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コラム4 ケアマネジャーの苦難に思う

「幾星霜の人々と共に・白駒池居宅介護支援事業所物語」

第1話「彼方の記憶」より

 最近ケアマネジャーの退職の話をよく聞きます。志半ばで転職する人も多いと聞きます。その理由は様々です。
 給料の安さもさることながら、プライベートの時間も奪われるような忙しさ、雨が降ろうが雪が降ろうが毎日毎日走り回らなければならない大変さ、本人を尊重したケアプランの作成の気苦労、時に早急に動かなければならない事象、例えば緊急の病院の付き添い、或いは緊急に探さなければならないショートステイや入所、そしてサービス担当者会議への参加、大変な請求業務。
 さらに日々様々な利用者と関わり、その中には悪戦苦闘する利用者もいる。認知症の人への関りは苦労の連続だろう。当の本人だけでなく、家族のしんどさも受け止めていかなければならない。
 そのことにやりがいを見出す人もいる。
 しかし最近特にクローズアップされているのが、「ケアマネジャーなんだからこれくらいしろよ。」というような、ケアマネジャーの善意を搾取するような利用者や行政の存在だ。
 例えばマイナンバーカードの取得に関しても利用者の代わりにケアマネジャーがやりなさいという行政。
 そして最近何よりも多いのが、利用者や家族からのケアマネジャーに対するハラスメント。これに耐えられず、退職する人も多いと聞きます。
 最近の最大の理由かもしれません。

 さらにやたらに多い研修受講。それも半端な金額ではない。
 そして多くの人が、こうしなさいああしなさい研修で、心が充実する研修ではないと言う。
 これでは大切な人生の時間の搾取とお財布の中身の搾取でしかない。
 それだけケアマネジャーは信頼されていないのか。
 実際質の低いケアマネジャーがいるのも確か。しかしいくら研修をしても質の低いケアマネジャーは変わらないだろうし、むしろ頑張っているケアマネジャーには迷惑な話だ。
 ケアマネジャーの大変さはまだまだある。まじかで見ていても、大変な毎日だなと思う。
 もちろん多くの様々な仕事それぞれに大変なのは間違いない。
 しかし、人の人生のある意味ラストシーンをどのようにマネジメントするのかという、敬虔な仕事であるケアマネジャーの業務は、重みと深みがあり、重要な職種なのにもかかわらず、そのケアマネジャーへの尊敬度は低い。
 逆に一部の利用者からも、介護保険制度自身からも、しもべのように使われていることが増えてきているのではないだろうか。
 そしてそのような悪戦苦闘しているケアマネジャーを支える体制もない。 もしケアマネジャーにセキュアベースがあれば、少しは自分の仕事に誇りを持ち、この尊敬されるべき仕事を続けていける一助にはなるのではないだろうか。
 しもべではなく、「非ゼロ和」であるべきなのです。

 この白駒池居宅事業所第1話では、ここに書いたようなケアマネジャーの過酷な状況はまだ描いてはいません。
 話が進めばいずれは出てくるのですが、ここでの主体はケアマネジャーの成長物語になります。
 そして幾星霜の人々との関わりの中で、自らが成長していく物語でもあります。
 またケアマネジャーや認知症の人の、一人一人の人生物語でもあります。そして、ケアマネジャーは敬虔な、尊敬されるべき仕事なのだということを、少しでも描ければと思います。
 今のところ、甘ったるい内容と思われるかもしれませんが、辛抱強くお付き合いください。 

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