この風はあなたですか?
薄手のシャツじゃまだ 少し寒い春の
朝の匂いが切ないのは あなたを想い出すから
足早な人波 立ち止まり見上げれば
春のぬくもりが恋しくて 強い風 待ちわびる
舞い上がる花びらに吹かれて あなたと見た春を想う
うつむくまで気付きもしなかった どうしてだろう? 泣いてた…
こみ上げる想いは 誰に届くのだろう
指先をつないで歩いた あなたにはもう届かない
胸の奥に覚えた痛みが 冬を越えて 溶け出す頃
迷いの中わずかな光が 照らす場所も見えなくて
人は誰も 恋をして初めて知る 本当の自分の
弱さと強さと 向き合っていくんだ 雲が遠ざかる
あなたを忘れてしまう程の 恋が胸を焦がす日まで
この道は誰とも歩けない あの日のように
舞い上がる花びらに吹かれて あなたと見た春を探す
小さなつむじ風鳴いている
この風は あなたですか? 次の春も吹きますか?
コブクロ「風」より
物事は変化し、変遷してゆく。
諸行無常である。
それが自然だし、それが時間というものだ。
一方で、わたしは人間である。
自然の一部でありながら
自然のように偉大なものには成りきれない。
おごり高ぶり、見えるものに支配される
凡庸な一生物である。
だから、もういい。
愚かさを受け入れよう。
諸行無常なんてまっぴらごめん。
諦めることも
悟ることも一生ない人生でいい。
わたしはただの人間だから。
出会った人に
感情を揺さぶられた事柄に
思う存分執着しよう。
それで何を失ってもかまわない。
ひとりぼっちになっても、かまわない。
おれはひとりの修羅なのだ、と
宮沢賢治は言った。
この風はあなたですか?
そんな風にどこまでも
人間が人間に執着して愛して
修羅の世界で生きる。
あなたを愛するから、わたしがいる。
わたしがもがくから、あなたが笑う。
生々しい、生き様の世界で。
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