらベッドのビニールやらの価格が高騰。
運送用のトラックのガソリンがなくなり、トラックが動かなくなった時。
今後どうするか頭を抱えるアラナと、ガソリンのタンクの給油ノズルを股間に当てて、こすってふざけて遊ぶゲイリー。
もうそこで愛想を尽かしてしまったんだろうな。
アラナは市長選に臨む議員の秘書をしている知り合いに連絡を取り、事務所でバイトをさせてもらうことでお金を稼ぐ。
でも、ゲイリーは自分よりも仕事ができる議員や秘書と仕事をして、満更でもないアラナを見ているのが耐えられない。


ゲイリーはピンボールマシンが解禁になる噂を聞きつけ、ピンボールバーの経営をするのを思いつく。
アラナはハイソな仕事をしている今の状態をやめたくないし、ゲイリーはピンボールマシンで一儲けできるのに自分についてこないアラナが信じられない。
お互いに決別する。(これじゃ終わらんよ。続きがあるよ。)

男と女、10歳差だと、これほどに考え方や好みに違いが出るのかと。
わかるー!!!って思うことが多い映画だった。
これはきっと誰もが感じたことがある感覚な気がする。
それから、1970年代という時代設定。
まだマイノリティがすごく抑圧されている。
自由に生きているようで、まだまだそうじゃない。
また、アラナはユダヤ教徒で、すごく真面目で敬虔な両親のもとに生まれた。
でも、アラナはそんな堅苦しい家があまり好きじゃない。
いろいろな要素を詰め込んだ『青春映画』でした。

評価

視聴後の評価は☆☆☆☆☆☆☆★★★(星7つ)
日本とアメリカで、同じ青春映画でもこうも違うのかと。
成長するってこういうことだぞ、思春期から大人になるってこういうことだぞ、がよくわかる映画でした。
主人公二人の気持ちにすごく共感できる、若さ特有のギラギラ感を味わった。
予告だけで判断してやめちゃっている人にはぜひ見て欲しい一本でした。

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