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182冊目:大衆の反逆

感想

90年以上も前の本とは思えないが、逆に人間の本質はそれほど変わっていないということだろうか。

大衆は非凡のものどころか、一般的ではないものに対する排除をする傾向で、最近ではSNSによる言葉の暴力がよく問題視されている。明かな妄言でなくとも、例えば新たな挑戦を掲げるスポーツ選手に、そんなのは無理だ、もっと〜すべきだ、と評論家のように意見を述べるのもそうだろう。自分が正しい存在だ、というバイアスに人は嵌る生き物なんだなと思う。

一方で自分自身に自信が持てない時代を迎えているというのもその通りだろう。大企業といえど、今までお手本とされていた社員は、10年もすれば過去の遺物のような存在となるくらいテクノロジーの進歩や多様性など、変化が激しい。自信となる武器(データにはできないスキル)を持っているかが、今後さらに重要だろう。

メモ

■大衆とは、自分自身に特殊な価値を認めず、自分を「すべての人」と同じだと信じ、それに喜びを見出すあらゆる人間のことである。

■大衆は非凡なもの、特殊な才能を持ったものを排除しようとする。

■自己の願望や理想が満足してしまえば、もはやそれ以上は何も望まなくなり、過去への敬意も未来への展望も失ってしまう。

■国家を国家たらしめているのは、理想を実現しようとする意志そのものであり、不断の努力なしに国家は存在しえないことを大衆は忘却している。

■「ヨーロッパ人」は新たなプロジェクトとして、ヨーロッパをひとつの国民国家とするべく取り組むべきである。

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