母よ、はっきり言ったらどうだ

送別会から良い感じに酔っ払って帰ってきた晩のこと。
私は上機嫌で母に送別会がいかに楽しかったかを話していた。
すると母はふと真面目な顔になり私にこう言った。「で、アンタは次の一年でどうなりたいの?」

え? え、え、え????
油断していた。急なヘビィパンチである。重たいパンチが視界の外からこめかみ目掛けてやってきた。それは躱わせませんわ。カウンターを合わせようとしても恐怖に一瞬身体が固まって反応が遅れる、これがデンプシーロールに飛び込めない所以か。

そもそも母に何を上機嫌で話してたかというと、
私も4月から別の場所に異動になる身であり、みんなから楽しく送り出してもらえた事、だけど次の職場はもっと厳しいらしく、今の私の実力ではかなり厳しいという事も言われた事、でも今私は日々成長を感じられているのでこの調子で頑張れば大丈夫だろうというようなことを嬉々として語っていたのだ。
確かに真剣に話す話題としても全然アリな話題だ。
だがしかし、なんにせよ私は今上機嫌なのである。もうこの調子のままベッドまで行きたいのである。それが急に引き戻されスンとなったのを母は気付いたらしく、母の喋りもペースダウンする。
「なんて言ったら良いのかなぁ…」
母よ。


知らねーよッ
なんだよ文句があるんならさっさと言いなさいよああもうもやもやするわぁ、あ〜〜〜〜。
母が何かを自分に伝えようとしている事は私には伝わっていた。でも今の私にはそれをしっかり腰を据えて打ち返す余力も気構えも出来ていなかったのだ。

4月から職場が変わる。今の職場より厳しい場所。
そこで活躍するみんなはスーパーマンみたいに頭の回転が早くて実行力があって、何でもスパスパ決断して行動して、結果を出して地位を築いている。ように私には見えている。
それで、そういうのは自分には出来ないと思っている。
向いてないって。
頑張ってはいるけどああはなれないって。自分は人一倍成長が遅いから。確かにそうだ。私は何だってやる事が遅い。そしてその話題は今日の送別会でも何度も話題に上がった。ある先輩からは努力不足と言われた。
確かにそうだった。
けど、しょうがない。だって頑張ってはいるんだから。そうやって自分で張り巡らした言い訳のバリケードはいつからか自分が成長するための足枷になってしまっているのかもしれないなぁとシャワーを浴びながら考える。
成長を感じている、一方でここまでで良いだろうと無意識にラインを引いてしまい「少し頑張った」のその先へ行かないようにしてしまっている。
職場の先輩上司から見ても私の課題は明らかであり、自分でもずぅっと前から分かっていたこと。
そろそろ面と向かって対峙する時が来たのかもしれない。きっと無茶苦茶しんどい、29年と3ヶ月もの間これで来てしまったのだ。でも、変われた時、自分の想像に収まらない新しい自分になれるとしたら。
想像してちょっとワクワクしている自分もいることに驚く。こ、コイツ、やれると思っとんけ…マジか。
というわけで、とりあえずこの一年、真っ向勝負でいきたいと思います。
「できるまでやればできる」だよな、田中。

自分で噛み砕くのもこんだけ文字数かかるんだから、母が上手いこと言い表せなかったのも納得だ。
間違えてたら恥ずかしいので絶対答え合わせはしないけど。ありがとう母よ。
初投稿でこんな訳の分からない決意表明を読んでくださりありがとうございました。


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