ただ、安心して生活したかっただけなのに。 映画「FLEE」ネタバレ感想
こんちは、ねね氏です。
ねね氏の住む雪国も急に暑くなってきて、手元に冷たい飲み物があるのが嬉しい季節になりました。
毎年アイスを食べすぎて、食欲が減退するので、今年は気をつけようと思います。(毎年言ってる。)
さて、今回の映画はこちら。
https://transformer.co.jp/m/flee/
あらすじ
きっかけ
今回の映画も予告で。
このアニメを見ていると、日本のアニメ技術の凄さを感じます。
日本のアニメってヌルヌル動くし、線は細いし、イラストは綺麗だし。
予告だけでも見てもらえればわかるんですが、このアニメはすごくカクカク動く。
アメリカのカートゥーンの方がまだ動きが滑らか。
また、何の話なのかが予告だけだとわかりづらい。
これが難民の話で、アカデミー賞ノミネートと書いてあったからある程度興味をもって見に行きました。
視聴前の評価は☆☆☆★★(星3つ)
感想(ネタバレ含む)
みなさん、難民ってどういうイメージがありますか?
密入国者は??
ねね氏の正直なイメージは、道路とかにたむろしていて、勝手に店先から商品を万引きして、暴動を起こすイメージ。
また、静かに暮らしていても、元々住んでいた国民の仕事を持っていくイメージ。
ルールを守らない存在で、居るだけで治安が悪くなる。
非情だけど、そんなイメージを持っていました。
日本は島国なので、難民が来ることは珍しく(今はウクライナから亡命してきている方が来ているそうですが)、あまり自分ごととして捉えていませんでした。
でも、難民って本当はそのまま家で生活していたかったのに、国の事情で家を捨て国を捨て、住む場所を探さざるを得なかった人たちなんですよね。
仕方がないとはいえ、すごく不幸。
日本に生まれて(意見はさまざまあるとは思いますが、少なくとも私は)幸運だと思いました。
さて、主人公は、アフガニスタンに住む少年アミン。
そんな少年が大人になって、自分の経験をひたすらインタビューされるという映画。
名前も顔も変え、アニメーションにしたのは、本人のプライバシーの保護もあるんだとか。
本国にバレちゃったら、送還されかねないからね。
お父さんが反政府の思想を持っているということで、幼い頃に連れて行かれたまま帰ってきていません。
姉が二人、兄が二人、お母さんの6人家族で暮らしています。
戦争が激化してきて、10代の若者は徴兵の義務を課せられています。
上のお兄さんは徴兵から逃れるため、戦争から逃れスウェーデンに亡命。
下のお兄さんも警察に連行されそうになりますが、間一髪逃げ切って家族揃って亡命することに決定。
徴兵に行くと帰ってこない人が多いんだとか。
ここに、システムの崩壊を感じるというか、政府が仕事してない感じが出ているというか。
だって、50年前の日本ですら、徴兵の時には紙が家に届いて、地域総出で見送って…。
ということは、紙が家にきたら徴兵に行くもんで逃げることはできないとみんなが思っていたわけで、逃げると家族まで非国民と謗られたわけで。
当時のアフガニスタンはそこまでではなかったということかな。
逃げることも、家族がそれに協力することもできたんだから。
政府についてどう思っているのかまでは書かれていないけれど、国民は戦争に反対している人が多そうです。
家族はみんなで、ロシアに亡命することに決めます。
当時、観光ビザを発行してくれる国はロシアしかなかったから。
密入国業者は言い分が乱暴で、荒っぽい連中が多い。
足手纏いになりそうなお年寄りがいると殺して置いて行こうとしたり、
騒ぐと銃でおどしたり。
密入国者側としたら自分の人生で1回きりで必死だけど、
業者側からしたら何回かあるうちの1回で、万が一警察に見つかって、次が続けられないと困るんだろうな。
とはいえ、こんなのを稼業にしている時点で、まともな人種ではない。
こういう人たちがもっと安全に国同士を移動できるようになったらいいのに。
でも、国同士が公式でやるのは難しいだろうから…。
となると、非公式にNPOとかNGOとかがやるしかないのかな。
なんとかロシアにつきましたが、早々にビザは切れてしまい、上のお兄さんに手配してもらった部屋でひっそり暮らす日々。
ロシアはソ連崩壊直後で、物価が高く、インフレ状態。
何か買いに出かけると、警察に見つかって、身分証の提示を求められ、有り金全部持って行かれれる始末。
上のお兄さんは亡命しているので、高給取りの仕事につくことが難しく、少ない給料を密入国費用に貯めてくれています。
だけど、みんなで一気にお兄さんがいるスウェーデンまで亡命するのは難しい。
ということで、まずはお姉さん二人だけで亡命することに。
密入国っていうのは危険なもので。
業者も人を人と思わない扱いをする。
今回は、貨物用のコンテナに人間を詰め込んで、船に乗せる。
ロックをかけるだけじゃなく、入り口も出口もコンテナがぎゅうぎゅう詰めなので、ロックを解除できたとしてもドアは開かない。
そんな中で、60人以上(半分が子供)が横になれないくらい芋洗い状態。
そんな中何日も揺られて…。
多くの人が酸欠で死にかけました。
でも、送還されることなく、無事お兄さんと合流することができました。
さて、次は他3人の家族の番。
小さな船に乗せられ、甲板下に詰め込まれる。
海洋警備隊に見つかると強制送還なので、甲板の下から出てきてはいけない。
でも、窓もない暗い小さい船の中、グラグラ揺られていたら、そりゃ船酔いもしますよっていう話で。辺りは戻したものの匂いがしていて環境は劣悪。
そしたら。浸水。
どんどん水が入ってくるので、みんな甲板の上に出て、バケツで水を汲んで外に出す。
そんな時、近くを大きな客船が通った。
みんなは天の助けと言わんばかりに手を振ってアピール。
船は近くに停まったけれど、たくさんの人が見ているけれど、なかなか縄が渡されない。
すると大きな声で「君たちを海洋警備隊に通報した。そのまま待つように。」
なぜ、みんなが助けてくれると信じていたんだろう。
なぜ、みんなが現状を察してくれていると信じていたんだろう。
アミンたちは、結局ロシアに送り返される。
そこの環境は相変わらずで、街を歩いているだけで殴られたり、有り金を毟り取られたり、女の子だったら車に連れ込まれてひどいことをされたりした。
そして、今度はアミンが一人でスウェーデンに行くことに。
少しくらい高くても安心なブローカーに頼むことにする。
そして最後に飛行機に乗るときに「親は死んだと言え」「天涯孤独だと言え」と言われる。そうすれば、アフガニスタンやロシアには戻されないから。
そこから、アミンは一人で生きてきた。
家族とコンタクトを取ることができないけれど、難民の支援部隊に伝えた、創作
された人生を生きるように。
家族を犠牲にして生きてしまっているように感じていた。
だから、自分個人の幸せよりも、自分が家族を作るよりも、まずは今どこにいるのかもわからない家族のために仕事で経歴をあげなくてはと思った。
支援団体のおかげで大学に行くこともでき、世界中を飛び回る日々。
でも、やっとできた恋人との生活を優先できず、恋人には自分との将来を考えられないのかとなじられる。
でも、どうしても、自分の過去がそうさせてしまうんだ。
評価
視聴後の評価は☆☆☆☆☆☆☆★★★(星7つ)
難民について深く考えたことがなかった。
それは、日本という島国に生まれていることがそうさせるのかもしれない。
でも、もしかしたら次が自分の番になるかもしれない。
そう思うと、世界のすべての人が生きやすい国を作ることは、全ての人類が協力して果たしていかないといけないなと思ったのでした。
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