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分かち合うことの素晴らしさ。
職場への道程に、野菜の無人販売所があります。ラインナップは時期によりまちまちですが、今は夏野菜が豊富に売られています。トマト、きゅうり、なす、ズッキーニ等々。
私はなすが大好きなので、ある日の帰り道に買って帰ることにしました。
100円で売られていた袋の中には、小ぶりながらも美味しそうななすが5個も。スーパーで買ったら300円は下らないような量です。
艶やかな深い紫に見惚れながら、どんな料理を作ろうか考えて帰りました。
翌日。
我が家に劇団のなかまがやって来ました。その日は、次回公演の打ち合わせのための集まりでした。
コップを出して冷えたお茶を注ごうと冷蔵庫を開けたとき、昨日買ったなすの袋が目につきました。当時の嬉しさを思い出して、ほんの気まぐれで、お茶を運ぼうと待機してくれていた一人になすを見せました。
こんなに美味しそうななすが、100円でこんなにたくさん手に入ったんだよ!と。
すると喜んでいる私を見て、その人も喜んでくれました。そのまっすぐなコミュニケーションが、なんだか無性に嬉しかったのです。
私には1年以上前に別れた恋人がいました。その人は、悪い人ではないのですが感情を表に出すのが苦手で、とても天邪鬼な人でした。
話していても嬉しいリアクションが返ってくることは少なく、楽しいと感じなくなってしまって、だんだんと会話が減っていってしまいました。
そんな経験もあってか、私が嬉しかったことを同じく嬉しいと思ってくれる人、私が嬉しい体験をしたことを素直に喜んでくれる人の素晴らしさが、じんわりと重たく心に沁みたのでした。
こんな些細なことで大袈裟な、と思われるかもしれませんが、幸せってこういうことなのかも、と考えたりしました。
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