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192冊目:硝子の塔の殺人

感想

久々にAudiobookを再開し、その第一弾に選択。ミステリーはコナンや金田一などマンガばかりのため、ミステリー小説はこれが初かもしれない。

雪深き森で、燦然と輝く、硝子の塔。
地上11階、地下1階、唯一無二の美しく巨大な尖塔だ。
ミステリを愛する大富豪の呼びかけで、刑事、霊能力者、小説家、料理人など、一癖も二癖もあるゲストたちが招かれた。
この館で次々と惨劇が起こる。館の主人が毒殺され、ダイニングでは火事が起き血塗れの遺体が。さらに、血文字で記された十三年前の事件……。
謎を追うのは名探偵・碧月夜と医師・一条遊馬。
散りばめられた伏線、読者への挑戦状、圧倒的リーダビリティ、そして、驚愕のラスト。


あらゆるミステリー小説のオマージュというのを感じさせるくらい、小説内に多くの過去作品の情報が入っており、ミステリー好きには共感を得るかもしれないと感じた。

設定はまさに金田一のようなクローズドサークルで連続殺人事件が発生、第一の事件は古畑任三郎のように犯人がハッキリと判っている状況、第二・第三は王道の密室トリックだが犯人となり得る人が絞れているため、この本のどこが本屋大賞ノミネートだ?Audioで聞くとヒステリーな女性の声や怒鳴る男性の声など聞くに耐えないことが多く、苦痛だなというのが開始から6割くらいの感想。

しかし、後半の誰かが仕組んだかのようにどんでん返しをしていくところから興味がそそられ、真犯人がわかった時にノミネートする理由が理解できた。ただ、最後のシーンを見るに、この作者からは狂気的なキャラクターを生み出す雰囲気は感じなかった。それは子供の頃から見た金田一があまりに強烈すぎるのと、金田一に登場する高遠遙一の存在を知るからだろうか。

名探偵は単体では存在できないというのは小説内でもあるが、やはり犯人がどれだけ狂気的かがミステリーの価値を高めるのかもしれない。狂気的というマイノリティな人格に触れるミステリーは興味がそそられるし、この著者の本にはもう少し触れてみたい、と感じる一冊だった。

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