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176冊目:国運の分岐点

感想

世界の中小企業比率を調べると、日本では全企業の99.7%が中小企業であるのに対して、アメリカでは99.7%、ドイツでは99.5%、イギリスでは99.9%と大きな違いは見られない、とのことだった。
ところが、日本の卸売業・小売業などのサービス業では、アメリカやドイツ、イギリスと比べて小規模の企業の割合が高く、国土が狭いにもかかわらず事業所数が多すぎるという難点がある。

各国の中小企業の定義は、従業員数や売上高、総資産でも違いがあり、厳密には一律に比較できない。例えば、従業員数で判断すれば、アメリカの中小企業は500人以下、ドイツは500人未満、イギリスは250人以下、日本は製造業・建設業が300人以下、卸売業・サービス業が100人以下、小売業は50人以下となる。

スタートアップ企業は少人数ながら優秀でかつ熱意あるアグレッシブな方の比率が大企業よりも多い印象だが、人数が少ない分、一人当たりのやるべき範囲が広く、体系化できていないことで長時間労働につながっている可能性はなくはないだろう。大企業なら探す手間は発生することがあっても、全く誰もやったことがない、という事は多くないため、細分化による恩恵があるのは事実だろう。

もちろん規模が大きくなるほど、設備投資や研究費など、未来への投資可能な額も増えるため、統合という選択肢はありだと考える。

中小企業のままあり続ける理由が下記にも書かれているが、中小企業に関わらず、大企業や行政にも共通していえる事は「自前主義や属人化」ではないだろうか。どの国にもそれはあるし、それが強みにもなるが、紙とハンコが未だに多い行政や、ガラパゴス携帯など通信機器で地位を失った現状など、生産性を改善できない課題を抱えている国だなと感じる。

元々真面目で質の高い仕事をするのが日本人の特徴と思っており、DXが本格的に一人一人で実行できるようになれば、この国の生産性も変わるのでは?と考えており、今後も生産性には注目したい。

メモ

■GDPの内訳は「人口×生産性」である。したがって、人口が急激に減少していく日本において、経済成長のためには生産性の向上が急務である。

■生産性の低さの要因は、中小企業が多いという社会構造にある。起点は1960年代に制定された「中小企業基本法」だ。この法律にある優遇措置のため、企業規模を小さいままにしておこうというインセンティブが働く。

■国策として最低賃金を継続的に引き上げ、ミクロな規模の企業の統合を促していくことで、デフレから脱却し、日本経済の再生を実現しなければならない。

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