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人間ドックの雰囲気が好き

健康診断専門施設で受ける人間ドックが好きだ。電話で申し込みをする段階ではなぜかえらく緊張するけれど、検査当日は会場の独特な雰囲気を味わっている。

受付の方も各検査を行う職員さんたちも、それぞれがプロフェッショナル。ほどよい緊張感があり、てきぱきと手際よく、システマチックに進んでいくのがいい。

医療機関なだけに衛生管理もばっちりで、隅々まで掃除が行き届いているのも安心感がある。臨時会場での特定健診を受けたこともあるけれど、医療機関のほうが私は居心地がよかった。

予防のための検査なので、来院している人たちの多くは健康だ(と自分では思っている)。治療目的の病棟と違って、深刻な雰囲気はほとんどない。お昼ご飯も提供され、希望者を対象に健康維持に関する講話や簡単な体操教室まで開催されるなど、なごやかな空気が漂う。

待ち時間は短いとはいえないけれど、本を持っていけば積読解消の絶好の機会となる。

3年前ほど前、大きな病院の健康診断センターで人間ドックを10年以上ぶりに受けたときには、大人しかいない会場の静謐さと清潔さに感動した。小さな子どもがいる生活は毎日がごちゃごちゃでぐちゃぐちゃで、静かな落ち着いた空間を心底欲していたからだ。出産直後も、暖かく清潔な病室から寒風吹きすさぶ外を眺め、「清潔で医療のプロがすぐそばにいるこの完璧な場所から、新生児を連れてあと数日で出ていかなければならない」と不安に駆られたのを覚えている。

私にとって病院がこんなに安心できる穏やかな空間であるのは、手術などが必要な大病を患ったことがまだなく、身内にも長い闘病生活を送った人がほとんどいないからだろう。看護師の友人に「大病院のシステマチックな空気が好き」と話したら、「珍しいね。怖がる人が多いよ」と言っていた。看護師である彼女が知っている過酷な現実を、私はたまたま知らないだけなのだ。

予防医療を専門にする施設であっても、思わぬ結果を知らされ、重く苦しい気持ちになって帰っていく人ももちろんいるだろう。静かで明るいだけの場所ではないとは思う。

私は、今年は要精密検査・治療となった項目はなかった(去年はひとつあったのが解消した!)。でも、ちょっとよろしくないと指摘された内臓もある。運動不足と食べ過ぎは認識しているので、体を動かす習慣をいい加減に身につけないとなあと思っている。

帰りがけ、お借りしていた検査着の肩に「⚪︎⚪︎病院保健事業部」と書いてあるのを見てはたと気づいた。学校の保健室とよく似ているから、私はここの雰囲気が好きなのかもしれない。

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