12章4部 決算2 経過勘定

第5節 経過勘定

1⃣経過勘定を理解するための前提知識

他社のために行うサービス=役務
役務の提供を受けると費用発生
役務を提供すると  収益発生
※一定期間に渡って継続するものがある。例)家賃や保険料支払利息など




2⃣前払い・前受けの具体的処理①(前払費用)

・7/1に建物の賃貸契約を結んだ、賃貸料は月額100円、1200円(12か月分)を7/1に一括で支払う。

9ヶ月分しか利用していないので9か月分の費用
3か月分の権利(家に住む権利がある)に変更していくのがゴール

期中手続き
支払家賃1200  現金1200
 (12か月分)         
※期中仕分けは取引をありのままに記録。

→決算整理前残高試算表で1200円分費用が発生している。
 9か月分は当期の費用、3か月分は翌期の費用に分けていく。

1.翌期の3か月分の費用を消す。


決算整理仕訳
前払い家賃(資産+) 300  支払家賃(支払費用-) 300

翌期費用 300  前払い家賃300

⑵翌期の処理(再振替処理)
=4/1(翌期首)に逆仕分けをする

前払い○○の勘定

例題12-8
6.3/31に決算
決算整理前残高試算表    保険料は5.7/1に1年分を前払いした際に計上
借り方 勘定科目 貸方
12000 保険料  

1.決算整理仕訳と後T/Bを作成せよ
12000÷12=1000
1000×9=9000円
12000-9000=3000円
前払い保険料3000  保険料 3000

    後T/B
 9000 保険料
 3000 前払い保険料     ※B/Lが上の方が分かりやすい

2.翌期首の再振替仕分け
保険料 3000   前払い保険料3000

費用を取り消して資産に計上する=繰り延べる(P/L→B/S)へ


3⃣前払い・前受けの具体的処理②(前受け収益)

・7/1に建物の賃貸契約を結んだ。
賃貸料は月額100,1200(12か月分)を7/1に一括で受け取る

期中
現金1200 受取家賃1200

決算 

9ヶ月分しかサービスを提供していない為、9か月分の収益
3か月分サービスを提供する義務(負債)に変更していく

受取家賃(収益-) 300   前受け家賃(負債+) 300

翌期に役務を提供する義務がある=負債

⑵翌期の処理(再振替仕分け)
前受け家賃(負債-) 300 受取家賃(収益+) 300

例題12-9
決算3/31
決算整理前残高試算表      受取地代は2/1に6か月分受け取ったもの。
借方  勘定    貸方
    受取地代  9000

1.決算整理仕訳を示し、後T/B作成せよ
9000÷6=1500円/月
3000円分受け取った、残り6000円はサービスを提供していない為引く必要がある

 前受け地代6000    受取地代6000    ×
 →受取地代(収益-)6000 前受け地代(負債+)6000

    後T/B
   前受け地代 6000(負債+)B/S
9000 受取地代       収益の+と負債の+両方貸方
   受取地代 3000(収益)P/L

2.翌期首の再振替仕分けをせよ      〇
受取地代6000(負債-) 前受け地代6000(収益+)




4⃣未収・未払いの具体的処理(未払い費用)

・R1.4~R2.3の7/1に建物の賃貸契約を結んだ。
 賃貸料は月額100,1200(12か月分)をR2.6/30に一括で支払う

期中  仕分けなし
決算 費用 900
→9か月分は利用しているが家賃未払いの状態

⑴決算整理仕訳
支払家賃(費用+)900 未払い家賃(負債+)900

未払いの家賃があるため、費用計上と負債を計上する必要がある
期中 0
決算 未払いの部分
翌期首 逆仕分け
期中仕分けで すべて支払う


例題12-10
5.12.1に建物の賃貸借契約(期間1年間、月額5000)を結び、家賃は契約期間終了時に現金で支払うことにした。決算は6.3.31
1.当期の決算整理仕訳を示し、後T/Bを作成せよ
5,000×4ヶ月=20000
支払家賃 20000  未払い家賃20000      〇

    後T/B
借方 勘定科目 貸方           〇 
20000 支払家賃          ※P/L下の方が分かりやすいのでは
   未払い家賃 20000

2.翌期首の再振替仕分け及び、6.11.30の家賃支払い時の期中仕分けを示せ
未払い家賃20000 支払家賃20000        〇

期中仕分け
5000円×8か月=40000円
支払家賃60000    現金60000        〇

見越し計上という(実務的な言い方)




5⃣未収・未払いの具体的処理(未収収益)

・7/1に建物賃貸借契約を結んだ。
賃貸料は月額100.1200(12か月分)をR2.6月30に一括で受け取る

期中 仕分けなし
決算整理手続き 経過している部分を収益にしていく。

⑴決算整理仕訳

当期経過分の家賃は翌期に受け取る権利がある!=未収入家賃(資産+)
受取家賃(収益+)で仕分ける

未収家賃(資産+)900 受取家賃(収益+)900

翌期の処理(再振替仕分け)


例題12-11
6.3.31に決算整理手続きを行う。
前T/B             貸付金は5.12.1に貸付。
借方  勘定  貸方     貸付期間は1年間、年利6%
50万  貸付金         利息は元金返済時に現金で受け取る。

1.決算整理仕訳を示し後T/Bを作成せよ
50万×0.06=30000円
30000÷12ヶ月=2500/月
2500円×4か月=10000円
未収入金利息 10000 受取利息 10000      ×科目間違い

後T/B                     △未収○○~を使う
借方 科目 貸方
50万 貸付
10000未収入金利息
   受取利息 10000

2.翌期首の再振替仕分け及び6.11.30の期中仕分けをせよ
受取利息10000 未収入金利息10000        △

期中仕分け6.11.30
現金50万  貸付金50万     〇
現金3万   受取利息3万




6⃣財務諸表

経過勘定=「前払い家賃(資産)・前受け家賃(負債)」「未払い家賃(負債)・未収入家賃(資産)」


勘定科目と表示科目がズレている。
前払い○○~は合計して財務諸表に移していく


※未払い費用(経過勘定の一つ)と未払い金の違い

未払い金=土地の購入等
     →土地の引き渡しが済んでいる場合に発生(確定債務)

経過勘定=12時間の間家を貸す、途中の仕分けで9時間しか経過していない
   →取引が済んでいない時に負債発生(必要なし)

決算でどうしても帳尻を合わせるために費用の発生とその対勘定科目で経過勘定が出てくる




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