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158冊目:日本人の勝算

感想

日本の人口は今後も減少していく。人口減少の分をカバーし、経済を縮小させないためには、生産性を毎年1.29%向上させる必要がある。ただここ50年間における生産性向上率の世界平均は毎年1.8%であるため、日本でも実現可能な水準と考えられる。
一方で日本が毎年1%の経済成長を実現するには、生産性を毎年2.31%向上させなければならない。これは非常に高い数値で、一見すると実現不可能なように思われる。しかしこれまでの日本の生産性があまりにも低すぎたことを考えれば、これも実現不可能ではないとアトキンソン氏は考えている。アメリカの生産性は2000年~2007年のあいだで、2.6%成長した。これまで低迷していた生産性の分を取り戻していく、つまりキャッチアップするだけだと解釈すれば、かなり現実性のある数字といえるのではないか。

抜粋

生産性向上には最低賃金引き上げによる人件費向上が販管費増加となり、企業は穴埋めとして生産性向上の策を取らざるを得ない、今で言うと流行りのDXという流れになるだろう。

ただ、昔と違ってトップが決めた方針に対し、やるべきことが多様かつテクノロジーの発展により、管理職はやり方は分からず、指示だけになっている気がする。管理職としては正しい行動に見えるが、言葉の表面だけを捉えている、部下はまだ自立レベルが弱い、結果なかなか変わっていかない企業もあるのではないだろうか。

また、40代後半からミドルプレーヤーからロープレーヤーに変わった社員が増え、その人たちに高額な賃金を支払い、優秀な若手の方が賃金が低いといった年功序列はもう組織を強くしないのではと考える。

急激な変化は精神的負担が大きくなるため緩やかな変化で進めることが必要だが、高額な賃金を払うベテランの活用や明確なルールに従い降格をさせるなど、甘やかせずしっかりと働いてもらうよう仕組みを作っていく必要がある。私含め、定年がどんどん高齢化していく中で、自分をどこまで高めていけるのか、今の自分でも想像つかないが、少なくとも健康な体には健全な精神が宿るため、健康な肉体作りが必須ではないだろうか。

メモ

■高齢化と人口激減により、今後デフレ圧力が深刻化していくのは疑いない。

■デフレ圧力が深刻化する状況下で生き延びるには、生産性を高めるとともに、「高付加価値・高所得経済」への転換が不可欠である。

■日本の生産性は世界第28位と低迷しているが、人材評価では世界で第4位だ。そのため生産性の伸び代は大きい。

■日本において生産性向上が期待できる経済政策は、最低賃金引き上げである。高齢化と人口激減という難局を乗り切るには、政府による継続的な最低賃金引き上げが必須だ。

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