見出し画像

194冊目:閉じこもるインターネット

感想

パーソナライゼーションは個人にとって高揚する情報が集まり、自身の考えが正しいというバイアスを働かせ、イノベーションに必要なセレンディピティを阻害するなど、危険性を孕んでおり、その麻薬中毒のような効果から抜け出せない人は増加の一途を辿っているだろう。

火のないところに煙は立たないというが、現代においてはフェイクニュースで火を起こすことは容易であり、ネットワークという張り巡らされた網目で至る所に油を注ぐ人がいて、収拾がつかない事態を起こしかねない。

パーソナライゼーションから完全に抜け出す方法は現代では難しいが、自分を客観視する力や情報を精査する力は身につけることが出来る。そして多様性という言葉が増えた現代では、自分と近しい存在よりも違った価値観や趣味嗜好をもった人たちと接し、互いが学び合うかだろうか。

歳を重ねてくると50代や60代の方の興味あることに少しずつ共感が持てるようになってきた。自分の変化は楽しみつつ、まずは一歩踏み出していこう。そうすれば意外と良いかも?みたいな新たな一面に気づくかもしれない。

メモ

■パーソナライズドフィルターによって自分の価値観や考え方にマッチした情報しか表示されなくなり、ユーザーのインターネットにおける体験は変わりつつある。しかもユーザーから見てフィルターがどのようにして形成されたのかわからない。そのため、フィルターバブルの内側からでは、自分に届いている情報がどれほど偏向しているのかわからない。

■パーソナライズドフィルターにより、何が重要なのか、何が真実なのか、何が現実なのかという認知がゆがめられる結果、政治や文化、将来の社会構造に対して大きな影響を及ぼしている。

■フィルターに用いられているアルゴリズムはウェブサイトに利益をもたらすために使われているだけで、その複雑さゆえ開発者ですらなぜそのような情報の取捨選択が行われたのかを説明できない。

■パーソナライゼーションを提供する企業にはパーソナライゼーションの仕組みを透明化し、ユーザーが選択できるようにする必要がある。また、利用する個人も、パーソナライゼーションの影響を自覚し視野を広げる努力をすべきである。同時に政府が個人情報の取り扱いを規制する動きを強め、インターネットの世界を守っていく必要がある。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?