ヨルシカ「第一夜」考察
「第一夜」はヨルシカのアルバム「幻燈」の第二章に収録された曲。
今回は僕がこの曲を聴いて感じたことや考えたことを書きます。
ネット上で見かけたのですが、この曲は昔n-bunaさんが弾き語りをしていた曲だそうです。もし詳しいことを知っている方がいればコメントなどで教えて下さい!
夏の描写
曲調としてはゆっくりとした、suisさんの優しい声で始まります。
ヨルシカと言えば「夏」の歌がとても多く、今までも夏に関する描写はたくさん出てきています。今回も夏の描写から歌詞が始まっています。
「雲の影が流れて往く」ことから青空に浮かぶ雲がゆっくりと動いている
様子が想像できます。そして夏風が体に当たり、「貴方」の記憶を思い起こさせる。主人公にとって忘れられない想い出が夏に起こったことが分かります。
ここで気になったのは「言葉だけが溢れている」という部分です。
ヨルシカの曲には「言葉」というワードもまた多用されています。ある曲では「言葉なんていらない」と言っていたり、「言葉がほしい」と言っていたり。ここで僕はテレパスのMVをふと思い出しました。
この口から「あ」が溢れている描写。関係あるのかどうかは分かりませんが、想いが溢れているという点では何かつながりがあるかもしれません。
日常の記憶
n-bunaファンなら知っているかもしれませんが、彼は朝方に散歩をするのが日課なのだとか…。(ヨルシカ後書きラジオより)
それを知っていた上でこの歌詞を見ると、主人公はn-bunaさん本人なのではないか、つまりn-bunaさんの実体験の記憶を描いたものではないかとも思ってしまいます。
朝のルーティンを済ませながら、ふと窓を見るとふくれ雲が見える。季節は夏なのでここでは入道雲のことでしょうか。夏風に揺られた木々や花の香りが部屋の中に運ばれてきたのでしょう。
ここでその花は「春」の匂いがしたとあります。花と言っても四季折々の花があるわけですが、ここでは「春」を感じたようです。他の曲との関連を考えると、春泥棒、つまり桜を連想したのかもしれません。
貴方と過ごした記憶
僕が「氷菓」でぱっと頭に浮かんだのは花に亡霊です。この曲にも氷菓という言葉が出てきます。n-bunaさんにとって夏を連想させるものの一つが氷菓であり、それは同時に「貴方」との記憶のキーなのかもしれません。
そしてもう一つ気になるワードは「商店街」。おそらく月光(再演)のライブに行った人ならすぐに連想できるかもしれません。そう、八月、某、月明かりです。富士見通りの商店街。それはエイミーが生活をしていた場所でもあり、おそらくn-bunaさんが暮らしていた場所に関係するのでしょう。
n-bunaさんが曲をつくるとき、このような連想ワードをあえて入れているのか、無意識に入れているのかは分かりませんが、この第一夜は月光の延長線上にあるということを示唆していると思います。
想い出とはもちろん「貴方」とのものでしょう。それを詩に起こしたのでしょうか。これもまた、エイミーの描写と重ねてしまいますね。
この描写で気になるのは「白い花」。あいにく僕は植物だとかに疎いので白い花と言われてもシロツメクサくらいしか思い浮かびませんでした…。
しかしこの花が先ほどの「春の匂い」がした花かもしれないこと、
そして幻燈の挿絵を見ると白百合ではないでしょうか。
主人公は「貴方」の隣町に住んでいるのでしょうか。この歌詞から、夏の夜の描写が伝わってきますね。
貴方への強い思い
「白百合」が出てきましたね。先ほどの白い花はやはり白百合だったようです。伏線を張るとはさすがn-buna氏….。
その白百合の道を通って会えたと思ったのは夢だった。心が震えるほど、「貴方」に会いたかったのでしょう。主人公に笑いかけた貴方もずっと会いたかったのでしょう。2人は切っても切れない関係であると言うことがわかりますね。これはエルマとエイミーの前世でしょう。
という訳で今回の考察を終わります。ヨルシカの曲らしく、エルマとエイミーの物語を示唆している部分が見られた一方、n-bunaさんの実体験なのではないかと思えるようなリアルな部分も垣間見えたような気がしました。
曲全体の雰囲気やメロディは言葉では伝えきれないので是非聴いてみてください。それではまた。