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文学を愛するということ

文学とは、言語をもって創作する芸術であります。

なぜ人は生きるのか━━━

この観念的疑問にヒントを与えてくれるもの。

人それぞれ考えは違えども、同じ空の下で生活しているわけです。いろいろな摩擦はありますが、それでも平穏な生活を望むわけです。

人々が望む社会のあり方をも、文学は照らし出してくれるのです。

文学はまた、人々の心象風景や機微を如実に表現してくれます。

だからこそ、文学に通じた人は、日常生活においても心と心の会話ができるのです。


文学がエンタメ的消耗品に堕し、およそ学生諸氏に思想なき時代。

実業家を英雄のごとく祀り上げ、財産形成のみを正義とする時代。

文学が無力と化した理由はただの一つです。

人生における悩み事を放置し、社会問題に何ら貢献できなくなったという事実です。

文学愛好者のひとりとして、文学の持つ社会性について、わたしは、同時代の人たちに訴え続けていく所存です。

我々は祖先の世から、美しい次代を創り上げようとして、苦しんで来た。其為に幾人とも知れぬ犠牲者を出して来ている。さう言う苛烈な経験をした人々よりも、も一つ先にのり出して、自分の書き列ねてゐる語をつきつめて行って、どうしても今逢着しなければならぬ新しい境地を、ちらつと見るまでの処まで達したのが文学者のある者である。

折口信夫「文学を愛づる心」

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