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7. 接続詞について

今回は接続詞についてです。
接続詞や接続助詞は,文節や文の意味を論理的に繋ぐために,とても重要な働きをしています。すなわち,筋の通った文章を書く上で,そして,読み手にとって読みやすい文章に仕上げるためにとても大切な役割を果たしています。接続詞はその機能によって,順接,逆接,添加・並立,換言・例示,対比・選択,説明・補足,転換に分けることができます。その各々の働きに対する代表的な接続詞(語)を以下にまとめてみます。

順接: だから,したがって,ゆえに
逆接: しかし,ところが,それでも
添加・並立: そして,また,および
換言・例示: すなわち,たとえば
対比・選択: 一方,あるいは,または
説明・補足: なぜなら,なお,ただし
転換: ところで,さて,次に
総括: このように,いずれにせよ

この分類は一例であり,解説書によって少しずつ違いがあります。たとえば「そして」は順接の接続詞としても機能しますから,順接に分類しているものもあるといった若干の相違があることをご了解ください。

さて,次の文章に用いている接続詞は適切でしょうか。

昨日は大雨だった。しかし,今日もまだ雨は降っている。

雨はまだ降り続いているのですから「しかし」で繋ぐのは不自然です。次のように「そして」などの並立的または順接的な接続詞が適切です。

昨日は大雨だった。そして,今日もまだ雨は降っている。

ところで,話が少し横道に逸れますが,先ほどの「しかし」で接続した不自然な文章を時々見かけることがあります。何故このような文章を目にすることがあるのでしょうか。それは,ライターの意識の中では繋がっているので,ライター自身はその不自然さを感じず見過ごしてしまったとう場合です。ライターの意識の中では以下のような流れができています。

昨日は大雨だった。その後,その雨量は徐々に少なくなった。しかし,今日もまだ雨は降り続いている。

ところが,書き急いでしまった場合や,簡潔に書こうという意識が強く先行した場合に,途中の情報をうっかり抜かしてしまい,そのことに本人は気付かないのです。このような類は,書き終えてすぐに読み返しても,その間違いに気付かないことがよくあります。何故なら,本人の思考の中に「繋ぎの情報」が残っているからです。したがって,その間違いに気づくためには,その情報が薄らいだ頃に読み返すというタイミングが大切です。おそらく,一晩寝て翌日に読み返せば,気付きやすいのではないでしょうか。
日本語の文章は,この接続詞の問題に限らず,一般的に途中の情報が抜けてしまっているものをよく見かけます。よって,その「抜け」に気づくためには,ある程度の時間を置いてから読み返すという作業がとても重要です。
 
さて,話を接続詞に戻します。接続詞は筋の通った論理的な文章を書く上で大切な役割を果たしますが,文節同士や文同士の繋ぎに毎回のように用いると,仰々しくて読み難くなることや,同じ接続詞を繰り返し用いることで文章が単調になること,さらには簡潔さを損なってしまうこともあります。したがって,接続詞がなくても文章の論理性を損なうことなく意味がスムーズにとおるのであれば,接続詞は省略しても構いません。特に「だから」「したがって」「そして」「また」などは削除しても意味がとおることが多いです。しかし,話の流れが反転するような“逆説”の接続詞,たとえば「しかし」「ところが」「だが」などは,削除すると意味のとおりが悪くなり,場合によっては,読み手に読み返しを強いる結果になることがあるので注意が必要です。
次の文章で確認してみましょう。

チャットGPTは,こちらから入力したテキストメッセージに応じて,答えを返してくれる優れものです。したがって,情報収集や翻訳など様々な作業に活用することができます。しかし,的を射ていない答えを返してくることがあります。

この文章の「したがって」と「しかし」を省略した以下の文章と比べてみてください。

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「したがって」は省略しても文同士の繋がりに不自然さを感じませんが「しかし」があったところは話の流れが不自然です。よって,次の文章のように「しかし」は省略しないほうが違和感なく読むことができます。

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次回は,接続助詞の「が」についてお話します。

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