後藤学-短編小説・エッセイ-

しがない物書き。 誰かの救いになる、前向きになれる小説が書ければと思いながら書いてます。

後藤学-短編小説・エッセイ-

しがない物書き。 誰かの救いになる、前向きになれる小説が書ければと思いながら書いてます。

最近の記事

―青くない春

 また、何もせずに終わってしまった。 あの時、部長を決める話し合いの時、勇気を出して手を挙げて、立候補してたら、自分に自信が持てるようになったのだろうか。 あの時、荷物を持って大変そうに階段を上るおばあさんを見た時、声をかけて、手伝えたら、世界が今よりも温かく見えたのだろうか。 あの時、お金がかかっても、少しレベルの高い塾に行っていいのよと母さんに言われたとき、周りの目なんて気にせず、踏み出してみれば、これから入学金を払う先は、憧れの場所だったのだろうか。 あの時、好きな子が

    • ―どこかで、誰かがきっと見ているから

       何が間違っていたのだろうか。 やっぱり、勉強の事だけを考えて、家の手伝いとか息抜きとかせずに、ストイックになる人が最後に笑うの? 何をするときも、人に任せっきりで、自分はやりたいことだけをやる友達は、有名大学に合格したらしい。  自分のペースでやるのが一番効率がいい。  やることをきちんとやる人は、やはり合格率は高いですよ。  模試でC判定でも、最後まで諦めなければ合格する! 自分なりに、やるべきこともちゃんとこなして、最後まであきらめずに頑張ったよ。 でもね、落ちちゃった

      • 2年ぶりに『花束みたいな恋をした』を見た現役女子大生が思ったことを書いてみた

        「私が絹ちゃんだったら、上手くやれたのに。」 2年前、劇場で『花束みたいな恋をした』を見た時、私が思ったことだ。 当時の私は、上手くいかなかった2人に対して、なんでもっと器用にできないかな、、就活ほったらかしてイチャイチャしてばっかだからだよ、、なんて思っていたのだ。 今の私からすると、全くもって何もわかっていないな。この若造が。と言ってやりたい。 そこから2年。 私なりに、この世界と向き合い続け、生きることについて、人と向き合うことについての感覚がガラッと変わった自覚が

        • 定期的に感じる絶望と希望

          「あいつはやばい。」 「こいつはやばい。」 そう言われないための材料集めをする毎日。 少しづつ「まともな人間」、「良い人間」ができるようになってきたと思う。 でも、自分をないがしろにし続けてきた結果、壊れてしまった。 自分を大切にして。そう言われ、じゃあ、自分を生きよう。 そうすれば幸せになれると思ってた。 「やばい」と言われる日々。 いったい何が「やばい」のか。 また、自分を押し殺して演じなければいけないのだ。 でも あれ、どうやって演じてたっけ どうやって、自信満

          短編小説 「それでも私たちは、」  

           泣けどわめけど夜が来る。俺はこれから彼女にフラれる。 ジャーンジャーンジャカジャンッ  「溢れ出る『愛してる』 君も同じかな~ 伝えよう今すぐ君のもとへ 靴なんて脱いで走るのさ 君を離さないように ずっと抱きしめる~」  路上の端っこから痛烈に響いてくる歌声が、頭の中に充満して余計に苛立つ。 「はぁ…。そんなことより、“伝えると離れてく君”を離さない方法を、誰か教えてくれよ…。」 どうすることもできないという自覚から漏れ出すため息と、喧しいまっすぐなラブソングから逃げるよう

          短編小説 「それでも私たちは、」