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アメリカ臨床留学への道③:Application〜留学先決定まで

現在アメリカで外科医として勤務してます。まだ半年しか経っていないので成功している訳ではありませんがこれまでの過程について紹介しますので海外留学をお考えの方の参考になれば幸いです。
アメリカでのトレーニングを続けていく上でポジションを獲得するまでは経済的な問題が一つ大きな悩みの種です。もし参考になりましたらサポートいただければ幸いです。

=留学先の選定=
私は直接のコネクションなどは持ち合わせていなかったため自分自身で留学先を探す必要がありました。前の記事で書いた通り、CTS netで留学先を探しつつ個別の病院にも連絡を取りました。最初はビクビクしながら連絡を送り、返事を首を長くして待っていましたがなかなか返事ももらえないためそのうち次々に候補を見つけては連絡を取ると言ったことを繰り返しました。
最初は恐る恐る連絡をしていたもののやり方はほぼ全て同じ(窓口となっているメールに挨拶の文章に、CVと3 recommendation letterを添付してフェローとして応募したい旨を伝える)なので2回目以降は同じ要領で次々と進めていきました。
私の場合はカナダの施設も含めて全部で10施設ほどに連絡を取り、その中で採用不採用の有無に関わらず返事をもらえたのは6施設ほど、そのうち面接をしてもらえたのが4施設で他は書類審査の段階で落とされました。コロナのパンデミックの前までは面接はin personが主流だっため面接の度に渡米する必要がありましたが、今はzoomでの面接が主流になってきていると思いますので、その点に関してはパンデミックのおかげと言えます。これにより時間的・経済的負担がかなり軽減されたと言えます。逆にin person, face to faceでのアピールの効果は絶大となっているように思います。夏季休暇や学会などを利用して直接施設の見学を行い、ここで働きたいという熱意を伝えるというやり方は今もなお有効だと思います。私自身もAATSやSTSに参加した際には必ずどこかの病院見学をさせてもらうようにしていました。また独身の際は夏季休暇でアメリカ旅行も兼ねて病院見学に行きました。また学会中にお会いした日本人フェローやアテンディングの先生には必ず挨拶をして繋がりを作り、その後もその先生方と定期的に連絡を取り相談をさせていただいたりしていました。
話が逸れましたが、面接をした4施設のうち採用をOKしてくれた施設は2施設です(もう1施設は完全にNoという訳ではありませんでしたが1年から1年半の間は難しいということでした)。私の場合は10施設程度の応募の段階で、2施設もから採用の話を頂けたのはとてもラッキーだったと思います。20、30とapplyしてもなかなか留学先が決まらないという話もよく耳にします。採用してもいいよと言われたとしても実際にOffer Letterがもらえるまで数週間かかることがほとんどです、そこからビザの申請など書類手続きが始まるのにまた数週間かかります。そして実際にビザが得られるのはその数ヶ月後です。ですのでとりあえずどんどんapplyを進めていけば良いと思います。流石にビザの書類申請が進んでいる段階でのドタキャンは良くないと思いますが(実際にはよくある話だそうです)が、offer letterがもらえた後でもより良いofferが他から得られれば断ることは可能です。その場合は後にその施設にアプライする日本人のためにも丁寧に断りの連絡を入れておく方が良いとは思います。

*蛇足かもしれませんが、Offer Letterというのは留学先のchiefやGMEなどのサインが入った正式な書類で契約期間・勤務内容・サラリーなど明示されている書類です。Interviewで採用してくれると言われてもまだ100%安心はできず、実際にOffer Letterがもらえれ確実に採用と考えて良いと思います。Offer Letterは今後VISA取得などを進めていく上で必要な正式な書類です。

=面接=
面接の内容についてですが概ねどこもまずフェローの概要について説明をしてくれました。どういった仕事内容でどういった役割を求めているのかなど説明を受けました。概ねどこの施設からも自身の将来的なビジョンについても尋ねられましたのである程度の答えは準備しておけば良いと思いますが、逆に一般企業で想像するような堅苦しい面接ではなく、リラックスして臨めるものがほとんどでした。一応上半身はスーツ・ネクタイ着用で面接しましたがスクラブ・白衣でも全く問題ないと思います。
最初はまず渡米できることを第一に考えていたため、あまりこちらから積極的に食いつくような質問しませんでした(緊張もありそんな気持ちの余裕も度胸もなかった)が、次に施設を移るとしたら、面接ではどの程度の症例まで執刀の機会があるのか、フェローを終えた後のステップアップについてはどの程度のサポートがあるのか、などその施設でどう言ったトレーニングを期待できるのか・フェローを終えた後の自分の成長した姿が具体的にイメージできるか・フェロー終了後に自分のキャリアのステップアップにつながる道筋があるのかなどはしっかり聞きたいと思います。アメリカだからといって、訳のわからない施設にはいり雑用のような仕事ばかりで外科医としてのトレーニングができない場合はこれまで割いた多大な苦労を無駄にしてしまいかねないのでそこはしっかり判断すべき点だと思います。そういった意味でも先に日本人の採用経験がある施設ではその日本人の先生にコンタクトを取って情報を収集しておくことは有用です。これまで日本人がトレーニングしたことがないような施設を開拓しチャレンジすることはカッコ良く思えますがリスクを伴うことは留意しておく必要があります。

=留学先決定=
私の場合は採用をOKしてくれた2施設とも、面接中にこれぐらいの時期からフェローとして来てくれればいいと言ってもらえました。ただ第一希望の施設からは面接を終えた後、何度かメールを送ってもなかなか連絡が返ってこず1ヶ月近く音信不通の状態になってしまいました。最初は不安というかヤキモキした状況が続きましたが、2週間ほど経ってからはもう切り替えて(諦めて)次のapplicationに進んでいました。このように面接後、Offer Letterを含む正式な書類(メール)が届くまでにはタイムラグがあります。ですので一つの施設に拘りすぎず、複数の施設にどんどんapplicationをしていき月単位の感覚で留学先を探していけば良いと思います。

もう一つの採用OKをくれた施設とのやりとりは進めつつ、まだ100%納得できない部分もあったため、他にも可能性を広げるためapplicationは進めていきました。そうして2ヶ月近く経過したところで、第一希望だった施設から突然連絡がきて2023年1月からフェローとして採用するから手続きを進めていこうと連絡が来ました。その対応に不満もありましたが結局そこで自身の就職活動は終了しそこでフェローをさせてもらうことにしました。

あとで聞いた話ですが私と同時期に他に2人のApplicantがいたようです。また当時その施設にいたフェローが次の施設に移る予定時期が二転三転していたため、その影響でPendingの状態のまま放ったらかしにされていたようです。それならそうと連絡ぐらい欲しかったとは思いましたが、「突然来るはずのフェローが来なくなった」とか、「今いるフェローが辞めてしまって急にポストに空きが出た」、というこは少なからずあるようです。ですのでまずは出来る限り早く・出来る限り多く申し込みをして、いつでもポジションに空きが出たら連絡をくださいと伝えておくとチャンスが広がると思います。
次はビザ取得・ライセンス取得・そして実際の渡米までについてお話しさせていただきます。

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